爆発侍 尾之壱・爆発刀 五十
ならばその軌道を避け、小刀で胴を打つ。
いや、間に合わぬ。
ならば小刀で受け、大刀で返せば――
その瞬間、露天風呂で自らの刀を折った右門の打ち込みが、電光のように宮部の脳裏に浮かぶ。
いや、右だけでは受けきれぬ。
瞬き程の間にそう結論づけ、宮部は左の太刀を振り下ろす。そして、それに乗せるように、右の小刀を交差させ、右門の繰り出すであろう斬り上げの軌道に落とし込んだ。
果たして、右門の木剣が唸りを上げて跳ね上がった。
向かって左下方から右上方へと跳ね上がる軌道。それは宮部の予想に寸分違わぬ刃筋であった。
満腔の自信を持って、宮部は交差した双剣でそれを迎え撃つ。
両手に下方から突き上げられる衝撃。
このまま押さえ込む、と力を更に込めようとした次の瞬間、宮部の両腕が上に弾き上げられた。
雲一つ無い蒼天に、大小二本の木剣がきりきり舞いしながら飛び上がった。
互いの木剣が打ち合わされる鮮烈な響き音は、その後からやって来た。
まさか、打ち下ろし、それも両腕での迎え打ちに、下からの斬り上げが威力で勝るなど有り得ない。
だが、宮部はそのあり得ぬ現実に晒されていた。
宮部の双剣をその両手から木っ端のごとく弾き飛ばした右門の斬撃は天を突き、次の瞬間、元来た軌道を雷光のように戻り落ちる。
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