謙遜して自己評価を低く見積もる必要なんて、どこにもない
なんとなくSNSを眺めていると、とあるつぶやきがふと目に止まった。
そこには「業績の自己評価は高めの点数つけて最大限アピールすべき。評価に見合っていなかったら上司に点数下げられるだけだけど、自己評価で低い点数つけてる人に上司がいい点数つけるのは難しい」という旨のことが書かれていた。
自分が会社員として働いていたときのことを思い出し「なるほどそうだなぁ」と思った。
わたしが過去に所属していた会社では、業績の評価がボーナスの額に直結していた。自己評価を書いて提出し、その後上司の評価も合わせた上で、自分の最終評価が決定する。その評価によって、ボーナスの額が決定する、という流れだった。
お金は欲しい。できれば1円でも多く欲しい。でも、社会人になりたての頃は、自己評価で高めの点数をつける自信が、わたしにはなかった。ずっと心の中に「まだぺーぺーだから」「他の人みたいに成果を出していないから」と、謙虚の気持ちというか、遠慮の気持ちというか、そんな「いや、わたしなんてまだまだなんで、そんなそんな……」みたいな気持ちがあったので、いつも自己評価にはそこそこな点数しかつけることができなかった。その点数を見た上司はいつも「まぁ、そんなもんだよね」という評価だったので、「これで正解だったんだな」とも思っていた。だから、ボーナスの額もそこそこだった。
社会人5年目になって、部署が異動になった。
異動先で携わることになったのは、コロナ関連で発生した案件。緊急事態宣言が発令され、世間が外出自粛になっていることなんて関係ないと言わんばかりに毎日フル出社し、終電ギリギリまで仕事をした。そんな忙しい案件は3ヶ月ほどで終了したけれど、その後も別件のプロジェクトの立ち上げに携わって、なかなかにハードな日々を過ごした。毎日まいにち「本当に自分はよく頑張っている」と、褒めたたえないとやっていけないくらい大変な日々が続いた。
そしてまた、業績評価の時期がやってきた。
当時の直属の上司は、わたしたち部下にこう言った。
「みなさん、毎日本当によく頑張っていると思います。自己評価は、謙遜せずに思いっきりつけてください」
ちょっと笑ってしまった。そして、わたしは上司に言われた通り、全く謙遜することなく、「わたし今期まじでめちゃくちゃ頑張ったからな!!!!!」という意思を込めて、全ての項目に「A+」をつけた。
業績面段の際、全て「A+」になっている自己評価シートを見た上司は「いやぁ、本当によく頑張ったよね~」とねぎらいの言葉をかけてくれた。ところどころ手直しをされたところもあったけれど、その期のボーナスは過去最高額になった。
なんだ、これでいいんだ、と拍子抜けした。
自分でちゃんと自分のことを認めてあげ、自己評価を高くつけてあげれば、その通りの自分になれた。謙遜なんて必要なかった。あえて自己評価を低く見積もる必要なんて、本当にどこにもなかった。
会社員を卒業し、フリーランスとなった今でも、その気持ちは忘れずにいたいなと思う。今のわたしに上司という立場の人もいないし、誰かに業績を評価されることもない。だけど、自分で勝手に自己評価を低く見積もって「いや、わたしなんてこんなもんなんで……」という姿勢で仕事をするのだけは、絶対にやりたくない。
同じ仕事を任せるのなら、自分に自信のない人よりも、「やりますよ!わたしできるんで!」という人に任せたいと、わたしなら思うから。
そんなわけで、今日もおつかれさまでした。
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