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【新・中医臨床カンファレンス】に参加して #2/2

こんにちは。鍼灸専門 一齊堂の東豪です。前回の続き。


(▼)本日の【症例検討】はこちら

咽喉の痞え・かすれ

本日の症例は、東から発表させて頂きました。

前回、7月11日(月)の症例検討会DAPAカンファレンスでは、たくさん反省がありましたが、今回は落ち着いて発表できました。


(▼)前回の症例検討会の様子


(昨今、色んなプレゼンや講義をやりましたが、DAPAが1番緊張しました笑)

新・中医臨床カンファレンスでの発表は、日常的に行っている東洋医学的思考を皆様にお伝えする、という内容でしたので、いつも通りのことができたかなと思います。

(DAPAでは「鍼灸が西洋医学といかに連携できるか」という社会的な鍼灸師の立ち居振る舞いを問われるところに、新・中医臨床カンファレンスとの違いがあります。この趣旨の違いが難しいところ)


●【咽喉の痞え・かすれ】

病院で検査をしても問題はないが、不快な咽喉の痞えを訴える方は、鍼灸の現場では意外に多く出会います。

東洋医学では「梅核気(ばいかくき)」といったりします。

(梅の種がひっかかった感じ、ということみたいです)

一般的には「梅核気(ばいかくき)」とは、東洋医学の「肝蔵(かんぞう)」の症状であると言われています。気の詰まりが原因で、気を巡らせたり散らしたりすることができると、その日のうちに効果を感じられる事も多いです。

ただ「梅核気には肝蔵!」これで良し!

と、短絡的に考えてはなりません。単純に「〇〇には▲▲が効く」考え方で処置したが、良くならない場合に困ることになります。

●ポイント

今回のCaseは、入り口としては一見「良く見る・良くある」症状、そんなに「怖くないし難しくない」症状ではあります。

しかしながら、その症状の背景にはなかなか複雑なものがあります。

年齢的なもの、飲食の様子、生活環境、ライフサイクルの変化など、これらの変数をすべて加味して患者物語を描いた上で、

氷山の一角として眼前に現れた『一見、良く見る怖くなさそうな東洋医学的な肝蔵の症状の顔をしている「梅核気」』として、つぶさに覗いてみる観察態度が必要です。


●印象的だったこと

今回は東が発表した後、3名の医師各人がそれぞれに分析過程と処方、確認したい点などを発表しました。いくつか印象的だったことを列記します。


1.目の付け所・弁証の過程はほぼ同じだが、アプローチの手順は各人様々だったこと。

これは面白かったですね~。意見が分かれるというところにリアリティを感じました。


2.咽喉のかすれで来院された方が、肺ガンによる反回神経麻痺であったことがある。

一見して恐くなさそうな病気の背景に、ガンなどの重要な病気が潜んでいる場合があるので、器質的疾患がないかどうか、鍼灸師から病院での検査してもらえるように行動要請することが、とても大事だと思います。


3.戦略をたてる。

何事もそうだけど、戦略は大事。


4.東洋医学的参考点

少し専門的になりますが、「陰虚(いんきょ)」という抽象的かつ包括的な表現について、「血虚(けっきょ)」・「陰液不足(いんえきふそく)」と「精気不足(せいきふそく)」因数分解して考えてみる。

すると、現時点において「何を一番にアプローチした方が良いか」明らかになるとのご指摘は、とても参考になりました。

逆に、抽象的表現をさらに分けて具体的にして考えてみる一方で、複雑な病態を読み切り「水分の偏在」という極めて抽象度の高い一文でまとめている、、、す、すごいっ、、。と思いました。


今日はこの辺で。


※4.の補足

陰虚の因数分解で思い出したので、備忘録として。

【温病治療のポイントの一つ】
「葉天子は、陰を助けるには、一般の雑病治療でやるような補血養血ではなく、津を生み汗を止めることで、津液(陰)の自然な回復を待つのが温病治療のポイントであるという。また陽を通じさせるのも、一般の雑病治療でやるように熱薬で温めるのではなくて、利尿させることがポイントだ」

引用:入江祥史.寝転んで読む傷寒論・温熱論.中外医学者,2017年4月1日,1版3刷,p165


今回も読んで頂きありがとうございます。ISSEIDO noteでは、東洋医学に関
わる「一齊堂の活動」や「研修の記録」を書いています。どんな人と会い、どんな体験をし、そこで何を感じたかを共有しています。臨床・教育・研究・開発・開拓をするなかで感じた発見など、個人的な話もあります。

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