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観たもの、聴いたもの、読んだもの(2023.05)

01.書籍

01.ゾンビ3.0

国産ゾンビ小説という珍しいジャンル。
世界中が同時多発的にゾンビパンデミックに襲われた世界。
ただし、舞台は予防感染研究所内を中心に展開される。
ゾンビというとB級映画の代名詞のような存在だが、この作品は感染症に重点を置いており、科学的な側面が強かった。
他の方のレビューにも書かれているが、日本版『ワールド・ウォーZ』と呼べると思う。
映像化向きなので、是非とも邦画でお願いしたい。
(日韓同時刊行なので、韓国の方が上手く映画化しそうだけど)

02.ムッシュ・クラタ

山崎豊子御大の初期作品。
表題作のムッシュ・クラタの話が実に面白い。
戦前・戦中・戦後と自分のスタイル(仏式)を貫いた男の話。
過酷な状況でも自分の価値観がブレない姿が良い。
(戦場でも見出しなみを怠らず、服をキチンと畳むところとか)
それにしても、山崎豊子先生の緻密な取材に基づく描写には驚かされる。
中編なのに長編の満足感を与えてくれるのは流石としか言いようがない。

03.ポケットに名言を

少し前に芸人さんが進めていた名言集。
自分は名言集が好きなので、この手の本は何冊か持っているが、期待よりもピンと来る言葉は少なかった。
名著なのだけど、自分には合わなかったかもしれない。
以下は使い所はないが、なぜか印象に残った一文。

「運のわるい奴も、 嫌いなんだ。大体、運のわるい女ってのにきれいなのはいないからな。目の下に 隈 があったり、髪がざんばらだったり子供を背負ったりしてよ。……運のわるい女ってのはみんな 腋の下がへんな匂いをしているよ」

「 あゝ、 荒野」

04.日本資本主義の精神なぜ、一生懸命働くのか

kindle無料。山本七平は日本人の本質を見抜くのが上手い。
この本では、日本人の労働に対する価値観を徹底的に分析している。
ハイライトだらけで、とてもまとめ切れない。
これぞ名著と言った感じ。

  • 鈴木正三 : 天正7年(1579年)、 本能寺の変の四年前に生まれた。
    武家だったが出家して僧になった。
    この人の教えにより、農業(仕事)=仏行という価値観が広がった。

  • 石田梅岩 : 貞享2年(1685年)、江戸時代の思想家。
    倹約を正直の徳とした、日本における生涯学習の始祖。

上記2人のことは、この本を読むまで知らなかった。
個人的にかなり気に入ったので、数回は読み返すと思う。

日本軍の捕虜となり、日本人の中で生活したアメリカ人の軍医中佐の日記が、戦争裁判の証拠として、フィリピンの戦犯法廷に提出されたが、その中で、私にとって興味深かったのは、日本人が精神的に不安になると、一種の安心感を求めて、そのために働きだす、という記述である。
確かに、戦場は不安である 敗戦が意識されだすと、よけいに不安になる。 そのとき、この不安を打ち消すために、自給の名目の下に、全く無意味な 耕作をはじめる。

山本 七平. 日本資本主義の精神なぜ、一生懸命働くのか

05.あした死んでも後悔しないためのノート Special 大増補改訂版【SNSシェア機能付き】

kindle無料。ノート形式の自己啓発本。
読書中は納得するが、実践段階になると腰が重くなるタイプ。
でも、言ってることは間違っていない。
そういえば『水星の魔女』の主人公も「やりたいことリスト」のノートを作っていた。
やっぱり人生には目標が必要だと思う。
分かりやすいゴールがない社会人は特に。

06.スピリチュアルズ「わたし」の謎

科学的証拠を元に、現実を分析していく作家。
大変読み応えがあるのだが、この人の本を読むと気分が沈む。
(岡田斗司夫もYouTubeで言っていた)
特に最近は行動遺伝学の結果を頻繁に出すので、努力よりも遺伝の影響が大きいことを繰り返し説いている。

さらに不穏なのは、貧困家庭に育った若者が高い自己コントロール力を使って成功したとしても、さまざまな病気を発症し老化が早まるという研究だ。 社会的・経済的にハンディキャップを負う若者でも、強い意志力をもてば成功の可能性が高まることがわかってきた。
これは素晴らしい話だが、その一方で、欲望を抑え込もうとしたことで身体がストレス反応を起こし、血圧が上昇したりする。
これが長期間続くと、やがては健康に重大な影響を及ぼす。「努力は寿命を縮める」のだ。

スピリチュアルズ「わたし」の謎

これは、ちょっと残酷すぎる。
相変わらず容赦がない。

07.徳川家康 弱者の戦略

ドラマの『どうする家康』はイマイチだが、この本は面白い。
徳川家康の戦略的な部分が書かれており、運だけで天下を取ったのではない事が分かる。
信長、秀吉という先輩の失敗を糧にした部分はあるが、領地支配のやり方や、人事配置の巧みさは努力の賜物だと思う。
大河で家康に興味を持った人は、副読本としてオススメである。
この本を読むことで話の解像度が上がり、流れが掴みやすくなる。

02.映画

01.NOPE/ノープ

アマプラ無料。
この監督の作品は何本か目を通しているが、すごく面白そうな序盤からの「は?」という展開が多い。
本作は至る所に名作の予感が散らばっていたので、残念だった。
あと、中盤の尺はもう少し削っても良かったと思う。
ネタバレ厳禁の内容なので多くは語れないのだが、動かない雲の正体がアレというのはどうなんだろうか。
ちなみに『チェンソーマン』の作者は巻末で「ノープ大好き」とコメントしていた。

03.ドラマ

01.どうする家康

大河ドラマ。
家康が地元出身なので応援しているが、正直面白くない。
信長や秀吉、武田信玄は良いキャラしているのだが、主人公に共感を持ちづらい。
ナヨナヨ系の家康が、立派な人間になるまでの成長劇を描きたいのはわかるが、15話経っても覚醒イベントがないのは残念。
恐らくジャンプ連載だったら打ち切られてる。
中途半端に家康周りのエピソードを入れるのがテンポを悪くする原因だと思っている。

04.音楽

01.恋愛レボリューション21

「人は17歳の時に聴いた音楽を一生聴き続ける」という言葉があるが、今更モー娘。の曲をiTunesで購入した。
当時はしっかり聴いていなかったのだが、改めて聴くとパワフルな歌詞に感驚いた。特に

飾りはBaby!
あるものでYEAH!IN THE NIGHT
OH YES!アイディア勝負

恋愛レボリューション21

という歌詞は、不景気だけど気持ちだけは上げていこうという気概を感じる。
聴いていて今の曲よりもテンションが上がるのは、思い出補正がかなり入っていると思う。
あと、4:00の石川梨華の「ホイ!」が妙に印象に残る。

02.Virtual Insanity

PVだけは知っていたのだが、今更しっかり聴いたジャミロクワイ。
歌詞は未来に対する警鐘といった感じ。

AI普及が現実となった今のタイミングで聴くと、SF感が強い。
最近は通勤中の地下鉄で聴くようになった。
あとは、このタイミングで偶然にもジャミロクワイのフィギュアが発売されるらしい。

バンダイの技術力はすごいが、商業的に利益が出るのか気になるところ。

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