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高校生の私が、先生と付き合った話14

母とバレー部の見学に行くことになりましたが、鈴木先生も三者面談があるので体育館にはいない可能性が高いなと思いました。

それでも、少しでも会える可能性があるのなら行く価値はじゅうぶんにありました。
鈴木先生の顔を見て、このモヤモヤ・ザワザワした心を落ち着けたかったのです。

あと、普段の鈴木先生の様子はたくさん見てきたから知っているけれど、部活の指導となると厳しい面もあるだろうし・・・まだ知らない姿を見たくてたまりませんでした。
これまでも何回もバレー部の練習を見にいこうかなと思いましたが、一般の生徒が急に来たら変な風にみられるかな?と思ってなかなか踏み切れずにいました。
もし鈴木先生には会えなくてもバレー部の練習を見れるだけでも楽しそうだからいいかなとも思っていました。




校舎と体育館をつなぐ渡り廊下を歩いているとき、緊張と今朝の恐怖が混ざって、心臓がびっくりするほどバクバク鳴っていました。

重くてひんやりとした観客席の入口扉に手をかけると、扉一枚の向こうにバレー部とバスケ部のボールが跳ねる音や、生徒たちの声が響いてきました。緊張MAXでゆっくりドアを開けると熱気がもわーっと覆いかぶさってきて、クラっとしてしまいました。


そしてフロアを覗き込むと、選手たちにほぼ叩きつけるようなレシーブの球出し(っていうのかな?)をしている鈴木先生の姿が目に飛び込んできました。

うまく聞き取れはしなかったけれど、いつもより厳しい口調で選手に声かけしていました。


部活の指導をしている姿は初めて見たので、「あんな強い球打つんだ!」や「顔がいつもより真剣・・・!」と、今まで鈴木先生に何度胸キュンしてきたか分からないほどでしたが、この瞬間が今までで1番の胸キュンでした。
失礼な話だけれど、鈴木先生はいつもほんわかしている人だったので、三者面談の少しの空き時間だったはずなのに部活に出ていて、全力で指導をしていたことにギャップを感じ、まんまとハートを鷲掴みにされてしまったのでした。


鈴木先生も選手たちも練習に集中しているので、観客席にいるわたしたちには気づいていない様子でした。
もし気が散ってたら悪いし、名残惜しいけれど早めに退散しました。

体育館から出たあとも心臓はバクバクしていて、体が震えるほどでした。
この震えは、朝の気持ち悪い出来事のせいではありません。


選手たちも鈴木先生もインターハイに出場するために頑張っている姿を見て、「わたしも高校最後の夏をきちんと頑張ろう、受験も卒業公演もいい結果を残そう」と思えた日でした。


(あとあと「練習を見に行ったの気づいてた?」と聞くと「え?!全然気づいてなかった!」と言っていました笑)

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