#旅する日本語 #大童
空港のトイレでヒートテックを着込む。
幼い頃に感じた、一瞬で周りがただの背景になって目の前にあるそれにフォーカスが当たるようなあの感覚を、もう一度確認しにきた。
大学を卒業してもう数ヶ月が経つ。少し前まで一緒いたアイツらはもう立派に働いてる。
高層ビルの中にある低い天井のオフィスに詰め込まれてしまう前に、眺めているだけで手を伸ばしたくなってしまうような、あの広いひろい空を見ておきたかった。
いつでもまた、頭の中で描けるように。
幼い頃のあの胸の高鳴りを、心の高揚を、もう一度。