乳がんになった私 #45「新たな副作用に苦しむ」
8月5日の国立競技場でのイベント出演は、万全の体調で臨むことができた。
無事にライブができて本当に良かった。
事前に先生からも聞いていた通り、今回の薬は吐き気などの副作用は本当にないんだなと安心した。
だが、そんな矢先。
ライブの翌日に、私は今までに経験したことがないほどの下痢に襲われた。
下痢の話を書くなんて…と思うところだが、これも薬による副作用。しっかり書き記しておきたい。
薬の説明が書かれた冊子に、確かに副作用に「下痢」とあった。
でも、お腹を下すことなんて普通にあるし、下痢はそれほど辛い副作用ではないだろうと甘く見ていたが、完全なる間違いだった。
その日、私は何度トイレに行ったか分からない…本当に辛かった。こんな状態じゃ外出できないし、何より体力の消耗がすごくてぐったり。食べても全て下してしまい、このままではやつれてしまいそう…。
抗がん剤による下痢は、腸の粘膜が薬によって傷害を受けてしまい引き起こされる。
市販の下痢止めや整腸剤を飲んで良いのか分からなかったため、3日後の診察の際に先生に聞こうと思い薬は飲まずに耐えた。
次の日も、その次の日も、やはり下痢は続いた。当たり前に、体重は少し減った。
食事は消化に良いものにしなくてはと、お粥やうどんや豆腐などを主に食べた。そして脱水症状にならないように、スポーツドリンクやOS-1を飲んだりしていた。
幸い、外出する予定はなかったので、下痢に苦しみながらも家でやれる範囲でバンドの業務などをこなしていた。
この辛すぎる下痢の副作用が、もしもライブ当日に起こっていたらと思うと…恐ろしい。
待っていてくれたかのように、見事に翌日から副作用は出現した。
そして副作用は下痢だけではなかった。口の中の粘膜も影響を受けているのか、歯磨き粉がヒリヒリと沁みた。炭酸や冷たい飲み物も沁みた。そして味覚障害なのか、酸味や辛味を異常に強く感じるようになった。
薬が変われば、当たり前に身体への影響も変わる。
やはりやってみないと分からない。
ライブを引き受けたことは、本当に賭けだったなとあらためて思った。あの日、万全の体調だったことがもはや奇跡に感じられた。
もしくは、私のライブに対する想い、精神力が副作用を抑えていたのか…?!
なんてねっ。
(#46へ続く)
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