見出し画像

乳がんになった私 #53「痺れの出現」

毎週水曜、抗がん剤パクリタキセルの投与。

全12回のうち6回目を終えた時点で、指先に違和感を覚えた。

最初は右手の親指から始まった。

なんだか感覚が鈍いような…もしかして、これが副作用の痺れか…?


パクリタキセルの治療が始まる前に、副作用で手足の痺れが出ることがあると先生からも看護師さんからも薬剤師さんからも聞いており、ピアノの演奏に支障がないかを懸念していた。でも、前にも書いたが痺れが出たら出たで仕方がないし、その時考えればいいと思っていた。もしもピアノが弾けなくても、歌えるし。

とは言え、弾ける限りは弾きたいところ。

なんと、初めて痺れを実感したこの日の前日に、新曲のピアノレコーディングを終えたところだった。ナイスタイミングだった…!


そしてまたすぐに水曜日はやって来て、7回目の治療を終えた後、足にも痺れが出始めた。

始めはなんとなく足の裏にモヤっと膜が張っているような…やはり感覚が鈍くなっているような感じだった。

そこから、日に日に手も足も痺れはひどくなっていった。


そしてもちろん、毎週やってくる辛い関節痛。相変わらずの下痢、そして胃痛。女性ホルモンの変化によるホットフラッシュ、喉のつっかえ。こう書いてみると不調が色々ありすぎる。

さらに、何やら顔にニキビのような吹き出物が出てきた。抗がん剤は肌にも影響が出ると聞いていたので、保湿は頑張っていたつもりなのだが、吹き出物は保湿したところで関係がない。肌荒れはやはりテンションが下がる。


そして、9月中旬のこの頃には、眉毛とまつ毛もほとんど抜けてしまっていた。髪はとっくに抜けていたのだが、眉毛とまつ毛はしばらくそのままだったので、もしや抜けないのか?と思っていたのだが、8月頃から徐々に量が減ってきていたように思う。鏡を見るたびに、あれ?と変化に気付く。マスカラを塗ろうと思ったらまつ毛がかなり少なくなっていて困り、眉毛も毛が少ないとこんなにも描きづらいものなのか…!と実感した。

抜け切ってしまった頃にはもう仕方がないので、まつ毛は無しで良し、メイクは眉毛を描いて、アイシャドウを塗って、アイライナーで目尻だけピンッと描いて終わり。 (つけまつ毛や眉毛シールを使う人もいるようだ)

そもそも家にいることが多いので、すっぴんの日が大半、家の中では髪なし眉毛なしまつ毛なし、スカーフや帽子も被らずに過ごしていた。そんな私を当たり前のように受け入れてくれていたパートナーの内田。

もちろん好きでその姿になったわけではないのだが、見た目を気にせずありのままの姿で生活できていたことがありがたかった。

(#54へ続く)
---------------------------------

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?