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素敵な人〜大事なものを大事と言える人

彼は「前の家族、というか娘のことは忘れた。いないものとして新しい家族をつくりたい」と話した。初対面の時、何か隠しているように感じた。その正体を知りたいから2回目の誘いにのったところ、バツイチで娘がいるが話したくなかったとのことだった。ただ私が見るに父親オーラを隠せていない。きっと良い父親だったのではないだろうか。
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娘を忘れたとは、本当の気持ちなのか。
離婚原因は、元奥さんが彼の給料を実家の支援に使い込んだことにあるという。とすれば元奥さんはさほど裕福ではない。そうならきっと、将来、18歳の娘さんがマンションを借りるときの保証人や学費の工面、保険で賄えない怪我や病気のときに困るだろう。更には、彼が言う通り元奥さんが「無職の金づる」であるなら、娘さんが結婚のとき、話がスムーズに進むだろうか。娘さんのパートナーが両親の離婚理由を聞いたら、自分も使い込みをされるか義母の生活を工面しなければならないと離れていきはしないか?

奨学金の保証人がいなくて、企業が行っている無利子の奨学金を借りれなかった私の実体験から、「自立には保証人が必要でこれからが大変じゃないですか?私も大変だったから。世の中の信用は父親にある場面も否定できないのに。」と伝えると、彼は真っ青になり、目を逸らした。私の幼少期の話を問うてきたあと「次いつ会える?」と聞いてきた。
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確かに、やり直したい気持ちも分からなくはない。そして、元奥さんにお金を使い込まれて不快だったし、理不尽との思いもあるだろう。
しかし、本音は、「娘と離れたくないから、お金を使い込まないで」と伝えたかったのではないか。取り繕った嘘に見え隠れするのは、私の幼少期の質問を通じて娘を案ずる父親の姿だった。

他方で、元奥さんは日頃から気持ちを言わない夫に腹が立ち、使い込みに感謝も罪悪感も感じなくなり、離婚にもすんなり応じたのではないか。むしろ離婚は元奥さんの意向だったのではないか。元奥さんの虚無感は想像に固くない。
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「もう会えない。」と言うと、彼は舌打ちした後、「了解」と言った。

こうやって自分の気持ちを言わずに来たから人との距離が離れたままだったのだと感じた。本音を話すことをプライドが許さない。彼はおそらくまた同じ様な自体を招くだろう。

自分が交際してきた相手を思い出すと彼らは何度も何度もドアを叩いてくれる人たちだった。そうやって、本音を伝えようと言葉で人と向きあえる人は素敵だなぁと改めて思う。
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プライドによって、自分の本音を言わない男性に会うことが最近、多くなった。テレビで「友達いない男性」の報道があるが、原因は本音を言わない卑怯な人と思われて人が去って言ってるのではないか。気持ちを伝えなければ人は通じ合えない。一般論や「普通はこうする」との議論では愛情は伝わらない。

気持ちを過剰に表現するとそれはそれで疎ましがられる。他方で、不機嫌な態度やパートナーの人格を批判する伝え方をすると急速に冷められてしまう。
だからバランスが必要ではある。
しかし上手く伝えられなくとも、自分は気持ちを伝えられる人になりたいと改めて思った。
自分は、「別れた妻との間にいる娘を大切に思っている。忘れられない。」という人を尊敬するし、敵わないな、素敵だなと思う。

伝え方を間違えたら謝れば良い、それだけなのだから。私は元彼たちのように言葉で伝えられる素敵な人になりたい。

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