乳がんになった私 #24「初めての入院」
抗がん剤治療開始まであと1週間。
音楽制作、テレビや新聞の取材、バンドにまつわる作業のあれこれ、人と会う約束。毎日何かしらの予定ややるべきことがありバタバタと過ごしていた。
ウィッグも準備した、髪も切った、撮影までしてもらった。そしてたくさんの人からエールをもらった。
気持ちは前向き。
…だと思う。
ただ、やはり不安は消えない。それはどうしようもない。
きっと自分以外にも同じような気持ちを抱えている人はいる。そう思って、乳がんについての情報をネットで調べたり、乳がんの人のSNSやブログを見たりしては、安心したり余計に不安になったりを繰り返していた。
#19で書いた身体の不調はずっと続いていた。
右胸や右脇がチクチク痛む度に不安になりつつも、「痛むってことは私が生きてる証拠だなあ…!細胞が…生きてるんだなあ…!」と思ったりもした。
情緒不安定で夜もなかなか眠れない日々を過ごし、やっと入院の日がやってきた。
5月1日。
初回の抗がん剤投与のため、前日からの入院。
入院手続きをする前にまずは口腔外科へ。
抗がん剤の影響で口内炎ができやすくなることもあるらしく、事前に口内環境をチェックしておく必要があるようだ。
口腔外科の受診を終えて、続いて乳腺外科での診察。
なんと主治医の先生がお休みで、代わりに別の先生の診察だった。
ここ最近の身体の不調について一応伝えたのだが、明日どのみち入院病棟で主治医と話せるので詳しい話はその時で、という感じですぐに終わった。
付き添いの2人と別れ (この日も内田と母の2人、いつも本当にありがとう)、入院病棟へ。
35歳、人生初めての入院!
個室希望を出していたが空いていないとのことで、最初は4人部屋に通されたのだが、あらためて確認したら空きがあったそうだ。良かった。寝つきが悪く睡眠の質も悪い私だが、個室なら眠れるかしら…。
しばらくすると部屋へ薬剤師さんが来て、薬についての冊子を渡され説明を受けた。
明日から始まる抗がん剤は、エピルビシンとエンドキサンという2種類の薬を使用するEC療法というもので、3週間毎の点滴を計4回受ける。
副作用についても細かく説明を受けた。投与中の副作用として、エピルビシンという薬が血管外に漏れてしまうと、ひどい場合は皮膚が壊死してしまうこともあるらしい。(怖すぎる…) そして副作用で真っ先に思い浮かぶものと言えば、吐き気、嘔吐。昨今はかなり効果的な吐き気止めが登場し、そのおかげでだいぶ吐き気が軽減されるらしいが、とは言えひどさは人それぞれ。その他にもたくさんの副作用が書かれていた。
薬剤師さんはとても優しく、丁寧に説明してくれたが、詳しく聞けば聞くほど不安は増した。
夕方になり、病院の夕食をペロリと完食。寝る時間まで読書タイム。
読みたい本がたくさんあったので、何冊も持ってきていた。(その中にはがんに関する本も)
個室はとても静かだった。
これなら眠れそうかな?と思った。だが、消灯の時間になって電気を消して目を閉じたのだが、なかなか眠気はやって来ず…。
結局、寝不足で翌日を迎えることとなった。
(#25へ続く)
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