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『知らずに済むならそうさせて』創作日記♯2

演出の橋本清さんと、ドキュメンタリー映画とドキュメンタリー演劇で出来ることと出来ないことの違いについて話す。違いばっかりなのですべてをここで語ることは出来ないけれど、「演劇はそもそも放っておいてもドキュメンタリー100%」というのが大きい要素だ。思いっきり出トチる俳優がいて、初日が始まってからガンガン演出を変え始める演出家がいて、偶然起きた悲惨なプライベートが露骨に実作に反映する劇作家がいて、それぞれのめちゃくちゃに振り回されて激しく苛ついたり、一周まわって菩薩と同じ顔になるスタッフがいる。地震で中止になる公演があり、いきなり閉鎖になる劇場がある。出来ることなら想田和弘監督に『演劇100』ぐらいまで製作してもらって、数ある劇団に直撃してほしいところだ(予算はどうするんだ)。『演劇・1』『演劇・2』を観たときには青年団どころか無隣館すら入っていない頃で凄まじい衝撃を覚えた記憶だけは鮮明にあるのに、いま観てみるとただのなんのひねりもない日常的な風景でしかない。いったい何にそんなに驚いていたんだ。自分は当たり前だと信じて疑わないことが、他人には常識を逸脱した世界に思える。そのことを時々忘れそうになる。僕はもう惰性で演劇をしたくないのだ。そのために他者の記憶をカンフル剤として大量投入する。主観と客観。わたしとあなた。外見と中身。フィクションとノンフィクション。それらを明確に区別できない僕。

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綾門優季の坂あがり相談室plus「稽古場訪問&お茶会」

「知らずに済むならそうさせて」

作:綾門優季

演出:橋本清

出演:新田佑梨

2018年5月31日(木) 15時00分スタート(16時30分頃終了予定)
*31日までに創ったものを(30分程度)ご覧いただきます。
*訪問いただいた皆様と一緒にお茶をしながら、お話します。

【会場】
急な坂スタジオ 和室
*お履きものを脱いでいただきます。ご了承ください。

【料金】
無料(予約不要)

http://kyunasaka.jp/ayato_plus

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