見出し画像

夏が終わろうとしている

ここ最近、子どもを寝かしつけた後、夫と散歩をしている。
家にいるより外の方が涼しくて歩き始めたのだけど、空には星が瞬き、誰ともすれ違わず、虫の音がリーリーと響くなかを歩いていると、夜のしじまを独り占めしているみたいですっかり虜になってしまった。

夫はコンビニへビールを買いに行く正当な理由ができたようで、嬉しそうだ。

道すがら、子どもたちの様子や仕事の進捗状況、今ハマっていることや目標を(一方的に)話すうちに、ごちゃごちゃに散らかっていた頭のなかが整理されていくみたいで気持ちいい。

・ひときわ輝く瞬かない星(調べると木星だった)
・遠くから聞こえる猫の鳴き声(うちの子)
・雨のあとゴーゴーと唸る川の音(水の溜まりを通ると臭かった)
・真っ暗な川辺から漂う強いコロンの香り(近隣の日本語学校へ通う外国人カップルの逢い引き)

目も耳も鼻も口も、そして心もいつもより過敏に自然を受け止めていて、あぁ子どもたちにもこれくらい繊細に向き合えたらなぁと思う。

家に着くと音を鳴らさないようそっとドアを開けて、2歳と4歳の娘が眠る寝室に神経を研ぎ澄ます。
よかった、誰も泣いてない。

冷たいほうじ茶を飲んでから、夫に「おやすみ」を言う。
(夫と私の寝室は別なのだ)
寝室に入ると布団の上で、日焼けした子どもたちの無防備な寝姿をしばし見つめる。
さっき全身に浴びた夜の静寂が私を満たしている。

明日も健やかに楽しく過ごせますように。
この無邪気さがずっと失われませんように。

体調を崩した両親を想い、祈りを送る。
私も子どもの頃こんな風に愛おしく思われていたんだと思いを馳せてから、自分を抱きしめるように膝を抱えて眠る。

この記事が参加している募集

散歩日記

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?