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乳がんになった私 #61「ピンクリボン」

10月に入った。

10月はピンクリボン月間。

ピンクリボン運動については自分が乳がんになる前から少しは知っていたつもりだったが、やはりそれは “少し” だった。

自分がなってみなきゃ分からない、知らないことばかりだった。

10月1日、ピンクリボンデーにインスタグラムに投稿をしているので、長文ではあるがそちらを是非読んでほしい。



10月4日、治療日。

手術前の分子標的薬、ハーセプチンとパージェタが今日でラストだ。(まだ抗がん剤のパクリタキセルはあと2回あるが)

分子標的薬の投与が始まってから、明らかに右胸のしこり部分が柔らかくなったし、EC療法中に赤く腫れていた右胸の皮膚もほとんどおさまっていた。(まだ少し赤みは残っていたが)

EC療法を終えた後のMRI検査の結果で、胸のがんは広がってしまっていたので、この分子標的薬が効いてくれることを切実に願っていた。


治療前の診察で担当医のS先生に、ここ最近の体調について、そして不調が出るたびにいちいち不安になってしまうことを話した。

S先生「森さんはがんの治療中なんだから、不安になってしまうのは当たり前のことで、不安な時は不安な気持ちを無理に押し殺さないでいればいいと思いますよ。」

そう言われ、泣きそうになった。

うん、不安に決まってる。不安だって事実を受け入れればいいんだ。

自分でもそう分かっているつもりなのだが、S先生に言ってもらったら、許された気持ちになった。

S先生には身体を診てもらっているのはもちろんだが、精神的にも救われている気がする。治療が始まってから、私は何度も何度も、S先生で良かった…!!!と思っている。付き添いで来る内田も母も、いつもそう言っている。


診察後の点滴中、チューブを伝って体内に流れ込む薬を見ながら私は願った。

「効け効け効けーっ!がんばれがんばれ細胞ちゃんっ!」



10月5日、治療の翌日は、ラジオ局ZIP-FMにてパーソナリティを担当しているポッドキャスト番組の収録だった。

そして、この日はいつもの収録の前に、ピンクリボン運動のコメント収録もお願いされていた。

「ZIP-FM PINK RIBBON DAY」、1日を通して乳がんについての情報をラジオで発信するという趣意だ。

ZIP-FMは、Qaijffでも長年番組をやらせてもらっていたし、イベントにも出演したり、バンド結成初期からたくさんお世話になっている。今、乳がんになった私だからこそ伝えられるメッセージがあるのならば、喜んで、とコメント出演を引き受けた。


何事もきっかけだ。

いつも聴いているラジオで。たまたま移動中にかけたラジオで。店内でかかっていたラジオで。誰かが乳がんのことを少しでも知るきっかけになれば。

女性だけじゃない、どんな性別の人でも、もしかしたらこの先乳がんになることがあるかもしれないし、あなたの家族、親、子供、パートナーがなることもあるかもしれない。

知ることって大事。知ってほしいと思う。

だから発信する。

自分の気持ちが救われるためと、それを受け取ってくれた誰かのためになったら嬉しいと思って。


そして、ピンクリボン月間である10月の後半から、私はこのnoteを書き始めることになる。

(#62へ続く)
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