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乳がんになった私 #33「医療従事者への感謝」

ジーラスタ注射から3日後の地獄の夜を越え、体調は落ち着きつつあった。

このまま次の治療日までにはどんどん回復していくものだと思っていたのだが、ジーラスタ注射から1週間後に、今度は骨痛が襲ってきた。

腰の骨が痛い。初めての感覚。

元々、腰痛持ちではあるのだが、普段の腰痛とは違って…なんというか骨の奥深くにビキーン!と響く痛みというか…とても嫌な痛みだ。

ロキソニンを飲んでこの日はやり過ごし、翌日には骨痛は治まっていた。

なるほど、ジーラスタの副作用は2段階あることがわかった。

これも人それぞれなんだとは思うが、その後も私の場合はジーラスタ3日後にひどい頭痛や発熱、1週間後に骨痛が毎回決まって起こるのだった。

日々、色々な予定が入っていた。自宅スタジオでライブ映像の撮影、ファンサロン用の動画撮影、テレビ取材、新曲の制作、etc…。

友人と会う約束もあった。乳がんのことで連絡を取って、数年ぶりに会えた友人もいる。仕事柄、休日が決まっておらず不定期な生活をしているので、今までなかなか友人と予定を合わすことが出来なかったり、それでも仕方がないと思っていたのだが、会いたい人にはやはり時間を作って会うべきだと思った。ずっと会えていなくて会いたい人がまだまだいる。

3週間に1度のEC療法。次の治療日が来る前の1週間は、ほぼ通常の体調に戻っていた。相変わらず胸が痛むのと発疹があったり、体力が少し落ちている感じはあったが、ほとんど普段通りの生活が出来ていた。



6月20日、3回目のEC療法。

担当医のS先生が体調不良でお休みとのことで、別の先生の診察だった。お医者さんだって体調を崩すこともある。心配だ…。

乳がんになって頻繁に病院へ行くようになってみて思うが、医者とは本当に大変な仕事だなあと思う。病院の規模や科にもよるとは思うが、毎日様々な病状の患者さんを診て、毎週手術をして…。社会の中には様々な仕事、職業があるが、直接的に人の命に関わる仕事をするとはどのような気持ちだろう。

今日は血液検査の結果、好中球の数値も問題なし。ジーラスタでつらい思いをした甲斐があった。予定通り、治療を受けるために外来治療センターのフロアへ向かった。

看護師さんに抗がん剤の点滴の針を刺される時は毎回緊張してしまう。刺すのが痛いからではない。針がしっかり血管に入っているか、強い薬が漏れないかがどうにも心配になってしまうのだ。

この日は母が付き添いだった。母はピアノ講師なのだが、看護師でもある。週に数日、個人の病院で看護師としても働いているのだが、抗がん剤治療の様子を見るのは初めてのようで、やはり毒々しい真っ赤な色をしたエピルビシンに驚いていた。

医者は大変な仕事だと思うと先に述べたが、看護師さんに対しても思う。注射をするという行為もだが、それぞれの患者に合わせ対処をしたり、気配りをしている。看護師さんとの会話や対応で心が和らぐことも多い。

薬剤師さんも重要なポジションだ。症状を細かく把握し、時には担当医の先生に薬を提案してくれたりもする。医療はチームプレーなんだなあ。毎回、感謝の念に堪えない。


3回目のEC療法が無事に終わり、次はまた3週間後。4回でEC療法はラストだ。その後は薬が変わってまだ術前化学療法は続く。

だがその前に…2日後のジーラスタがある。

やはりジーラスタのことを考えると気が重くなる私だった。

(#34へ続く)
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