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随想好日「独白形態というひとつの私小説に気付く」

二日ほど前だろうか。冴生いずみ氏の手による独白型小説を手にし、読ませて貰う機会を得た。70枚ほどの短編であり、自ら経験した原因不明の病を中心に独白が紡がれていく体である。

 わたしの記憶では独白型小説を読んだのは太宰治の何本かに限定されるはずであり、それも数十年前であることから、今回の読書はとても新鮮であり学び多き読書となった。
 先にも書いたように自分の病気を中心とした独白が続く。子供のころに感じた、病気をもった子供たちにそそぐある種の羨望の眼差しの行などは、思わず自分の過去を手繰り寄せ、詩のようなもの小説のようなものを書くに至ってしまったほどである。

「痙 攣」冴生いずみ 作

他人様の作品から刺激を頂けることも少なくはない。
今回の読書はそういう意味で大いに勉強になった。
特に感じたことは独白形態という一つの"私小説"のスタイルに想う潔さである。自分をクイモノとするのであるからどれほど潔い事か。文学とは、小説とは斯くあるべしと読んだ気になれる作品だった
何処かに何らかの形で反映することが出来れば良いのだが______________ 。


※昨日アップした『蛇口』は冴生いずみ氏の作品から得た着想を私なりにひとつの形にしたものである。忘れてしまいがちな子供のころの日常であり心の動きというものをみつけたときにドキッとすることは少なくない。

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