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乳がんになった私 #52「疑わないで 僕たちの行方を」

前回の投稿に、8月26日にリリースした「サニーサイド」という曲の歌詞が、今の自分たちにぴったりだと書いた。

そして歌詞の一部を取り上げたが、もう一か所取り上げたいところがあったので書かせてもらう。

  “疑わないで 僕たちの行方を”

この言葉は自分たちにも言っているのだが、バンドを応援してくれているファンの方たちに向けて歌っている。

所属していたレーベルと事務所を辞めた。ドラムのゆきひろが群発頭痛により無期限活動休止となった。2人体制になったQaijff。そして私の乳がん発覚。結婚の発表。

人生と同じで、バンドも変化する。生身の人間がやっていることだから、そりゃあ変わって当たり前だ。

だけど、変わりゆく中で、変わらないものもある。

音楽を続けたいという気持ち。バンドを続けるという意思。

だから、疑わないで。これからもあなたに受け取ってほしい。



9月1日にSNSで結婚を発表したわけだが、その日は思い立って旅行へ出かけた。


私たちは、前もって計画をせずに急に出かけることが多い。日々、曲の制作やバンドの業務を行い、休みは決まっていない。煮詰まったり、さすがに疲れが溜まると「今日はオフにしよう!」とか「明日はどこかに出かけよう!」と言い出す。

そんなわけで急な旅行。楽しい時間を過ごしたのだが、副作用はもちろんあった。

以前にも書いたが、今の治療の副作用に筋肉痛や関節痛がある。これは、3週間に1度の分子標的薬ではなく、毎週投与するパクリタキセルという抗がん剤の副作用だ。私の場合、筋肉痛よりも関節痛がひどく、特に足腰がかなり痛くなる。

投与の2、3日後から必ず痛みが出始め、数日続く。毎週水曜が治療日なので、金曜の夕方頃から徐々に痛くなり、土日がピーク、月曜もまだ少し痛みが残っている…という具合だ。

9月1日は金曜だった。なので、昼間はセーフ、夕方頃から少しずつ痛くなってきた。さらに、ここに来て初めて胃痛も出始めたのだが (これも薬によって胃の粘膜がやられるため)、旅行を楽しめるくらいの体調ではあった。


翌日の土曜に帰宅したのだが、関節痛は土、日、月と続き、胃痛もあり、下痢もあった。出かける時には必ず下痢止めを飲むが、家にいる時は飲まない。ただでさえ抗がん剤治療中の身体、出来るだけ薬を追加したくないという気持ちがあった。関節痛には痛み止めを飲んでいいと病院で言われたが、辛いけれど耐えられないほどではないし、副作用の具合を把握しておきたい気持ちもあって、飲まなかった。


この日曜日に、今後リリースしたいと思っている新曲の制作を進めていた。自宅スタジオでピアノと歌のデモ段階のレコーディング。

関節痛は、幸い上半身にはあまり影響がなかった。それよりも今後出てくるかもしれないパクリタキセルの副作用、手足の痺れが現れたら、思うようにピアノが弾けないかもしれない。なので、痺れが出ていない今のうちに制作を進めておきたかった。

足腰の関節痛のため、ピアノの椅子にずっと座っているのがきつく、何度も立ち上がったり休憩をしながらピアノを弾いた。歌も気合で歌った。

なにも副作用が辛い日にやらなくてもいいのに…と思われるかもしれないが、スケジュール的にここでやっておきたかった。

#50で「身体が辛い時は休めばいい。私は乳がんの治療中。無理はしないことが大事。」と言っていたのにね。

時には気力でやり切る。全てはその時の自分次第。

(#53へ続く)
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