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読書ノート

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読んだ本など。
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うんこ!

うんこ!

 のっけから、かなりなインパクトのタイトルですが。

 お食事中の方すみません。我が家では全く気にならない話題なんですけど、やはり、食事中には避ける話題みたいですね。
 苦手な方は、ここでそっと離れてください。
(でもまた来てね!)

 私の今現在の世を忍ぶ仮の姿は、スーパーの店員なのですが、先日レジ打ちしていた時のこと。カゴの中の商品を見た瞬間、どうしたらいいのか、これはシャレなんだろうか、と

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『聖なるズー/濱野ちひろ』

 動物性愛。この響きに、怖いもの見たさの好奇心でページをめくった。
 いわゆる獣姦に関しては、極小数の特別な性的嗜好の人々のものであり、自分には全く縁のない世界のものであると思っていた。しかし、本書を通して、当初感じていた偏見は、少しずつ壊されて行った。
 ズーと言う生き方、そこにあるセクシャリティーの問題と、動物との関わり。動物の性を尊重するという考えに至っては、目からウロコというか、なぜ今まで

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『大江戸火龍改/夢枕 獏』

久しぶりにイッキ読みしました。
主人公初め、全てのキャラクターが魅力的で、読んでいてワクワクしました。
途中途中に挟まれるイラストも、作品の雰囲気をよく表していて良かったです。
実は『陰陽師』で挫けた経験があり、苦手意識があったのですが、今回は楽しく読ませていただきました。何より、擬音が独特で何とも言えません。
シリーズ化されるのでしょうか。とても楽しみです。
#大江戸火龍改 #NetGalle

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『跡を消す/前川ほまれ 』

 ひょんなことから、特殊清掃業でバイトを始めることになったフリーターの主人公。現場に残った腐敗臭や遺体の跡に群がる虫などに、逃げ出しそうになりながらも、なんとか踏みとどまる。
そこで出会う依頼主や、惨憺たる現場から浮かび上がってくる故人の生きた跡を目の当たりにした時、彼が見つけたものは。

 最近耳にするようになった、特殊清掃業。人が亡くなったあとの部屋を片付ける、と言えば簡単だが、亡くなり方次第

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『 魔女たちは眠りを守る/村山早紀』

その昔、想像力を働かせ、「もしも、~だったら」と言う願いや夢をどうしたら叶えられるか、そんな時、魔法が使えたら、と考えたことがある全ての人に贈りたい物語。
ファンタジー小説ならではの派手な演出はなく、淡々とした日常の、ほんの隙間にある奇跡が描かれています。それ故に、もしかしたら本当に魔女は存在しているのでは、と思えます。
魔女から見た人間界は、時間の概念も恐ろしく違っていて、それゆえの悲しみや切な

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『太陽がいっぱい/パトリシア·ハイスミス』

言わずもがな、アラン·ドロン主演の映画で知られる作品の原作である。

主人公トムは、イタリアに行ったまま帰って来ない富豪の息子の親友と勘違いされ、連れ戻すように依頼される。

自分と年も同じ、背格好も同じ、ただ違うのは、貧しいか裕福かと言うことだけ。父親のお金で悠々自適な生活をしているディッキーに対する羨望と憧れは、いつしか恋心に変わっていく。

殺人に至る過程は、実は相当に入り組んだ心理が潜んで

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『色彩/阿佐元明著』

プロボクサーだった千秋は、ケガをきっかけに引退し、塗装業に就き平凡な毎日を送っている。妊娠中の妻を気遣いながらも、なぜ自分はここにいるのだろう、なにをしているんだろう、と焦燥感を抱えている。
ある日現れた新人の加賀くんに、訳のわからない苛立ちを覚える。

夢を諦めたものの、心のどこかで諦めきれないでいる臆病な自分と重なる部分を加賀くんの中に見て、千秋は加賀くんにある種の同族嫌悪を感じていたのではな

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『神様がくれたピンクの靴/佐藤 和夫著』

ケアシューズでは知る人ぞ知る『あゆみ』を製造販売している徳武産業の取り組みについて書かれたもの。
オシャレとは縁遠くなる高齢者の足元を、機能性はもちろん、靴を履くことが元気の源になるような製品作りは、自利ではなく他利、という精神が染み渡っている。
商品を売るだけではなく、その先の満足度をいかにして大きくしていくかと言う、愚直なまでな取り組みは、全ての経営者はもちろん、一般の消費者にもぜひ読んでもら

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『私はスカーレット/林真理子』

ブクログの献本企画で入手。

子どもの頃、映画を観てすっかりファンになり、原作を読み、後日談である『スカーレット』をワクワクしながら読んで失望した経験があるため、正直に言うと、期待していませんでした。
本編とはあまりにかけ離れた物語になってしまっていて、自分の中のスカーレットのイメージを壊されてしまったからです。

ところが、この作品は、いざ読み始めると、スカーレットにだけ焦点を当てた展開で、細か

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『昨夜のカレー、明日のパン/木皿 泉 』

若くして夫を亡くしたテツコさんは、その父親ギフと一緒に暮らしている。
お互いがお互いを尊重し、適度な距離感をもって暮らしているのだ。

夫婦でもなく、親子でもない、他人なのに、お互いの共通項である家族を亡くしたことで、ある意味宙ぶらりんなままの関係、周りからは不思議に写るかもしれないが、実に自然で、羨ましくさえ感じる。

付かず離れずの共同生活は、家族ってなんだろう、と考えさせられる。

登場人物

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『虎を追う/櫛木理宇』

連続幼女殺人事件の犯人として、死刑宣告されていた容疑者は実は冤罪だったのでは?と言う疑問を抱いて、元刑事とその孫がSNSを駆使して真実を暴いていく。

犯行の描写はあまりにも残酷で思わず目を背けたくなるほど。
それほどに、この作品は全編、圧倒的な筆致で描かれている。

インターネットを駆使して明らかにされた真実が、また新たな虎を産むことになるかもしれない危険性をも指摘しているかのようなラストも秀逸

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『このままなんとなく、あとウン十年も生きるなんてマジ絶望/長江 貴士著』

文庫Xで一躍有名になった長江さんの書いたもの、しかも、このキャッチーなタイトルにドキドキしながらページをめくると、そこにはネガティブのかたまりが…。

いわゆる、今流行りの、「なんでもポジティブに行こう!」と言う思考の真逆をいく内容で、本当の意味でありのままの自分を受け入れることについて書かれています。

世の中の、グイグイ進んでいくことが良いことである、と言う暗黙の圧迫に息苦しさを覚える人にそっ

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『密室を開ける手/藤本 ひとみ』

主人公が高校生と言う設定がどうにも無理があるようにも思える。
父の行動に対する謎解きに終止して話を進めるためなのだろうが、母親との関係を絡めたことは余計であるように感じた。子どもの頃のタズとのエピソードも、あまりにも衝撃的なものなのに、あっさりと思い出話にされてしまうのもどうか。
亡くなった祖父との思い出を辿る、と言うのでもなく、父との邂逅を主軸にするでもなく、その密室の先にあったものの正体も、結

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『この夏のこともどうせ忘れる/深沢 仁』

高校生の夏休み。
大人でもなく子どもでもなく、それゆえに傷付いたり傷付けられたりする、胸の奥の鈍い痛みを思い出させるような作品ばかりだ。
見てはいけないものを見てしまう、見てはいけないものを見たくなる、そんな感覚。どれも普通の日常を描いているだけなのに、とても怖い。
どれも主人公たちのその後が気になってしまう。
暑い夏にぴったりの作品だと思う。
#この夏のこともどうせ忘れる #NetGalley

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