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一齊堂の特殊鍼法|耳の鍼

対応する症状

当院では、耳に特化した鍼を行っています。

外耳炎や外耳道湿疹、中耳炎、耳鳴り・難聴、めまいを伴なうメニエール病など、様々な耳の病態に対応しています。


1.使用する鍼

少し太めの円筒状の純銀の鍉鍼(ていしん)を用います。


鍉鍼(ていしん)を温めて使います


2.水回りを調える

耳の治療のポイントは、リンパ液の流れを良くすることで、神経の乱れを調えることにあります。

耳は、意外にも胃腸の余分な水分とも関係が深く、胃腸の調子を良くして水分代謝を高めることも重要です。

また、側頸部とも関連が深く、顎関節の乱れ・歯の状態(虫歯・歯ぎしり)などの影響も考えることが必要です。


3.治療点

耳の中にある耳中穴(じちゅうけつ)と呼ばれるツボに、温めた鍉鍼をそっと当て留めるだけで、鼓膜などの繊細な組織がある耳にも、安全で効果的な鍼治療を行うことができます。

水回りを調える全身調整の鍼灸治療と、耳に特化した鍼灸治療を組み合わせることによって、効果的な治療を行うことができます。


治療の流れ

1.はじめの診察が大切

問診に始まり、脈診(みゃくしん)・腹診(ふくしん)・舌診(しんさつ)・ツボの状態などの所見から、症状の原因を東洋医学的に分析します。


2.治療方針を立てる

体質・体調を調える間接的な治療と、症状を改善するための直接的な治療を組み合わせて、相互の相乗効果を目指します。


3.ツボを選ぶ

例えば、ストレスフルな職場環境におり、毎日毎日聞きたくない話などを耳にしつづける状態にあると、とたんに耳が聞こえなくなってしまう「突発性難聴」と呼ばれる症状を引き起こすことがあります。

このような場合には、ストレスによる気の停滞を起こしている肝鬱気滞(かんうつきたい)という体調を調えるために、気が上逆して発散できない鬱憤した気を散らす効果のある、頭のてっぺんにある 奇経八脈の任脈 百会穴(ひゃくえけつ)に鍼をして、気逆を下げる全身調整としてアプローチしつつ、耳の周りにあるツボに鍼をすることで耳の神経の緊張をゆるめたり、血流を改善します。


奇経八脈の督脈・百会穴

また、メニエール症候群の場合には、はじめに胃腸の調子を温灸で調え、次に首の横側を圓鍼(えんしん)で優しく緩め、最後に手の薬指と小指の間にある 手少陽三焦経 中渚穴(ちゅうしょけつ)を用いることで、耳の水分代謝を盛んにし、自律神経の緊張を解きほぐすことで、耳の中のリンパ液の流れを調整します。



今回も読んで頂きありがとうございます。ISSEIDO noteでは、東洋医学に関わる「一齊堂の活動」や「研修の記録」を書いています。どんな人と会い、どんな体験をし、そこで何を感じたかを共有しています。臨床・教育・研究・開発・開拓をするなかで感じた発見など、個人的な話もあります。

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