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#3吉祥寺『ワールド・ブレックファスト・オールデイ』で、口の中から世界を旅する(食べるふたり第5回)

シュニチさん

京都に暮らす人だからこそ知る貴重な味のご紹介ありがとうございました。
朝からラーメンを食べる「朝ラー」なる文化があったとは驚きでした。私が想像するよりも多くの人たちが、すでに朝の時間を楽しんでいるのですね。ますます朝食に対する期待が高まります。

朝食と言っても、和食洋食中華……ジャンルによって味付けや食材など全然違いますよね。海外旅行に行くと、これが朝ごはん?なんていう経験をしたことがありませんか?

そこで今回は、東京にいながら世界の朝ごはんが食べられるお店『ワールド・ブレックファスト・オールデイ』をご紹介しようと思います。 

『ワールド・ブレックファスト・オールデイ』は、営業時間内(7時30分〜20時)いつ行っても世界の朝ごはんが食べられるというユニークなお店です。イギリス、アメリカ、台湾の朝ごはんが定番メニューとなっており、それに加えて約2ヶ月ごとに国が変わるスペシャルメニューがあります。
定番の国の朝ごはんは、日本でも馴染みのあるものが多いと思いますが、スペシャルメニューの方は他で食べることが難しい、珍しい朝ごはんを食べることができるので、私は基本的にこちらを狙って食べに行きます。
ちなみにこちらのお店は都内に3店舗あり、表参道、銀座、吉祥寺どこでも同じメニューがいただけます。

吉祥寺店は東急の横の道からこの大きな看板が目印です
こちらは夏に食べたマレーシアの朝ごはんです

今回はハンガリーの朝ごはんを提供中とのことで、平日の午前10時過ぎに遅めの朝ごはんを食べに行ってきました。食事をするには少し中途半端な時間だというのに、店内はたくさんのお客さんで賑わっていました。

店に入り案内された席に座ると、テーブルには三角形に折りたたまれたチラシが置いてあります。そこにはそのときのスペシャルメニューの国についての紹介やお料理の写真と詳細が載っています。
私は食事を注文してから料理が提供されるまでの時間に、こちらのチラシを隅から隅まで読み込みます。

ハンガリーの景色や歴史的背景、ハンガリー料理の特徴、使われる食材について、少しずつですが食べる前に知ることで、提供された料理に対する想いが深まるので、この待ち時間が実はとても重要だったりします。
そして、ちょうど読み終わるころに、料理が到着します。料理と一緒に店員さんがお料理についてかなり丁寧に説明をしてくれるので、食材一つ一つを味わって食べようという気持ちになります。

ハンガリーの朝ごはん

ぱっと見、日本でもお馴染みの朝ごはんのように見えますが、主食のパンは甘くないフレンチトーストといった感じでしょうか。同じように見えても意外な味付けや細かな食材の違いから、日頃どんなものを好んで食べているのか、どんな食べ方をしているのかといったハンガリーでの暮らしが見えてきます。
ニンニクの効いたサワークリームとクルズットと言うカッテージチーズにパプリカなどを混ぜたスプレッドと一緒にいただいたフワフワのパンは、見た目以上にこってりとしていて、朝早くから仕事を始めるというハンガリーの人たちの気合いのようなものを感じます。
ハンガリー料理は野菜のパプリカや香辛料のパプリカを豊富に使うのが特徴のようで、この一皿にも色んな味付けのパプリカを楽しめました。
メインディッシュは薄味のオムレツで、燻製ベーコンの塩味と一緒にいただきます。
今回1番のお気に入りは、チャラマーテーという野菜の酢漬けで、ほど良い酸味が口の中をさっぱりとさせるので、比較的こってりとしたこのプレートも最後まで美味しくいただくことができました。

ハーブティーには蜂蜜を入れて飲むのが定番だそう!

私は1人で食べに来ていたのですが、店内で食事をする皆さんから聞こえてくる会話は、お料理についての話しが多く、ここで食事をする人は世界の朝ごはんを食べるためにこのお店を選んで来ているという印象を強く感じました。
様々な国に興味があっても実際に行くことは難しいかもしれないけれど、伝統的な現地の朝ごはんを食べることでその国の暮らしの一部を体験することができるというこのお店のコンセプトが素晴らしく、リピーターが多いというのもよく分かります。匂いや味の記憶は強く残ることが多いので、ふとした瞬間に思い出すきっかけとなるのも良いですね。また、全く縁のなかった国だったのに、自分の味覚とマッチしすぎたことでその国についてもっと調べたり、関連する本や映像をみたりすることもあります。その結果、やけに思い入れが強くなって自分の中の特別な国となったりすることもあるのがとても面白いです。

私には2人の娘がいて、彼女たちが小学生の頃まで、毎晩絵本の読み聞かせをしていたのですが、その中でも特に親子でお気に入りだったのが『世界の食事』という写真絵本でした。
食事を通してその国のことや暮らす人たちのことを知るのがとても面白く、娘たちは後に小学校の自由研究で「世界の朝ごはん調べ」をするほど、この絵本に夢中になっていました。自分たちの暮らしにより身近なものほど、離れたものごとについても自然と繋げて考えることができるのがとても良い読書体験になったと思っています。
そんな経緯もあり、元々世界の朝ごはんにはとても興味があったのですが、1年ほど前に友人から、「コロナ禍で海外旅行に行けなくなった代わりにちょっと贅沢な世界の朝ごはんを食べて、海外旅行に行った気分になっていた」という話しを聞き、こちらのお店を紹介してもらいました。
それがきっかけとなり、私の中の「世界のごはんブーム」が再熱したのです。

絵本『世界の食事』シリーズ

実際に足を運び食事をすると、友人の言葉通り「海外旅行に行った気分」になれたのと、これまで写真でしかみたことがなかった他の国の朝ごはんを実際に味わうことができたことにとても感動しました。

飛行機に乗ることが体力的にも難しいという高齢の方も食事に来ていたのですが、昔行った海外旅行のことを思っているのか、行けたらこんな感じだったのかなと想像しているのか、どちらにしても今過ごしている食事の時間がなんだか素敵だなと思ってしまいました。

伝統的な各国の朝ごはんを通して、さまざまな世界の魅力を感じることができるこちらのお店で、シュニチさんも「東京にいながら世界を旅する」体験をしてみるのはいかがでしょうか?
私も次は口の中からどの国へと旅することができるのか、2ヶ月後を心待ちにしています。

今年も残りわずかとなりました。来年も美味しい味の交換ができることを楽しみにしています。
どうぞ良いお年をお迎えください。

アヤモ

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