岬の兄妹という映画を観ました。

※ネタバレ含みます。




足の不自由な兄と自閉症の妹の話。
海沿いの町に2人っきりで暮らしている兄妹。自閉症の妹はたびたび家を抜け出してしまう。その都度兄が探し出して家に連れて帰り今度は逃げないようにと足に鎖を巻き付ける。
ある日、また抜け出した妹を連れて帰ったところ妹が誰かに体を売ってお金を貰ってきたことがわかる。
初めはショックを受ける兄だったが生活に困窮していたこともあり、自身の妹を斡旋し売春させてお金を得る。

その中で妹の心と体にある変化が起き始める。

監督:片山慎三

「献身的に妹を支える善良な兄」なんて理想のカタマリのようなものは一切無い。
恐らく今の日本の低所得者層のリアル。なのかもしれない。
「自閉症の子は心が純粋で美しい」というのを聞いたことがあるけど、そんな綺麗事だけではお世話や介助は出来ない。

兄は友人に妹を斡旋していることがバレてしまう。
その際に「お前それでも人間か!!!」と罵られる場面があるが何もスカッと出来ない。それほどのクズ。
かといって同情も出来ない。

そんな中、妹は"お仕事"を楽しみ始める。
自分から客のボタンを外したりお気に入りの客に自らキスをせがんだりする。「好き?私のこと好き?」なども言う。

恐らく兄は最後のシーンの後も売春を辞めないだろう。
何か自分に理由をつけるのか、現実から目を逸らすのか、妹のせいにするのか。
いつまでも続けれるわけはないのに目の前のお金から目を離せない、醜い。
人間の醜さは愛すべき点ではあるがこの兄は愛せない。
憎めないクズではなく憎むべきクズ。
でもこれが今の日本で普通に起きている、普通に起き得る話と思わされるのが絶望的。


特に絶望的なのが自分と、この兄を重ねて見てしまうこと。
兄は友人にお金をせびる。せびる際は必死に可哀想な自分を演じる。そうして貸してくれたお金が少なかったら被害者面をして文句を垂れる。自分のために怒ってくれている友人に向かって言い訳をし、開き直り、癇癪を起こし、膝から崩れ落ちて、現状を打破しようと考えたりもしない。
無論、今の僕はそんな愚かなことはしない。
それでも自分と兄を重ねてしまうのは"自分にもいずれこうなる可能性が充分にある"と思っているから。
何かの糸がプツンと切れればそちら側に真っ逆さまに堕ちていく、そんな気持ちを常に抱えている。

だからこの映画は見ていてとても辛かった。
「頼むから報われてくれ」と何度も願いながら観ていた。
報われたいのは自分なのかもしれない。



書きながら思ったけど、たぶん映画の感想ってこんなんじゃない。
もっと、カットが〜アングルが〜構成が〜監督の意図が〜、とかをごちゃごちゃ言うのが正しい映画批評よね?
途中からやってること『独白』みたいになってたけどもこれでいいのかしら。
変なことしてるわぁ〜。

真剣に映画批評している文かと思ったら急に書き手の話になって読んでる人からすれば「うんうん…なるほどな。…ん?…何この流れ…知らん知らん知らん!」ってなったでしょうね爆
そう考えたら一人前に「※ネタバレ含みます」って前置きしてんのも腹立ってくるな笑
そういうのよく見るから真似してみたかったんやろな笑

本来こういう自分の愚かで痛々しい部分って恥ずかしくて隠そうとするものだけど、こうやって自分でさらけ出して面白がれるようになれたから「芸人になってよかった」って心底思えるようになりました。

また独白っちゃいました。さけとば♡
間違えました。てへぺろ♡

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