見出し画像

新作漫才が怖かった件。

お布団の哲学『対話篇』の稽古場見学にはじめていった。初演と再演で主な変更点はふたつ。

・男優が入江さんから松尾さんに変わったこと。
・劇中に挿入される漫才のシーンで、新ネタを書き下ろしたこと。

松尾さんは韓国から帰国したばかりでセリフがまだ完全には入っていないので、まだまだこれからという感じだったのだけど、漫才のシーンがこわい、という、いったいぜんたいどういうことかよくわからない一報を受けて稽古場に赴いたところ、確かになんだか怖かった。人を笑わせようとして怖がらせてしまう僕の悪い癖が遺憾なく発揮されている。心から驚いた。いつも書いてる時の気分と上演を観た時の気分が一致しないから新鮮な顔で驚いてしまう。

一年半前のことを誰もはっきりとは覚えていなくて、稽古場でひっかかるたびに初演の映像を観ながら「あー」「あったあったこんなの」という流れを何度かやったけれども、原田さんが「初演をなぞらずに演技したいですね」とも言っていて、それもそうだと思いつつ、劇作家としては迂闊に手出ししてより戯曲が悪くなるのも怖くて、結果的に妖精みたいなポジションだった(最大限いい方向の表現をしました)。

こわい漫才はこわい漫才のままでいくことになった。これでドカンドカンウケたら別の意味で笑ってください。観客が入るまで暗中模索は続くのだ。いつまでたってもそうだ。確信があったことなんてない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?