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医学生が休学して寺修行 ①寺とは、

お疲れ様です!あやたかです🍵
医学部を休学した1年の締めに、京都の禅寺で一ヶ月修行をしてきました。
ノート3部作(予定)で寺での暮らしや考えたことを書いていきます。

自分の中の新しい感覚を発見したり、完全な異世界を体験できた面白い期間でした。
お寺には色んなバックグラウンドの人が来ていて、今元気な人もそうでない人も行ってみたら何かしら面白い発見があるのでは、と思っています。おすすめ。

第1弾の今回は、寺に行くまで&修行生活の概要についてです。



1. お寺の概要

私が一ヶ月滞在していたのは京都・嵐山のもっと奥、亀岡市の宝泉寺です。京都駅からは電車30分+徒歩15分で到着します。HPはこちら 

お寺では、和尚さん1人 + 住み込みスタッフ数人 + 一般修行者(私の立場)数人で集団生活をします。3.5時間の座禅、毎日のお掃除と3回の食事、4時間の自由時間などなどを過ごしていると1日はあっという間に過ぎていきます。週1回休みもあります。(詳しいスケジュールは後述)

修行の期間は自分で決めることができ、2泊の人もいれば数ヶ月単位の人もいます。泊数 x 3000円なのでスケジュールとお財布に相談して決めると良いかと◎(ちなみに一ヶ月だと8万円、3食と個室までついてこれは本当にリーズナブル)

常住さん(住み込みスタッフ)はお寺の様々なお仕事をしているので費用はかかりません。私が滞在している時には常住さんは5人いて、期間は3ヶ月から1年まで様々でした。
一般修行者は2~10人の間を変動していて、1ヶ月で約30人と出会いました。それぞれが修行に来た理由を伺うと、人生のワンシーンが垣間見えてなかなかコク深い時間でした。(みなさんどんな理由で来てるかざっくり分析も後述)

また、和尚さんが臨床心理士の資格を持っており、7泊以上で無料カウンセリングを受けられることも魅力の一つのようです。(私も1回受けました!)



2.申し込み


申し込みはものすごくシンプルで、お寺のHPから住所氏名連絡先など必要事項を入力するだけです。メールで受領の返信が来て申し込み手続きは終了です。
料金も最終日に現金で払うので決済系の手続きもありません。(来てから「やっぱり途中で帰りたい」となっても、宿泊した分だけ払えばOK)

余談ですが、和尚さんが有名大卒→海外で心理学修士→商社や省庁で勤務とゴリゴリの経歴をお持ちだからこそ、の効率の良さかな…と思っています。



3. 持ち物、準備


事前のメールによると、持ち物は以下の通りです。

持ち物:マスク、ハンカチ、タオル、歯磨き用品(磨き粉、ブラシ、カップ)、サンダル(外履用)、運動しやすい服装(次のものは不可 ☓タンクトップ、☓半ズボン、☓ステテコ、☓七分丈のズボン、☓スパッツ、☓派手な柄シャツ、以上のものはご遠慮下さい) 裏山に登ることもありますので、来られる際はスニーカーなど運動靴でいらしてください。

私はこれに加えてシャンプーやリンス、化粧品を持参しました。1月の京都はめちゃくちゃ寒いのでウルトラライトダウンやヒートテック、ゴアテックスもたくさん持ちました。寒かった…。

小学校の宿泊行事のような装備で京都へ向かいました。


4 スケジュール


ざっくりとしたスケジュールは以下の通りでした。

修行スケジュール

 5:20  起床(寒い)
 5:35  任意で歩行禅(寒い)
 5:40  外で太極拳(気持ちいいけど寒い)
 6:00  坐禅(25分×2)
 7:00  朝課(お経を読む)
 7:20  掃除
 7:50  朝食(お粥)
 8:10  休憩
 9:00  作務(掃除・農作業など、途中でおやつ休憩も)
12:00  昼食
12:40  自由時間
17:00  夕食
18:10  法話(50分/火曜・土曜のみ)
19:00  坐禅(25分×3)
20:30  開枕諷経(お経を読む)
21:50  消灯(寒い)


太極拳って力強いイメージを勝手に抱いていたのですが、素人が見様見真似でやる分には「"気"が全身に巡ってポカポカしてきましたね!」的な事象は起こらず、薄暗寒空の下で洟垂らしつつゆっくり動くイベントでした。雪が降っている時もありました。

朝食・夕食も修行の一部なので、食べる順番や作法が決まっています。
衝撃的なのは自分の食器を綺麗にする際に洗剤を使わないことです。たくあんとお湯でお椀に残った食べ物をこそげとり、たくあんは食べてお湯も飲んでいました。
初めのうちは「微生物学や衛生思想の敗北や…!」と衝撃を受けていましたがすぐに慣れてマイお椀はたくわんとお湯にすすがれて1ヶ月を終えました。(他の人はキッチンで洗ったりしてました)

作務(掃除・農作業など)は動きながら行う禅のようなもので、目の前の作業に集中する感覚や効率を考えながら複数人で仕事をするのが面白かったです。途中でおやつ休憩もありました。
一休さんのようにずっと廊下を雑巾掛けしていたわけではありません。(むしろダイソンもレイコップもあった)

上記のほかに、ご飯前にも15分程度の座禅があるので、座禅と掃除ばかりしているような気分でした。


5. 参加してる人のバックグラウンド


参加者は8割くらい男性で、平均年齢は20代半ばくらいかと思います。
高校生から私の両親世代まで色んな方がいて静かながらも刺激的でした。

参加しているみなさんの理由としては、

・心身ちょっと疲れたので休憩(70%)
・これからの飛躍のために一旦落ち着いてみる(15%)
・瞑想や仏教に興味あり(5%)
なんか興味あったんでw(10%)

に大別されると思います。私は4つ目のカテゴリです。

ちょっと心が疲れてしまって今エネルギー低下気味です…という方から「これから新しいことを始めるにあたって自分を見つめたくて!」という熱とエネルギー高めの人もいて、色んな人が共存している空間でした。面白かった。

誰かが踏み出す準備してる時期とか、一度立ち止まっている時間を、伴走するでもなく完全な傍観者になるでもなく、ただ同じ空間で共同生活していました。つい介入したりシャットアウトしてしまう私には珍しい空間でした。


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お寺には私のようなビジター修行者だけではなく、和尚さんやスタッフさんもいました。
上図のように、和尚さんが社長、内弟子が取締役(ここまで二つが出家した人たち)、常住が正社員、一般修行者がバイト、と考えるとすごくわかりやすい気がします。
常住さんは出家はしていないけれど、3ヶ月以上修行してお寺の仕事(料理とか一般修行者の世話)をするので無料で修行しています。私たち一般修行者よりルールも厳しくて、覚えることも多くて大変そうでした。

掃除の振り分けや色んな時のマナーは常住さんが教えてくれるのですが、たまにさすらいのスーパーバイト(一般修行者)が登場して、新入社員(ニューカマー常住さん)をさりげなく助ける、みたいなシーンもあり、上記のモデルが浮かびました。私が勝手に思っているだけなので一緒に修行していた皆さんに聞いてみたら違うかもしれません。


6. 最初の参加目的


お寺に来ているひとのうち、明確な課題や修行目的を持っている方がかなり多いことに驚きました。
かくいう私は、インターンを経て休学当初のもやもやはある程度解消されたので、大きく掲げる目的は特にありませんでした。

・なんか異世界体験したい(留学も行けなくなったし)
・スマホ・PC含め、いつも暮らしている追いつ追われつな世界線から離れたらどうなるのか実験
・インターン中も忙しくしてたし、1年休学してるなら1ヶ月くらい「何かを考えるための時間」があってもいいよね(その「何か」は決まってないw)
・何年か前からずっと興味あった

というゆるふわな理由のみ引っ提げて参加しました。

次回は修行中に考えたことを中心に第二弾をお届けします💌


お高いプリン購入費に使います。