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キタキタ高校物語⑥キタキタ高校の借り人競争

信君のスイーツはいつも通君を虜にする(⋈◍>◡<◍)。✧♡
ヒョン太と通君のいざこざは、まだ続いています。進君と路子の関係はどうなのでしょうか?

 このエピソードを書くきっかけになったのは、ほんとうにうちの学校の体育祭での借り人競争だった。借り人競争は、くじを引いて、マイクの前で自分の引いたくじを叫ぶ。すると同じ軍のメンバーがみんなで協力して、借り人を探す、そんな競技である。

 この時、くじの内容が「好きな人」というテーマが頻発した笑!
 今年の生徒会役員はなんて攻めてるんだろうという印象である。

 そして、こういう切羽詰まった競争みたいな時、意外と人間は飾らないもので、素直に好きな人の名前を述べてしまうものではないだろうか?
 それは、女の子が好きな自分の親友を呼ぶことも有れば、ある男の子がこの機会を利用して、ある女の子にアタックしてしまうということも出てくる。面白かったのは男子の、好きな子へのアタックが頻発したこと。

 おかげで競技はさっさとは進まず、好きな子の名前を述べてその子の出現をずっと待っていたり、なんだか、見ているこちらも、青春だなあ~と感じる胸キュン光景が広がったことである。

 なんか、前の年は、こんな競技は存在しなかった気がするけど?
 この年は突然、出現してしまった。

 それで描いてみた漫画である。
 ヒョン太は路子のことが大いに気になっている。しかし、ファンのことを考え、どうでもいい人の名前を呼ぶ。
 進も同じくじを引き、路子の名前を呼ぶかと思いきや、全然、的外れって言うか、さすが進君である。
 それに、ちょっと勘違いした路子がどきどきする。
 そしてヒョン太が、そんな路子の心の動きに気が付いてしまう。

 自分も路子みたいに、体育祭にキョーミないから!と一日中、欠席はしないけれど、体育祭の時に本を読んでいられる強さを持った人間だったら、とちょっと彼女のことを羨んだ。

 自分が高校2年生の時、女子が、ジャンケンしてリレーの選手を決めることになった。これは私のように生まれながらにして足の遅い人間には大迷惑な話で、足の速い奴さっさと走れ!と思うのだが、どうやら、そいつらもかっこつけて、なるべくその競技でリスクを負いたくないのである。

 いやあ、今、思い出しても頭に来る!
 私はめっちゃ足が遅いのに、ジャンケンで負けて、リレーに出る羽目になった。その結果は、推して知るべしと思うが、なぜか、全く覚えていない。たぶん、この自分にとってめっちゃ恥ずかしい記憶を勝手に、カラダが消したのである。(たぶん)

 しかし、次の年の体育祭を、平気でさぼるぐらいに、自分の心にトラウマを残した。文化祭や体育祭が一気に来て終わるという進学校らしい行事の設定だったが、3年生になった時に、このクラスの文化祭への取り組み方って終わってるよね?とか思った仲良し3人だったか4人だったかと体育祭をさぼった。みんなで誰かの家に集まっていたような曖昧な記憶だが、とにかく後ろめたくて、休んだその日は何も楽しくなかった。

 そんな悲しい思い出が残っている。

 足が遅い自分は全く体育祭が好きではない。
 しかし、教師になってみると、応援団長とか、いつもの授業中とは違ったいろいろな生徒の生きざまに、魅了されないことはない。
 体育祭のために生まれたような生き生きした少年少女がいる。
 おまけに、自分は60代に近づき、誰も私に走れとは言わない年代になっている。いいねえ!年をとるって。

 生徒に後で聞いたら、この年の借り人競争が、相当なドラマを生んだようだ。その種目の告白通り手を繋いで走った女の子に告白して、うまくいったとか、降られたとか言う話が、体育祭の後、生徒のlineなのかSNSを飛び交ったのだそうだ。生徒会役員の準備した「好きな人」というくじが攻めているなと思ったけど、男子諸君はチャンスとばかり、このくじに乗って、攻めに攻めたのだ。ホント、お調子者で、可愛い。

 それを聞いて、私は、彼らのそれを、なんだかとても羨ましく思った。
 60代に近い自分には関係ない話なのだが、そうやって、自分の目の前で青春を謳歌する高校生のことが、なんだかとても羨ましく思えたのであった。高校時代に戻りたいとは全く思わないけれど、今のタフな精神を持ったまま、あの17歳ぐらいの時に戻れるなら、戻ってみてもいい。

 そうして、この漫画を描いたのである。

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