実績解除!トロフィーを獲得した!という感じの思い出


高校の頃。

土曜の部活終わりに後輩に混じって片付けをしていたら、
後輩Y君と話が盛り上がってしまい、

そのまま話しこんでいたら他の部員が全員帰っていた。


あっ、これは後日冷やかされるやつだ…!


それでもいいと思った。
どれだけ冷やかされてもいい。


だって、わたしは彼のことが好きだった。



顔の好みなどない!と言い張っていたわたしが、
ひと目見て心を掴まれたのだ。

はじめての一目惚れ。

そんなY君と話が弾んで、二人っきりになった。


これってチャンスかもしれない。


実はもうとっくに終わっていた片付け、のようなものを終え、
荷物を取りに部室に帰る。
案の定誰一人残ってはいなかった。

部室に入っても話が止まらない。
隣同士の席に座り、話し続けていた。

「なんで先輩なのにこんなこともわからないんですかw」

「Y君は頭が良すぎるんだよー!凡人のわたしと一緒にしないで!」

おちょくられるのも心地が良かった。

成績上位であるY君に模試の結果を見られ、
散々いじられたりもしていた。



そして、ふと会話が止まった瞬間、
彼がわたしを見た。


あ、これ、キスする…かも。


目が合うだけで伝わることがどれだけあるだろう。

目を閉じるのがもったいなく思えた。


Y君の顔が近づいてくる。
その綺麗な顔をもっと見ていたかったけど、
さすがに不審なので目を閉じた。


キスがトラウマだったわたし。


でもY君のキスはやわらかくて、
やさしくて、
とんでもなく良かった。


相性?
いいや、Y君がすごいんだ。
綺麗な顔をしているから、
とてもおモテになってきただろうし、
きっとさぞかし経験が豊富なんだろう。


名残惜しそうにY君の唇が離れたので目を開けた。


「俺、キスしたの初めてです」

「えっ、嘘!」


初めてとは思えなかった。
末恐ろしい。
センスってあるのだろうか。


驚きながら目を合わせる。
Y君はまだこちらを見ている。


どちらからともなく二度目のキスをした。



今、わたしは好きな男とキスしている…

めちゃくちゃ好みの顔の人とキスをしている…




幸せ…




という気持ちももちろんあったけど、

それよりも…




えっ今わたし部室でキスしてる!!!!
なんか漫画みたいなんですけど!!!!

学校の!!!部室で!!!!
キスしてる!!!!

なんか青春って感じ!!!!!

これってドラマじゃない!?
ドラマあんまり見ないけどこれドラマでしょ!!!

学校でキスってなかなか無いよね???

よっしゃー!!!!


という気持ちの方が大きかった。

なんなんだマジで。
少しは落ち着いてほしい。


もちろん口に出してはいないが、
テンションは変な方向に上がってしまっていた。


そして、
このあと、いったいどこまでするんだろう???
という期待に胸をふくらませていた…。


部室であんなことやそんなことをしてるのを見つかったら退学かしら??
いや、せめて停学くらい??
バレるのは避けたい、
でも出来るだけ先に進みたい気もする。


だってこんなチャンスはそうそうない。
高校生の使える密室は少ないのだ。


わたしはといえば「お金が貯まるらしいから」という言い訳のもと、
セーフティーなアレが常に財布に入っていた。

いつだって準備オーケーだった。
チャンスを逃さないための下準備、大事。



何度も何度も唇を重ね、
そこから彼の手が制服に手が入ったあたりで

「ガタッ」


どこかから何かの音がした。



一気に正気に返る2人。


しばらく息をひそめてあたりを伺ったが、
ただの物音のようだった。


「帰ろっか…」

どちらからともなく帰る事にした。




その帰り道に、付き合うことになった。




流れでそうなったわけじゃない。

Yくんが入部する前から、
わたしは好きだった。

初めての一目惚れが、まさか叶うとは思ってもみなかった。

この恋を大事にしようと思った。



(たぶん)つづく

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本を買って読んで語彙を増やしたり、楽しいことをしようと思っています!それでまたネタを増やして記事を書きますね!!!