11月の葉山 女子旅
1日違いのお誕生日の友人と、誕生月の11月に一緒にケーキを食べる約束をしていた。
候補の中から選んだ行き先は逗子・葉山。
日帰りで行ってきました。
利用したのは京急の女子旅プラン。
大道芸の繋がりで仲良くさせていただいている方から昨年お勧めしていただいていて、ずっと友人と来たかったプランと場所でした。
鶴岡八幡宮へは過去に何度も行ったことがありましたが、亀岡八幡宮は初めて🐢
鶴と亀で詣でれば縁起が良いと伺い。
狛犬ならぬ狛亀が出迎えてくださいました。
あまり見かけないお出汁の自販機や、お店の可愛い外観を眺めて時々歩を止めたりしながら、のんびり歩いて南口のバス停からバスに乗車。
前日の夜、待ち合わせの場所の詳細を決めるのに逗子・葉山の駅の構造でひとしきり盛り上がった。
この女子旅プランを決めた時も友人とのやりとりが楽しくて楽しくて。
いつも予定を決める時は、行きたいところや食べたいものが多くて、はみ出すほどのよくばりプランになってしまう。
決まったこの日の予定は、
亀岡八幡宮
↓🚌
eat YOGAでランチ
↓🚶
一色海岸
↓🚶
神奈川県立近代美術館
↓🚶
併設のカフェ「オランジュブルー」でケーキを食べる
↓🚶
しおさい公園もしくは行けたら葉山公園
対向車とすれ違うのも大変なくらい、曲がりくねった細い道をバスはずんずん進んだ。
友人が窓側で私は通路側。友人とお話をしていると突然窓の外の視界が拓けて海と富士山が見えた。
会話途中に「わぁぁ…✨」と話を投げ出して感嘆してしまった。友人も窓の方を振り向く。
しんとしていた車内も急に賑やかになった。
景色が拓けるたびに「わぁ✨」となるので、お話が途切れ途切れになるのもまた可笑しくて笑った。
「真名瀬」で下車。
久々の潮の香りが幸せでした。
目の前に広がる海を見てしまったら砂浜に降りて遊ばずにはいられません。
雲一つ無い空と海、
正面には真っ白なお帽子を被った富士山。
シーグラスや木片や石の乗る波打ち際を歩いたり、足を伸ばして座って景色を眺めてまったりとまどろんだり。
私はレンズを覗き込んでしまうけれど、友人はいつもカメラを離して撮る。
「ちょっと行ってくるね」と友人を置き去りに(?)、波が足元まで迫り来る梯子を渡り、海からあがってきたばかりの新鮮な海藻を採って友人のところに持って戻った。
転がっていた木の棒で砂に文字を描いたりもした。
しばらくすると、波が文字を攫っていった。
ひとしきり遊んだらお腹も空いてきたのでランチへ。
お店はちょうど葉山女子旅プランの登録加盟店で、ベジタリアン・ヴィーガン対応なところもとても嬉しかった。
このお店は友人が探してくれた。
壁や戸を抜いた場所には長い棚が備え付けられていて、そこにこだわりの商品などが並んでいた。
友人がふと手にしたものがタロットカードの入った素敵なBOXだった。それぞれに1枚選んで、引いたカードの説明書きを読んで、やり方もわからず“にわかタロット占い”をしてみた。私はガネーシャのカード正常位置だった。
書いてあることにピンと来ることも多くて。占いを人生で一度もしたことがないのでちょっと楽しかった。
仲良くちらちらと風に揺れる柿の葉2枚が私の席から見えた。木に残るたった2枚の葉。ピントがどうしても屋内に合ってしまって難しかったのだけれど、私と友人をその葉に重ねて眺めていたことは友人にも言っていない。
レンズ豆のスパイシーなスープも、お野菜たっぷりファラフェルピタパンサンドも、追加で注文した飲み物も最高に美味しくて、心も身体も整った。
ファラフェルサンドに挟まる揚げナスが特に美味しくて感動も分かち合った。
なによりのんびり友人と過ごせるこの時間が私には至福で。
私の頼んだオーツミルクの自家製シロップ入りのカフェラテは、一瞬にして異国の地にトリップしたような、そんなハッとする香ばしい香りだった。
お店を出て次の目的地へ向かおうと表の通りを歩き始めると、道にペイントされたハイキングコースのご案内をみつけた。
「ちょっと入口まで行ってみよう!」
奇しくもこの言葉がスタートとなる。
時計とにらめっこをして地図を追うと、少し遠回りだけど山頂を抜けて次の目的地である美術館の方へと出られるルートがあることが分かり、山頂まで800㍍の文字に、行けないことはないと踏んだ。
コースの入口の熊野神社に手を合わせて、神社の裏手の「真名瀬コース」から山へ踏み入った。
海に沿って歩いているはずの時間、山にいるなんて。予定外のなにものでもありません。でもそれを心から楽しめるのはこの友人とだから。
「むしさされとまむしに注意」の看板を見て、念には念をと熊よけの鈴ならぬ、まむしよけの枯れ葉の鳴る枝を手に持って勇み足。
ふわふわの落ち葉を踏み鳴らしながら登る山道は楽しい。
先を進む私は、時々後ろの友人の様子やだんだんと高くなる景色を振り返りながら、こんなにも木々の生い茂る山道なのにどんぐりひとつ転がっていないことに気づいて、どんぐりを探しつつひとまず登頂を目指した。
きれいな落ち葉も拾いました。
登れば登るほど、手に持つものが増えていった。
登りきった先にあったのは…
急階段注意⚠の看板は登りの人からは見えず、下る人向けだけに立っていた。
登る方々にも優しさと注意喚起を…!
こんなに続く急階段。
「真名瀬 急階段コース」って表示変更しないとだめだね、なんて会話をして。でもそんなふうに表記したら急階段が続く辛いコースだって分かってしまって誰も登らないからやっぱり急階段は書かない方がいいねって、息を切らしながら意見はまとまった。笑
結局こちらのコースを利用する人はかなり少なく、一人しかすれ違わなかったことを先に記しておきます。
尾根に出ると、どんぐりと左右の眺望が登路を癒やしてくれた。
寒さ対策で着てきたロングコートは早々に脱いで腰に巻いた。
そして…
標高が高くなって道に陽が射し、ツワブキの群花が両側に咲き迎えてくれる階段は、キツさを感じなかった。
永遠に続く急階段を登りきった達成感から、山頂と間違えた展望台に到着。
途中、リスがいそうな木々のある広場に出た。木に巻かれた表示にリスと小鳥が描かれていて「リスがいるってことだよね」ってお話をしていると、右の木の上方でガサガサっと音がした。
観るとリスで、すごいタイミングで登場したリスに驚きとともに大興奮…!声をあげて驚かせてはいけないので、静かなる大歓喜でした。ふたりとも望遠レンズへの付替えが間に合わず、この瞬間とエピソードは心にとどめることにした。
その後、なだらかな道が続いていつの間にか山頂に着いていた。
そうそう、
道中、「界」と刻まれた石が道案内の如く続いていた。なんの指標だろう…?と横目に思いながら進んでいた。
山頂には特にお供えするような場所もなく、拾って携えてきたヤツデときれいな色をした木の葉は無事の登頂に感謝して、山頂の「界」にお供えしました。
そのプレートの、何かを置いてくださいと言わんばかりの上部中心の赤いくぼみにどんぐりの大きさががぴったりで。こういう時に限って先程までたくさん落ちていたどんぐりがまったく無く。
でも、そんなことは決して思ってはいけません。
気づいたら靴とコートの裾に大量のくっつき虫がいつの間にかくっついていました。
「このままでは美術館になんて入れないね。出禁になる!」と、ひと嘆きとひと笑いを。
ひとつずつ摘んで取り除いていくと今度はくっつき虫の持つ油で指がべとべとに。
どんぐりを悪く言うものはくっつき虫に泣きます。笑
みなさんもどうかお気をつけくださいませ。
さて、折り返します!
帰りは友人先頭。
よく見かけるのに、名前を知らない植物の実。
もしも山の絵本を書く時が来たら『行きのつぶつぶ、帰りのきらきら』というタイトルにすることにした。
「いいね♪でも誰にも分からないね。笑」と友人。
下山時に見たこちらの看板。
行きに広場でリスを見かけたときの看板にもリスと小鳥が描かれていたけれど、小鳥が急に大人びておしゃれに目覚めていました…!
上から読んでも下から読んでも『花火花』。新種発見だったらいいのですが、きっと正式な素敵な名前があるはず。
それ以外にも、一見 柊のような尖った葉を見かけて、それがモモンガが手を広げて宙を跳んでいる姿にしか見えず『モモンガ草』と名付けた。安易だけど、案外どこにもなさそうなネーミング。
『行きのつぶつぶ、帰りのキラキラ』の絵本にも登場させましょう!
木々の間からみえる海が、落陽でキラキラしていた。
風の匂いが急に変わり、どこかのお宅で吠える犬の声に、いつの間にかだいぶ街の方へ下りてきていることに気づいた。
行きのコースと違い、利用者の多いこちらの道は落ち葉が踏み均されていました。
今回も「本日の枝」を選んで写真を撮る。
いつかどこかのnoteにも書いたのですが、この友人と会った時は“本日の枝”を1つ選んで私がポージングをし、その写真を送りつける方がいます。
選ぶ枝は普通の枝では物足りなくなり、めちゃくちゃ長かったり太かったり変わった枝に。中にはもう倒木レベルのものも。笑
“持ち上げることができたら枝”と、一応線引きをしていますが、女子にはあるまじき男まさりで力持ちの私には結構持ててしまうのです…!
これまでの素晴らしき枝々をぜひご覧いただきたいのですが、顔も写っているため、ここに載せられないのが本当に残念でなりません。
ジャンプしないと撮れない高さにあったつやつやの赤い実。
一眼レフのスポーツシーン設定では、通常は激しく動く被写体を静止画で撮る時に適したモード。
逆にこちらが激しくジャンプをして、動かぬ被写体をちゃんと撮れるのか実験することにしました。
結果は。
「撮れてる〜!」と、ふたりで大笑い。
人生でいちばん大きな蜘蛛にも出逢った。
そう言った次の瞬間、さらに大きな蜘蛛がいて、私の“人生でいちばん大きな蜘蛛”の記録が数秒で塗り替えられた。笑
街の中をすすむ。
少し進むと右から視線を感じ、見てみると「飛び出し坊や」。
写真を撮っていると今度は左上方の木の枝に気配が!!
急いで望遠レンズに替え、ここでようやく姿をとらえることに成功◎
ありがとう飛び出し坊や!!!
坊やの視線を感じなかったらリスにも気づかず、きっとここを普通に通り過ぎていました。
樹から樹へと、速い速い💦
必死に肉眼で追いました。
かわいいお顔こそ写せませんでしたが、しばらく追って俊敏な生態を眺めることができて大満足でした。
余韻でふわふわしながら歩いた。
途中にふわふわの世界もあった。
2151と表示のあるカフェが素敵で、次はここにも来たいねってお話をしたり、素敵な佇まいの郵便局に足を止めて眺めたり。うっかりリスを撮った望遠レンズのままで、郵便局の全体が入らなくてふたりして後退りをした時には本当に笑いました。
後に2151を調べたら一軒たりともカフェなど出てこなくて、住所だったことが分かって再び友人と笑った。
私達の中ではもう、あの素敵なお店は『2151』で登録です。
海が近づいてきて、いつの間にか砂の上を歩いていた。
波打ち際で、キラキラと寄せては返す波をただただ眺める時間に癒やされる。
いつまででも眺めていられた。
左手に、先端まで行けそうな場所があることに気づき、行くことにしました。
海藻を釣り?
見知らぬ木の実を掻き分け?
たどり着いた。
この場所は「小磯の鼻」と言うらしく、海ギリギリまで芝生が続く丘。
一緒にいるけど、それぞれに気になるところを自由に歩いて満喫。
友人は岩に生えたど根性猫じゃらしをみつけてしゃがんでいた。
浜辺を歩いて戻り、しおさい公園の中を突っ切って神奈川県立近代美術館へ。
今回の最大の目的は、美術館併設のレストラン『オランジュブルー』でケーキを食べること。
それでも私達の中では「食べれたらいいね」くらいのポジションだった。寄り道したり予定外のことがいつも起きて時間がおすことを予め想定済みで、ふたりで過ごすことの方が重点だったからです。
ケーキメニューはチーズケーキとアップルパイ。私達はふたりともアップルパイを選んでアイスティーを頼んだ。
帰宅後、お互いに撮った写真をアルバムでシェアした時に、アップルパイの写し方やアングルが似ていて。光の入る方向と見え方と軸、それぞれから見えていた景色を見比べるのが楽しかった。
アイスティーとアップルパイへの入陽の透過性と机に映るグラスの光と陰を軸に、背景の海と友人とカメラも写し込みたくて。よくばり。笑
アップルパイの素材感と断面、お皿の穴の存在も隠れず、光の入り方が明るく美しくて立体的!
時には一眼レフカメラで撮るより、スマホで撮った写りのほうが好きな写真がある。
ここからの眺めもそうだった。
お互いへのプレゼントを贈りあった。
メッセージカードやお手紙ではなく、本の最後の方のページに友人への言葉を忍ばせた。それなのに友人は早速その本から手にとって眺め始める。そのままメッセージに気づいてしまい、友人も私もそれにはびっくりでした。
正確に言うと、紅というよりは柔らかなピンク色。
色彩の表現は不思議だけれど自分の瞳で見つめた世界の色を言葉にして表現するのはいつだって難しい。
美術館の外の作品を残りの時間で観て回ることにしたのですが、、、
刻一刻と変化する色彩美に感動し、
言葉も失い夢中で眺める。
たくさんの作品を観て回るよりも価値のある夕焼けひとつでした。
友人が撮ってくれていた写真。
どれも優しい。
友人の撮る写真はいつもそう。
植物の写真が特に好きで、出逢った時から告白のように「いつか写真集を出してほしい」と懇願している。
友人を写したこの1枚がお気に入り。被写体に選ぶ大好きな人たちの自然な瞬間やふとした時の一瞬の表情の綻びを撮りたくて。それがカメラを買った大きな理由。
今日も素敵な1枚が撮れて最高に幸せでした。
私はやっぱり撮られるより撮る方がすき。
友人と行きたいところがすでにたくさんあるのに、一緒に何処かへ行くたびに新たに行きたい場所が増える。そしてまたここにも来ようねってなるので、ずっと増え続けている。
次に葉山へ来たら行きたいところ、食べたいもの、買いたいものも決まりました。
お誕生日には毎年ここへ来ようって提案してみたけれど、1年後まできっと待てないだろうな。
駅に戻るバスの車内から眺めた夕焼けの続きと終わりが切なく美しく、
空は秋冬にしか観られない黄金と紺藍と深縹のコントラストで見事に飾られていました。
「お誕生日おめでとう」
海と山と空に包まれた、
素敵な共通の思い出がまたひとつ増えました。
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