乳がんになった私 #65「ピアノを弾く気になれない」
10月11日、旅行翌日の病院。
この日はまず産婦人科の受診だった。乳がんの治療開始前に妊孕生温存療法を実施したため、その後も度々診察がある。
抗がん剤の影響で、相変わらず生理は止まっている。以前にも書いたが、正直、毎月の出血がないのはラクだと思ってしまう。
だが、その代わりにホットフラッシュなど更年期障害のような不調が出るのは辛いし、今後きちんと生理が戻ってくるのかという心配ももちろんある。
産婦人科の後に、乳腺外科の診察。そして点滴を受けに外来治療センターへ。
外来治療センターの看護師さんはたくさんいる。今までも色んな看護師さんに点滴の針を入れてもらった。すんなりといく日もあれば、うまく入らず刺し直しになることもある。点滴の途中で痛くなって刺し直したこともあった。
この日はすんなりと終わった。笑顔の素敵なはつらつとした看護師さんだった。
毎週のパクリタキセル投与が、ようやく次がラスト。パクリタキセルによる副作用、下痢や関節痛、そして手足の痺れにとても苦しんだため、次回で終わることがとても嬉しかった。
治療の当日は毎度、眠くてだるくて仕方がないので、帰宅して家でゆっくりと過ごした。
翌日、発熱した。熱は1日で下がったのだが、そこから数日ずっと体調が悪く、ネガティブモードに突入。ゆっくり家事をしていたのだが、手足の痺れが辛くて痛くてストレスで、涙が出た。
痺れは、パクリタキセルの回を重ねるほどどんどんひどくなっていた。
指先は、色々なものを触るのが痛かった。ペットボトルの蓋が開けられなかったり、ピアスをつけるのも痛い。洗濯物を畳むのも痛い。熱いもの、冷たいものに触るのも痛い。指に力を加えると自分の爪が皮膚に食い込む感じがして痛かった。
足の裏は、歩くと常に砂利を踏んでいるような感覚で不快感がすごかった。靴下を2枚重ねて履くと少しラクだったのだが、靴下の中には砂が入っているかのような感覚。靴下を履いたり脱いだりする時が痛い。裸足で寝ると布団に足先が擦れるのが痛かった。
パクリタキセルが次でラストだと喜んだが、薬の投与を終えてからも痺れはしばらく残ることが多いそうだ。
この頃、私はピアノを全然弾かなくなっていた。
指先が痛くて、全く弾く気になれなかった。
(#66へ続く)
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