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#5 後ろ


みなさんこんにちは

みなさんは "幽霊"の存在を信じますか?

幽霊 ...

理論上存在し得ないと思っているので僕は信じていません ...

壁をすり抜けたり、ありえない場所からヒョイと顔を覗かせたり、消えたり ...

そんなことができる物体なんて無い!

ただ、心のどこかで、存在しないこともないなと思っている気がします。

なぜなら、1度、それらしい経験をしたから

それは

金縛り


です

金縛り     なったことある人もいるでしょう

REM( Rapid Eye Movement )睡眠状態で目が覚めるとなんちゃらかんちゃらってやつですね

そうなんです、現在は金縛りの原因も科学的に解明され、心霊現象ではないといわれています。

しかし、それを否定したくなる出来事が同時に起こったのです

そんな話を今日はしていきたいと思います。










あれは中学1年の頃

蒸暑い夏

放課後の部活

締め切った窓

滴る汗

風が一切入らない体育館でがむしゃらにピンポン球を打ち続けていた


早く終わりにならないかな ...


そんな事を思いながら時計の針を急かす

だがこういう時に限ってこいつは亀になる

1秒1秒が長く感じた


はい今日はこれで終わりにしよ!整理体操して帰ろう!


顧問が発した声を反射的に捉えた

(っっっよし!!!!!)

間違いなくこの時のリアクションタイムは世界一だった

そう

明日から待ちに待った夏休みだ

誰よりも 家に帰ることを待ち望んでいた

部活終わり

いつにも増してテキパキと 帰り支度を整える

体育館を出る

風が気持ちいい

ほのかなシーブリーズの香り

駐輪場へ

所狭しと並んだ自転車

強引に引き出す


帰り道 

友達と横並びになりながら

話が弾む

夏休みに遊ぶ予定を立てる


楽しみだ ...


別れたあとの一人道

蝉の大合唱

無意識に自転車を漕ぐ足に力が入る


早く帰ろう


疲れ果てていたが僕は全力で車輪を回した



夕飯や風呂をなどを済ませ、そんなこんなであとは寝るだけに

ようやく夏休みだ ...最高。
まあでも明日も部活あるからとりあえず早めに寝よう


明日に備えていつもより少し早めに寝ることにした

リビングから出て廊下を抜け、少し段差の大きい階段を上る

左に曲がって

右に曲がって

自分の部屋

電気をつける


暑い


2階だからなおさらだ

クーラーのリモコンを手にする

つかない

もう一度ボタンを押す

つかない


なんこれ?????引退した??



もう強引にいつも通りここで寝てやろうかと考える

ベッドに横になる

まあ無理だよな


さすがに暑すぎた

どうするか


1階ならクーラーは現役を続行している

思春期真っ盛り

かなり恥ずかしく気が引けたが仕方ない

両親、妹と共に1階の同じ部屋で寝よう



あまり乗り気でない重い足を動かし

階段を下る

ことのあらましを説明し

一緒に寝ることに

まあ今日だけ耐えるんだ


そう自分に言い聞かせ、瞼の裏を見つめた。













ミーン ミンミンミンミンミーン


蝉が鳴く音で目を覚ます

カーテンの裏が微かに明るい

(しまった!早く目を覚ましすぎたか...?)


頭の横にある目覚まし時計を見る

やはり早朝すぎた

(まあいいや、起きよう)


そう思い、身体を起こそうとしたその時

(動かない?!?!?!)


おかしい     首から下が言うことを聞かない

自分の身体ではないかのようだ

鎖で縛られているようだ

やばい


とっさに右側で寝ている母親を呼んだ

((お母さん!!!))


声が出ない

全く声が出ない

声帯を震わせること以前にそのための空気も出てこない


(なんだこれは ..死ぬのか ..?!)



そう思わせるのに十分な程不可解なことが起こっていた


(まずい ..死にたくはない ..!!)


必死に首を動かしなんとしてでも身体を動かそうとする

と同時に何が起こっているのか探るべく

周辺に目を走らせる


ん?


極限状態だった僕は目からどうにかして情報を集めようと必死に観察していたが、ある場所に焦点を当てた



足元だ





なぜか???





そこには 

髪の長い 白い服を着た幽霊(?)が立っていた




怖すぎる 


(あ、やっべぇー、見えちゃってる?もしかして?)


身体も動かない 声も発せない 


(抵抗できないね、これ)


そう理解した僕は逆に冷静だった

(もしかしてこの幽霊(?)の仕業で動けなくなってるのかな?なんでみんなは気づかんの?怖いよ?)


なんて思っていた

幽霊(?)は相変わらず足元に佇んでいる

黒い長い髪

全身白

心做しか髪の間からこちらを見ているような気がする

だが何となく、僕を恨んだりしているわけではなさそうだなと感じた

だとしてもさすがに見えているだけで怖い

"いる"ことに気づいてからたったの10秒ほど

だがそれが5分であるかのように長く感じた


どうすればいいんだろう

何か解決策はないかな

みんな起きてくれないかな

なんて考えを巡らす

一瞬 目をそらした








すると次の瞬間








消えた。


(え?さっきまで確実にいたのに!)



狐につままれたかのように呆気にとられていると

いつの間にか身体を動かすことができるようになっていた


(なんだったんだ?いまのは)



そう思いながら
鎖が解けた身体を動かし、自分であることを確認する



(俺だ ...!)





間違いなく13年連れ添った自分の身体だった



(あれ?声は出せるのかな?)



もし声が出なかったら怖いので、"伸び" のついでに声が出ちゃいましたよ 感を装って出すことにした


世界一ぎこちない伸び


出た。


完璧に普段通りに戻った僕は

幽霊(?)を見た怖さも忘れ

身体が動くありがたさを噛み締めながらふと考えた


(また眠ったらもう1回同じことになるかもな...)


完全に恐怖に支配された僕は

二度寝などせず身体を起こしリビングへ向かう




(なんか音があった方が怖くなくなるよな ...)




リモコンを手にとりテレビをつける










それでは今日のお天気です! 

全国的に気温は高くなるでしょう

特に関東はところどころ猛暑日となる予報です

しっかりと水分補給をし、熱中症対 s ...








消えた。





リモコンはソファーの上に置いてある

何も触れているものは無い






ただ暗い画面に自分が写っている









その時









かすかに       そして        たしかに  










背後に気配を感じた。






おわりに


いかがでしたか?

ほんのちょっとくらい涼しくなりましたか?

もう梅雨もあけましたし、これからが夏本番です

暑すぎていやになっちゃいますね

そういう時はこわ〜い話で涼しむのもありだと思います

僕は苦手なのでパスしますがね


こういう話をしていると

本当に寄って来てしまう


らしいですよ

あんまりしないのが賢明なのかもしれませんね


それではまた次の記事で会いましょう ...








あ、そうそう、ずっと気になっていたのですが











あなたの後ろにいるのはだれですか?









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