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乳がんになった私 #46「点滴中の冷却」

8月9日。

2度目のパクリタキセル投与のため、病院へ。

初回は入院での投与だが、これからは毎週通院して点滴を受ける。パクリタキセルの投与は12回。つまり12週、毎週病院へ。

今回の治療内容、サイクルについては #43 に書いた。


病院に着いたらまず採血、その後乳腺外科へ行き、待合室でいつもの問診票を書く。(EC療法の時も毎回書いていた)

体温、体重、血圧を測り、今の身体の状態、副作用の有無、身体の辛さや気持ちの辛さの度合いを数字で表し、不安なことがあれば記入する。

私は迷わず「下痢がひどい」と書いた。

看護師さんがパルスオキシメーターを持って血中酸素濃度を測りに待合室にやってくる。そこで問診票を渡し、症状について細かく聞かれる。看護師さんは、下痢止めなどのお薬を出してもらえるか先生に聞いてみましょうね、と言った。

診察の順番になり、先生に、まずは無事にライブが出来たことを伝え (退院早々にライブがあることを先生に伝えていた)、そしてライブ翌日から見事に下痢になり、かなりひどくて困っていることを伝えた。

先生は、薬の影響による下痢について説明をし、下痢止めを出しておきます、と言った。整腸剤を飲んで良いものかと聞くと、抗がん剤によって起こっている下痢の場合は整腸剤を飲んでも効果がないと思うと言われた。なるほど…根本的な解決は出来ないというわけか。

診察を終え、いざ、点滴を受けるため外来治療センターへ。

今まで書いてこなかったが、抗がん剤の点滴中に、手足に現れる副作用を軽減するための対策がある。私は治療が始まる前にSNSやネットでその情報を見かけ、気になって調べていた。

それは、冷却と圧迫である。

抗がん剤は血液と一緒に全身に巡る。よって、身体のいたる所に副作用が現れる。

手にきつい手術用の手袋、足にきつい着圧ソックスを履いて圧迫したり、保冷剤で手先足先を冷却をすることで、血管を縮め、抗がん剤の影響を軽減しようというわけだ。手足は主に、爪のダメージや、痺れの防止のためなのだと思う。

他にも、氷を舐めて口の中を冷やし口内炎が出来ることを防いだり、冷たいアイマスクをすることで眉毛やまつ毛が抜けるのを防いでいる人の投稿も見つけた。

病院によっては専用のフローズングローブというものを用意してくれるところもあるようだった。

私がお世話になっている病院は、手足用の保冷剤と、圧迫のための手術用のキツい手袋は用意してくれており、看護師さんが点滴前の良きタイミングに準備をしてくれる。(やるかやらないかはもちろん自由)

私は自分で、アイスノンベルト (おでこに巻きつけて眉毛の脱毛防止のためだったが、結果、眉毛は抜けたので無意味だったかもしれない) と、口に含むための氷を毎回持参することにした。


話を戻して、今日はパクリタキセルのみの投与だ。

この薬の副作用に、痺れがある。痺れはすぐに出るわけではなく、回を重ねていくうちに現れ、増していくとのこと。そして薬の投与が全て終わっても、痺れは蓄積されてしばらく残る可能性があると聞いた。

痺れって…どんな感じだろう。正座をして足が痺れた時の感じ?あれがずっと…?

でも、どんな副作用も度合は人それぞれ。軽い人もいれば、ひどい人も。ピアノを弾く身としては、手は出来るだけ抑えられるといいなあと思っていた。痺れが出た時は、まあその時考えればいい。それよりも治療が優先だ。

EC療法の時は、こちらからお願いをして冷却をしてもらっていた感じだったが、今回のパクリタキセルに関しては、看護師さんの方から冷却や圧迫の話をされた。きっと、痺れ対策メインで行うことになっているのだろう。


そんなわけで手足に保冷剤、おでこにアイスノンベルト、口には時々氷という状態で点滴スタート。(この時は圧迫はせず冷却のみ)


しばらくすると、点滴の針を刺している近くの血管が、じんじんと痛くなってきた。血管痛。強い薬のせいで血管に痛みが生じたり、炎症が起こる。

看護師さんを呼んだ。針はしっかりと血管に入っているようだった。腕を温めて血管が広がれば痛みが和らぐかもしれない、と、右手で握っていた保冷剤をいったん外し、腕を温めることにした。冷やしたり温めたり、忙しい。

しばらくすると痛みは治まった。

この日は少し下痢も落ち着いていたため、点滴の途中でトイレに駆け込むこともなく、無事に終了。

準備や吐き気止めの点滴などを合わせてトータル2時間くらいかかったか。


毎週これかあ…ストレスになりそうだなあ。

しかも、3週に1度はこれプラス、ハーセプチンとパージェタも。


帰宅して、音楽制作や、新曲リリースのためのアートワークを絵の具で書いたりしていたのだが、夕方ぐらいから倦怠感と少しの気持ち悪さがあった。

そして、夜にはまた腹痛に襲われた。


新たな副作用とうまく付き合いながらやっていくしかない。

抗がん剤治療中とは、そういうことだ。

(#47へ続く)
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