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くし切りビーツに感動するマクロビ料理クラス

こんにちは!デンマーク留学振り返り中のあやたかです。

私が通っていた全寮制のAvnø Højskoleではマクロバイオティックの食事やそれに関する授業が提供されていました。

マクロバイオティック(マクロビオティック)とは?
マクロビオティックというと、ストイックなイメージを思い浮かべる方も多いかもしれませんが、マクロビオティックとは、穀物や野菜、海藻などを中心とする日本の伝統食をベースとした食事を摂ることにより、自然と調和をとりながら、健康な暮らしを実現する考え方です。

マクロビオティックでは、身土不二(暮らす土地の旬のものを食べること)と、一物全体(自然の恵を残さず丸ごといただくこと)という2つの原則があります。

https://chayam.co.jp/macrobiotic/

(分かるような分からないようなシリーズ…!)

滞在が短かったため全ての理論は把握していませんが、「素材を丸ごと食べること」「地産地消」の2つの概念がベースとなっており、その他に、全ての食べ物が陰陽のスペクトラム上に分類されるのでそれらをバランスよく取りましょう、など様々な概念が組み合わさっている理論であると感じました。

ちなみにこの陰陽に関わってくるのは食べ物だけではなく、「太陽がよく出る季節、土地は陽の食べ物はそんなに取らなくても良い」など、自然や緯度なども関わってきます。
他にも漢方のように目的に応じた食材の選択方法などもあり、(それが体の中で本当に起こっているかはさておき、)様々な角度から食材や人間の身体を検討しているさまがものすごく面白かったです。

私が通っていた学校(およびそれを包含するエコビレッジ)の創設者が経営学の先生かつマクロバイオティック栄養学の先生なので、午前中に理論についての講義があり、お昼の少し前に「よし!じゃあ今からキッチンに行ってやってみよう!」という流れでクッキングのクラスになることが多かったです。

クラス取ってない人もお手伝いしにしに来てくれる

今日は最初の授業で感動したプレートについてご紹介します。

(1)赤玉ねぎピクルス

材料:玉ねぎ+梅酢(梅干しを作るときに塩につけた梅から出てくる液体)

マクロバイオティック自体は日本人が考案した概念なので突然”Umesu” ”Miso” “Kuzu”などの単語が出てきます。(ちなみにマクロバイオティックは穀物を摂ることを重要視しているので、朝食は毎日オートミールとmiso soupでした、日本やん)

我らが先生

「私たちは 地球表面にいる細菌の10倍の数の細菌を体の中に飼ってるんだからうまくfeedしなくちゃね!」ということで味噌、醤油、ピクルス、ザワークラウトなどの発酵食品がよく使用されていました。
実際の細菌の数はさておき、発酵食品が大事〜あたりはなんとなく今までの20年以上の日本生活でもそう教育されてきた気がするし、美容系のインフルエンサーの人も毎食必ず発酵食品食べてます!とか言ってるよな!と思い出しました。

ここで、今までの人生で栄養学や、健康観点での食への興味があまり無かったことに気がつきました。塾に行くまでにご飯を食べる時間がなくて、横浜の地下街を歩きながらおにぎりを頬張っている自分に酔っていた時代もあるのでね…24時間勉強できますか時代…
当時の地下街に舞い降りて「10年経ったら北欧でマクロビの勉強してるよ」と言っても全く信じないことでしょう。


(2)フムス

材料:(何かの)豆、野生のエルダー(みんなで森で摘んでハーブ)、玉ねぎ、梅ペースト、クミン、ゴマ

エルダーマシマシ

工事現場で使えそうなブレンダーで混ぜていました。

ウィーーーン

梅ペーストは味というよりは消化を助けるために入れるようです。味は塩気の少ない梅干しでした。
こうして材料をみると強い味がするものはそんなに入っていないのに、後述の茹で野菜と食べたりパンに塗って食べたりするという不思議…。


(3)ブロッコリー&カリフラワー

材料:ブロッコリー&カリフラワー

それまでも隔日くらいのペースで茹でられた(と思しき)野菜を食べており、やたら美味しいなあと思っていました。
実際は茹でておらず、蒸していました。蒸し器は使わず寸胴鍋で、40cmほどの寸胴鍋に対して5cmほど水を入れて、野菜(鍋の80%くらい)を入れて加熱し、蒸していました。この方法で蒸すことで、栄養が水に溶け出す量を抑えているようです。セイロなくても蒸し野菜できるんだ…。

水位が低すぎて水が見えない

そういえば大量のビーツやジャガイモを洗うときも水につけてジャブジャブ洗っていると「ちょちょちょっ!」という感じで飛んできて「なるべく水に浸かっている時間は短くね!」とアドバイスされたのはこういうことだったのか、どうりで野菜全部の味が濃いわけよ、と思いました。(対照実験していないよな、と思いつつ、この方法でやったからより美味しい!と思ってた方が楽しいよな、と思うタイプ)


(4)ドレッシング

材料:ひまわりの種、バジル、玉ねぎ、梅酢、水

上記の材料をブレンダーでぶん回します。ドレッシングなのに酢も油も使っていません。
ちなみに梅酢は酢という名前ではあるが、塩水+レモン汁という感じの味で、マクロバイオティックでは”salt”として使用するとのことでした。
種ベースでこんなにコクが出るんだ!と感動する味わいでした!材料として油を使わなくても種自体に含まれる油で全体的にまったりした舌触りになり、野菜を引き立たせてくれるようにできるのね…うちにも小さいブレンダーがあるのでやってみようと思います。

ドレッシングになる気配ない


(5)黄ビーツのグリル

材料:ビーツ、オリーブオイル、sea salt

ビーツはRepresentative of ingredients(素材を代表する、素材全体を現す) するためにくし切りにします。

Representative of ingredients切り

この切り方をすることで、ビーツの頭とお尻、中身と外側の皮、というビーツ全体の構成する要素が1かけの中に含まれるため、どの1かけを取った人も、自分がどんな素材を何を食べているのかわかります。
このくし切りには、「丸ごと食べる」というマクロバイオティックの思想が端的に表れていると思ったし、みんなでご飯を食べるcommunity eatingにとっても重要だ感じました。(自分が何を提供されているか、に対して透明性があるという意味で)
※このビーツの切り方の理由を開始5分くらいでこれを教えてもらってうおおおクッキングクラス面白すぎる、これから一生ついていきますという気持ちになりました。

今やお気に入りの野菜、ビーツ

(一生ビーツの話したい人で恐縮です、)
例えばある食材を、微塵切りや賽の目切り、千切りなどで提供されると、自分が今食べている物がもともとどんな形なのか想像できないことがあると思います。
小6の体験学習後に、学年頼りに掲載されていた作文に
「アジの開きを作りました。開かれている状態で海で泳いでいると思ったので、丸ごとの魚が出てきた時はびっくりしたし、自分が包丁を使ってアジを開けたことに驚きました」
という趣旨の記載がありました。
小6時点では「アジの生きてる姿も知らんとはw」とただ笑っていたのですが、多分私はデンマークで賽の目切りにされたビーツをだけを食べていたら、ズッキーニやゴボウのような形の野菜を想像して、どんなものを日々食べているか、その食材のどの部分を食べているかに思いを馳せることはなかったと思います。

一緒に生活していた住民の一人が「conscious livingを実践したい」と言っていました。日本語では「意識的にライフスタイルを選択する」と考えることもできます。
自分が食べているものを認識して選択することこそ、(見方によっては)自分の人生やライフスタイルの舵を自分で握る、という感覚につながるのでは、とビーツの皮の硬い部分をこそぎながら考えていました。


(6)玄米

材料:玄米、水

鍋に米と水を1:2のバランスで入れて炊きます
この玄米も地産地消?と聞いたらデンマーク産ではなくイタリア産とのことでした。将来的には穀物も自分たちの畑で作りたいとも言っていました。

以上の工程をみんなで分担して1時間強で完成したメニューがこちらです!

ビュッフェスタイル
何回もおかわりする


作ってみて

お料理クラス以前にも、野菜いっぱいで素材の味が生かされた料理で美味しいな〜と思っていたのですが、それらの背景にある思考や工夫が見えてより食事を楽しめるようになりました。

さらに授業や実践のクラスを経て、食事を科学する(意図を持って食材や調理法を選択する)ことを趣味としてやりたいと思うようになりました。

具体的には薬膳やスパイスの勉強などです。それらに対して「眉唾もんですね」と思っている節も無きにしも非ずなのですが、まあ(自他に害がなければ、)疑っているよりは乗っかってみたほうが楽しそうだし、料理で自分を健康にできたり、生活を豊かにできるのは生きるスキルとしてとても有用だと思うので、社会人デビューが落ち着いた頃に始めようと思います。


お高いプリン購入費に使います。