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パリ・オランジェリー美術館で一味違ったマグリット展を。

5月なかばから半年ぶりに美術館が開いたパリ。マグリットの展覧会をやっているオランジュリー美術館に行ってきました。

現在開催中の企画展はこちら。

「マグリット・ルノアール 光のシュルレアル展」

マグリットがルノアールの影響を多大に受けた、後期の作品群。「シュルレアリズムにも光を!」と言いつつルノアールみたいな明るい色彩で絵を描き始めた時のコレクションです。

‘Magritte / Renoir. Le surréalisme en plein soleil’

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友達にも評論家にも散々の言われようだったそう。確かに、色もタッチも無駄にとっ散らかっていて、見にくい絵が多い 笑 それまでの知的で緻密な完成度を考えると、周辺も抵抗あった人が多かったのも頷けます。

「そう? 綺麗じゃないですか」
という方には、こちらとか…

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アイディアが無駄にマグリットなだけに、この果敢に印象派な処理がもどかしい…

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これとか…
マグリットですよ?
違うだろ! とつい叫んでしまった批評家の気持ち、わからんでもない。

でも、マグリット本人にもちゃんと理由が。
このムーブメントを起こした当時、フランス〜ベルギーはナチスに占領されて、とっても暗い時代だったんですね。
マグリットは、そんな中だからこそ光や愛、幸せなモチーフを描いて人々に希望を忘れないよう伝えたかった。

一方アンドレ・ブルトンあたりの友人は、暗い気分や時代の空気を、偽らずそのまま伝えるべきだと主張。意見が割れちゃったんですね。

どっちもアリよね、とお互いそっとしとく…という選択肢を取らないのが、議論の国フランスなんでしょうか。アーティストってなかなか難しい。

ルノアール調でシュルレアリズム、って割と面白い発想だし、新鮮で、私はとても面白かったです。マグリットって、好きだけど頭で描いてるっていうか、ちょっと冷たい印象があったので、こういう熱い血潮ほとばしって勇み足でコケた…みたいな側面も知れて良かった。

お隣でやっていた「パリのアート展」も素晴らしかったです。

ギヨームというアートコレクターの蔵品公開だったんですが、ユトリロ、ローランサン、ピカソ、モディリアニ、アンリ・ルソー、ルノアール、セザンヌ。。うおお…

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いい作品揃いで頭に焼き付けたいのはやまやまだけど、「待ってくれ、一日で消化できるキャパ超えた…」

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そんなわけで、
なんと、上行ってモネの睡蓮がドーンと出てきた頃には、正直頭は空っぽ 笑
「おーおー有名な睡蓮や。デカいね〜」なんて言いながら、ぐるっと回って出てきちゃったのでした。

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階下の展示が良すぎたな…。

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オランジェリー、すっごく素敵な美術館でした。展示作品も良かったけど、大きすぎず小さすぎず、古い建物の中をリノベした現代建築の構内がとても良かった。ガラスをたくさん使って自然光をたくさん取り入れつつ、石のひんやりしたテクスチャもありつつ。ルーブルやオルセーのような大きい美術館ではありませんが、両美術館の間にひっそり佇む素敵な空間です。

また行こう。

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