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ショートショート「震天動地」※要・自己完結シード(種)

我が党は政策集団として生まれ変わらなければなりません。その為には流派を越えて一人一人党員が国民に寄り添い、有権者に寄り添い国の運営に力尽くさなければならないのです。従いまして今後は流派ではなく政策グループとしての機能を…… ……

「おいキミ。なにか宰相は震えてないかい?」
「そりゃぁ震えるだろうさ。まそうさんに一言の相談もなしに決めたらしいからね。まそうさんにスリゃ、寝耳にミミズ、冗談はよしこさん、そんなことは云うまでもなくのハッキリ花子さん~だろうからね。驚天動地の震天動地。ワナワナと震えていたらしいよ。これから遣り難くなるんじゃないですかね。あっちこっちでまだまだ震えて眠る夜が続いている~なんて声も聞こえてきますからね」

パーティー券問題、裏金問題に端を発したとある国の宰相は、流派を解体する方針をプレス向け特別記者会見の席上でリリースしてみせた。がこの記者会見を目にした大半の国民はテレビの前、座り直して観る者はおらず、あるものは震動するマッサージ機に背を預け、震える宰相とマッサージ器がシンクロを見せ、差乍ら止まっている様に見えたという。またあるものは震災復興に汗流し、カーラジオから流れる音声だけを耳にしていた。
「顔が見えないことが救いさね。お互い様だろうけどね。あちらさんだって被災者の顔は見たくないだろうさ」そういうと、先端に開けられた穴から指が腹を覗かせる軍手をはめた手で耳の間に挟んだシケモクをその指先に持つと雪焼けした顔に近づけ凍震する手で火をつけた。
震災被災現場を担当するテレビ局のリポーター。そのマイクを持つ手も寒さに震えていた。

「おイキミ…… ぼくは今月の漢字というのを思いついたよ。今月が12月ならきっと今年の漢字に選ばれるはずさ。云わずともキミならわかるだろう?」


様々な激震に振り回された一月もあと一週間。
豊かで実りある一週間となりますように。

寒い中、復興に当たられてます皆様。そしてご不自由な中避難生活をしておられます皆様。どうかくれぐれもご自愛くださいますように。


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