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乳がんになった私 #40「不穏な途中経過」

7月21日、MRI検査。

乳がんが発覚した3月以来のMRIだ。

ここまでやってきた抗がん剤、EC療法の効果がどれだけあったのかを確認するためだ。


病院に到着、受付をし、順番が呼ばれたら検査着に着替え、造影剤の点滴を刺され、検査台へ。

#7に書いたように、今回も検査中はリズミカルな爆音に意識を持っていかれた。

ただ、なぜか検査の終盤で、もし今このタイミングで大地震が起きたらどうなるんだろう…!と考え出してしまって怖くなり、早く終われ…早く終われ…と心の中で唱えていた。

MRIを終え、結果が出るまで乳腺外科の待合室で待っていた。


検査結果を聞く時はどうしたって緊張する。

この日は内田と母のダブル付き添い。3人揃って緊張していた。

診察室へ呼ばれた。

S先生「森さんお待たせしました。さっそく結果ですが、まず、腋のリンパ節には効いていると思います。しこりがだいぶ小さくなっているので。」

3月の頃の画像と見比べると、確かに小さくなっていた。良かった。



S先生「ただですね…乳房の方は、以前より少し広がってしまっていました。」

私「…え。」

画像を見ると、以前はなかった場所にまで明らかに影が広がっていた。


S先生「この結果を見ると不安になるとは思うけど、HER2陽性乳がんで肝心なのは次からの治療なので。抗HER2療法、分子標的薬がどれだけ効いてくれるかなので。」

私「…そうですね。…今回は、腋には効いたわけだし…良かった点もありますもんね。」

正直、とても複雑な気持ちだった。

右胸のがん細胞は広がってしまっていたんだ…!

だけど、EC療法をやっていなかったら、もっともっと広がっていたのかもしれない。HER2陽性乳がんは進行が早いと聞く。

私は、なぜ効果的なHER2療法を真っ先にやらないのかと先生に尋ねたことがある。その理由は、手術を終えた後もHER2療法は続くため、できるだけ間を空けないで行った方が良いと考えられているからだそうだ。
( EC療法 → 抗HER2療法 → 手術 → 抗HER2療法 )


そうだ、肝心なのは次の抗HER2療法。効果的だと言われている薬が、どれだけ効くか。

私は先生に言われたことをあらためて自分自身に言い聞かせ、今回の結果にあまり落ち込まないようにと心がけた。

内田も母もきっと同じ心境だったと思う。


帰り道の車中、私は最近の心の持ち方の難しさについて内田に話していた。

私「やっぱ不安で情緒不安定になったりもするしさ…不調な時は休むべきって分かってるんだけど、いざ1日何もせずに休んでると、何もしてない自分がイヤになるというか…ゆっくりするのって難しい。だからと言って、無理するのは良くないけど。」

内田「思ったんだけどさ、今、治療中なんだから、何もしてないなんてことはないよ。治療を受けてるんだから。」


なるほど。と思った。

当たり前のことを言われたのかもしれないが、確かにそうだ。私は今、乳がんで、それを治すために治療をしている。何もしていないわけではない。

内田の考え方に、気付かされることが多々ある。

だが、納得したと同時に、潔く治療に専念して、バンドを休止した方が良かったのかなあ…なんて考えも浮かんでしまった。


帰宅して、今日はもう罪悪感を感じたりせずにのんびりしようと思った。

今まで読んでこなかった大人気の漫画を電子書籍で大人買いし、一気に読んだ。

(#41へ続く)
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