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映画『オールド』を観た ※ネタバレあり

映画『オールド』を観た。
備忘録的に残しておく。

リゾートホテルで『特別なお客様』が案内されるプライベートビーチ。
そこは、時間の流れが違う。
老いていく大人。大人になる子どもたち。
脱出は不可能。

監視されているらしいことが判明した時点で実験かなにかだろうなとわかる。
謎解きはさほど重要ではないストーリー運び。
このビーチだけ時間の流れが速いのは、地球の神秘!以上!って感じ。潔い。
脱出できない理由も一応、さらっと納得のいく理由づけがされている。
謎に迫るのを期待すると肩透かしを食らうかも。

凝縮された時間の中で隔離された人々を観察する映画、だったかな。わたし的には。

老い、目も耳も記憶も衰え、二人で海を眺めながらこと切れる夫婦の姿にそれほど悲壮感は感じなかった。
一度は破綻しかけた二人だったが、わだかまりは波と時間が洗い流してしまった。
ハッピーではない。だけど悪くない。

生き残った姉弟は、ホテルで知り合った少年が託したヒントを元に脱出する。

黒幕はホテルを経営している製薬会社で、持病のある人が含まれる家族を被験者として、薬を飲ませてビーチに誘導していた。
時間の流れが早ければすぐに薬の効果がわかるという寸法です。

この種明かしをしたところで後味悪く終わるのかなぁと思ってたら、きっちりカタをつけてきた。
想像していたよりも後味は悪くない。

製薬会社は人体実験をしていたわけで、健康体の家族も巻き込まれるし、残酷なことをしている。人道的に許されることではない。
でも……と考えてしまう。

実はちょっと、老化が起こる謎を今までの犠牲者が残したヒントから推理する方向に行くのかなと期待した。
そういう意味では期待はずれ。
だけど、そこをざっくり簡略化したことで、すごいスピードで老いていく恐怖、心理、関係性がくっきりと描き出されている。

面白かった! と素直に言える作品ではなかったが、興味深い映画だった。


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