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Ayumu Akimoto
2015年7月28日 14:00
わたしはパン売りの少女。来る日も来る日も焼きたてのパンを並べては売る。街にはパン屋はここにしかなかったから、毎日たくさんのお客さんが来て、焼きたてのパンを出しても出しても終わりなく買っていく。焼きたてのパンは柔らかい。積み重ねればあっという間にぺちゃんこになる。そんなことはわかっていても、並べる暇もないくらいお客さんが次から次へとやってきては買っていくものだから、「さっさとしろ
2015年7月28日 13:29
彼は完璧なまでに美しかった。仕草のひとつひとつまでも。ただ呼吸をするだけでも。彼は彼であり、彼以上のものはこの世にはいないだろうと思った。ただひとつ、右耳の形がひしゃげていて、むき出しになった耳の穴が彼の完璧な美しさには不似合であったが、かえってそのことが、彼の美しさをより際立たせていた。「ん?どうしたの?」彼が不意に私をそっと抱き寄せ、右肩に顎を載せる。「んー。なんでもな
2015年7月7日 00:24
梅雨だから仕方ないのだ。毎日の天気予報で一週間ずっと傘のマークが続いていても、湿度計替わりのくせっ毛がくるくるとカールを描いても、それは仕方のない事なのだ。憂鬱な気分で湿った満員電車に乗るのも、お気に入りの靴に雨が染みるのも、そう、梅雨だから仕方のない事なんだ。「最近身体中痛くて」「梅雨だからね」「身体が鉛みたいに重いんだ」「湿気のせいだよ」いつもと変わらない日常に少しずつ落