見出し画像

肉の色がわからない、私は色弱(2822字)

ずいぶん前に書いた下書きです。

色弱仲間のゼリさんの記事を読んで、この記事を放出する事にしました。
一生懸命書きましたので、多くの方が「色弱」というものを理解してくれると嬉しいです。

先日、家族で焼肉に行ってきました。(随分前ですwww)

我が家は焼肉に行くと、夫と娘がせっせと焼いてくれるので私は座ってビールを飲み、お皿に肉が運ばれてくるのをただひたすら待つのみです。バーベキューでも同じです。

ファイヤーで骨付きカルビを切る夫


いいご身分ね、なんかお高く止まっちゃって!

と言いたくなりますが、これは私が肉の焼き色がわからない、

色覚異常者だから仕方がないこと

ちなみに、息子も私と同じご身分です。
遺伝なので。

ここで私が詳しく「色覚異常」について語りたいと思います。長くなりますので4649

そもそも色覚異常とは?

正常とされる他の大勢の人とは色が異なって見えてしまう・感じてしまう状態のことをいいます。 そのため色の区別がつきにくい場合があり、日常生活に支障をきたしてしまう可能性があります。 物を正常にみるためには、視力・視野・色覚の三つの機能が必要ですが、色覚異常とはこの三つの機能のうち、色覚に異常がある状態です。

「目の病気百科 参天製薬」より引用

色覚異常には、
白黒の世界に見える「色盲」と
特定の色の区別がつかない「色弱」がある。←私はこっち
色弱にも様々種類があるのですがここでは説明を割愛します。

↓これらは、私の目には「左右同じような色」として認識されています。(ちなみに赤と黒はさすがに同じとは思いませんがw)

つつみ眼科クリニックより引用


自分で異常に気付いたのは小1の時

忘れもしない、授業でハラペコそうな「アオムシ」のスケッチをしている時でした。
隣で描いていた同級生の宮沢が、私が描いたアオムシを見て「お前、なにそのアオムシ、オレンジじゃん!どこにオレンジのアオムシがいるんだよ!」と言って、私のスケッチブックを取り上げて高々と皆に見せ始めたのです。私は笑いものになりました。
しかしながら私は不思議と、

宮沢ムカつく

とはなりませんでした。
オレンジと黄緑が同じように見えてしまうのは異常で、昔から色鉛筆とかクレヨンの色の見分けが困難なのはこのせいか、と思ったのです。

その後に受けた色覚検査では前の人がスラスラと数字を答えるのを見て、

一体あの丸いブツブツのどこに数字が書いてあるのか?

と疑問に思いながら、もちろん私は一つも答えられませんでした。

私は色覚異常者と正式に認定され、その後は自覚するようになりました。

(↓ちなみに私には左上の「12」しかわかりません)

グラストリーイカラより引用


遺伝の仕組み

冒頭で息子も遺伝と書きましたが、男子は20人に1人女子は500人に1人の割合でいます。

的場眼科クリニックより引用

私の両親が両方色覚異常のX3の染色体を保有していたので、私と姉は女子では低い割合にも関わらず症状が出てしまいました。

ちなみにうちは4人兄妹で、
上の表で言うと④のタイプに当てはまります。父が色覚異常者■、母が保因者◎、姉と私が色覚異常者●、兄2人は正常□。
そして私と夫の組合せは⑤になるので、息子は100パーセントの確率で色覚異常者■、娘も同確率で保因者◎になります。

この表でもわかる通り、私が色覚異常者であるが為にこの遺伝は止まりません。息子と娘が結婚して2人の配偶者が正常であった場合でも、息子が②娘が③であるから、息子の子どもが女の子の場合は100%保因者となり、娘の子どもは男の子が生まれたら50パーセントの確率で色覚異常者、女の子も同じ割合で保因者になります。
この遺伝が減らないのは仕方がないことなのです。

日常生活には何の不便もない

・ウノが下手
赤と緑が同じように見えるので、間違えて出すのは当たり前

・地図や地下鉄の路線図が見えずらい
色分けされてぐちゃぐちゃに見えます

・紅葉や夜景、花火がイマイチ美しいと思えない
紅葉はハッパで、夜景はただの光、花火に関しては色がついていることを最近聞きました

・食材の鮮度がわからない
和食料理屋で調理の仕事をしていましたが、魚や野菜の鮮度の違いもわからないし、肉も生焼け状態か判別できません。私は調理を仕事にするのは無理だと判断しました。
無駄な調理師免許を取りましたw

こんな所でしょうか?あ、あと

顔が赤いのがわからない
子どもが小さい時は、体調が悪くても顔が赤いのがわからないので、高熱が出てから気付くパターンでした。
「なんでこんなに顔が赤いのに気付かないんだ!」と夫とよく喧嘩しましたw

ちなみに化粧の「チーク」も、使った事はありませんし、他人がしているのも一切気付きませんw

印刷屋とユニバーサルデザイン

夫は代々続く印刷屋で私は夫の仕事を手伝っていますが、もうこの代で終わる事は覚悟の上です。
印刷屋がデジタル化で衰退の道を辿り続けるのは避けようのない事実だし、何よりも息子が色覚異常者だから印刷屋は継げません。

しかしながら夫はどこかホッとしているように見えます。自分の代で正当な理由により幕を下ろせることに安心しているのではないかとさえ思います。

え?アヤさんは仕事大丈夫なの?

最初の頃は会社の経理や雑用しかやっていませんでしたが、意外とこの「色覚異常者の目」と言うものがチラシやポスター作りには定評があるんです。

ユニバーサルデザインが世の中に浸透しているが、色覚異常者向けにも改善する所はまだまだ沢山あると感じます。
私は、どの色の組み合わせが「くっきりはっきり」見えるか「やわらかい印象」になるか「同じトーン」であるか、独特の色彩感覚でオペレーターに指示を出せるので、毎回オペレーターが単独で作る以上のものが出来上がります。夫もそこは納得していて、チラシやポスターの担当は私になりました。

温かい色、冷たい色

自分の目について少しばかり悩んでいた20歳頃、同じ目を持つ従兄からこんな事を言われました。

「アヤちゃん、確かに医者やパイロットにはなれないし、差別される対象にもなっている。だけどこの目はものを見るとき、温かいか冷たいかで判断するでしょ?それって色覚異常者独特の感覚なんだよ。赤や黄色を見て温かい、青を見て冷たい、普通の人はそんなふうに思わないんだよ。逆にいいと思わない?そんな感覚」

この従兄からの言葉は今でも深く心に残っていて、この言葉のおかげで私はこの目を「自分の個性」として誇りに思えています。


しかしながら、やっぱり1度でいいから夜景や花火、この世にある色とりどりの世界を見てみたいなと思うのが、正直なところなんですけどね。


石焼ビビンバ美味しかった


ということで、長々とお読み頂きありがとうございます。

これからも私はこの「独特な目」で物事を文章化していきたいと思っていますので「あれ?ちょっと違うな」と思っても、そこはどうか多目に見て下さいね。

はい、今日もごめんあそばせ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?