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吉本ばなな『TUGUMI』後編

 後編へ進んでいただいた方、本当にありがとうございます!

 書いたものが誰かに読まれるというのは、非常にうれしいものですね。

 では引き続き小説のご紹介をしていきたいと思います。


 まずはあらすじのおさらい。前回とは違った書き方をしていますが、読み飛ばしても大丈夫ですよ!


 どこにでもいるふつうの女子大生『白河まりあ』は、子供のころに住んでいた港町に夏休みのあいだ帰省します。そこでいとこである『つぐみ』と再会。彼女の変わらない姿に東京での生活と対比させながら、徐々にいつもと変わらない夏を過ごしていく。ところが、2人の関係性の深さを再確認させられる『とある事件』が起きるのでした。

 前回はその『とある事件』というのを保留したまま終わりましたね。

 その『とある事件』とは何か。


 ずばり言ってしまうとそれは『つぐみの復讐』です。

 簡単にざっくり説明しますと、『つぐみ』の恋人の飼い犬である『権五郎』が殺さてしまいます。殺したのは地元の不良グループです。彼らは『つぐみ』の恋人に恨みを持っており、あろうことかその腹いせに何の罪もない彼の飼い犬を殺してしまうのです。

 普段は犬をないがしろにする『つぐみ』ですが、『権五郎』は彼女にとてもなついており、彼女も彼女で『権五郎』をとても可愛がっていました。

 なので『つぐみ』は手をかけた不良グループに激しい怒りを覚えます。

 毎晩、こっそり抜け出してその不良グループを探し当て、ついに彼らのうちひとりを見つけ、その病弱な体にムチを打って大きな大きな落とし穴を掘って誘い出します。そしてその大穴に突き落とし、大きなフタをして閉じ込めてしまうのでした。

 まぁ、結局、その不良グループのひとりは大事には至らなかったのですが。普通に解放されます。

 けれども『つぐみ』は大穴を掘った無理がたたって、寝込んでしまいます。かかりつけの病院に入院してしまいます。

 『つぐみ』が寝込んでしまうこともこれまで何度もあったことだし、入院することもこれまでしばしばありました。

 ところが『つぐみ』は、今回に限って言うのです。

「今回は、本当にダメかも」と。

 いつもは悪態や悪口しか言わない『つぐみ』が言うのです。

「正直に弱音を吐くよ。夜がいやなんだ」

 それは『つぐみ』にとってありえないことでした。

 だって彼女は、どんなに病弱な状態でも、どんなに意識不明になっても、これまでかならず復帰してきたからです。生き延びてきたからです。

 生き延びて、そしてまた悪行を繰り返してきたからです。


 なのにその不良グループへの『復讐』を終えると、急に生命力が減退していく。彼女の家族(主に母と姉)は今回はいつもと違うな、と気が気じゃありません。

 病床に伏せている『つぐみ』は、朦朧とした意識の中、なぜか家族の誰でもなく、いとこである『まりあ』にだけ手紙を書きます。それは遺書のような形をとっています。

 この手紙の内容が、この小説のハイライトになっているのですよね。

 手紙の内容は、ぜひ小説を読んでみてください。めちゃくちゃいいですよ!ほんと。

 最後のこの手紙を読んだとき、きっとあなたは「この小説を読んで本当によかった!」と思えるしょう。

 そのくらい、まさに晴れ渡った気持ちになり、また時間を置いてこの小説を読んでみようという気持ちにさせてくれます。

 読んだあとにブックオフとかでこの本を見つけたら「おーかわいそうに。自分が買ってあげよう」となりますよ。なのでわたしは2、3冊持ってます(笑)


 ちょっとしたネタバレを含みましたが、そのへんを掌握していても十分に楽しめる内容になっていますので、気になった方はぜひ読んでみてください!大事に持ってくれることを約束するなら、なんならわたしのをあげます(笑)

 というわけで今回は、吉本ばななの傑作『TUGUMI』でした!

 ここまで読んでいただいた方、ほんとうにありがとうございました!



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