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高くて長いキング・オブ・深夜バス「はかた号」を愛したい

走行距離1,100キロ、最大乗車時間14時間超の最恐&最狂深夜バス「はかた号」。「水曜日どうでしょう」でキング・オブ・深夜バスとして有名になったみたいなので、世代の方はピンと来るかもしれません。

しかし、ひと昔まえと違い、飛行機のLCCという手段が加わった東京〜博多間において、わざわざ深夜バス(夜行バス)を選ぶ必要性は薄くなってきました。 

きっと、彼氏と行くなら、将来子どもと行くなら、飛行機や新幹線を選ぶでしょう。

今後、自分勝手に動けるひとり旅の時くらいでしか、「わざわざ乗る機会」なんて作れなくなるのでは…?と頭によぎったので、せっかくならこの機会に乗ってみようと思います。

…ということで今回は九州旅行に行くにあたり、往路を深夜バス&復路をLCCで予約しました!

予約内容はこんな感じ。

往路…深夜バス/新宿→小倉/13時間/15,500円
復路…LCC/福岡→成田/2時間/9,750円

おや…あれ…すでに圧倒的にLCCが魅力的では…?笑

出発日や時間、条件は多少異なるのでその差はあれど、明らかにLCCのコスパが優勢に感じます。実際、「東京→博多間はLCCのほうがお得!」と紹介するサイトもありました。

深夜バスの魅力を紹介したい気持ちでウキウキしながら書き始めたのに…雲行きが怪しくなってまいりました…。

いやいや、このままでは安さと早さに圧倒されて、もはや深夜バスに乗る人がいなくなってしまうのでは!?

高くて長い深夜バスでも、私たちが愛していかなくてはならないのでは!?(主語がでかい)

…と思ったので、それでも深夜バスに乗りたいという物好きな旅人を増やすために、やっぱり深夜バスをゴリ押しする記事を書こうと思いました。

では、乗車していきましょう。


20:20 新宿でご飯

はかた号の出発は21時。仕事はフレックス退勤したうえで、お風呂に入って着替えて、準備万端で臨みます。

出発地である「バスタ新宿」(バス乗り場)の近くまで移動し、腹ごしらえをしておきました。

あーこれが「デリ」ってやつかぁ
と思ったおしゃれパスタ

今思えばおそらくこの時点で、「久々の深夜バス」にソワソワどきどきしまくっていました。

最近はもっぱら歩き旅や自転車旅ばかりやっていたので、細かな時間的制約がなく、どちらかというと日没や体力との戦いでした。

一方、「何時何分のコレに乗る!」という緊張感と焦燥感のような気分は、やはり交通機関を使う旅ならではですね。


21:00 はかた号乗車→出発

バスタ新宿に来るのも久々。

何度行っても、ビルの4階部分にこんなに広いロータリーがあるのは不思議に思えますし、
ここから見える夜景は、地上から見るときとも、高層階から見るときとも違います。

「どういう景色でどういう気持ち」と形容したくとも、「深夜バスに乗る景色で、これから深夜バスに乗るんだなあって気持ち」としか形容し難い笑。

うーん、ワープゲートかブラックホールの前に立たされた人間の気持ちでしょうか。(でも不思議と嫌ではない)

主役到着

バスは意外にも(?)満席でした。なんだ、みんなまだまだはかた号大好きじゃないか笑!

大好きかどうかは置いておいて、老若男女お客さんがいましたね。1人の人がほとんどだったかも。

満席ゆえ、バス車内をバシャバシャ取る勇気がなかったので、公式HPより画像拝借します。

ビジネスシート

2席ずつの4列シートではない、、だと、、!?

深夜バスの定番「隣の人が気になる」問題をスルッと解決するシートですね!これだけで高級感を感じちゃう。

そして、もっとリッチな方にはこちら。

プレミアムシート
(こっちは人がいない隙に自力で撮影)

高級感を感じる特別なシートもあります。いや、シンプルにこれは高級でした。きっと、さらなるセレブリティを感じることができるでしょう。

私は当然ビジネスシートです!!!

そして、乗務員さんからご丁寧にひとつひとつ、何か配っているなと思えば…

お茶とアイマスクをもらいました!

正直、他の深夜バスでこんなサービスを受けたことがありません。優しそうなおじさま乗務員さんからの手渡しがあるなら、ちょっと高くてもいいかな、とか思い始めます。


22:00 ちゃんと酔う

どうしよう。たった1時間でちゃんと酔ってしまった。小倉駅まではあと12時間もある…。

多分、バス乗車前にノリノリなテンションになりすぎ、ご飯も食べたことが原因です。

もうバス前は絶食したほうがいいなぁこれ。


23:15 静岡サービスエリア到着

1回目の休憩。生き返ります。
ここで「Chabacco」なるユーモアお土産に出逢います。

1個500円〜
まるでタバコ
注意文も秀逸
お茶の粉末スティック8本入り

普段タバコは吸わず、親や友だちのタバコを買うような経験もないので、それっぽい何かを購入できたことに悦びを感じました笑。

ここから2泊ビジネスホテルに泊まるつもりなので、お湯さえあれば飲める粉末茶スティックは非常に便利。
とっても実用性のあるおいしいお土産が買えました。(そしてホテル備え付けのお茶の何倍もうまかった…)


23:35 サービスエリアから出発

いよいよバスは就寝モードに入っていきます。
これもまたひとつひとつ、乗務員さんが仕切りのカーテンを下ろしに来てくれました。

ほぼ個室空間のできあがりです

カーテンが1枚あるだけなのに、安心感、プライバシー守られている感、ここは私の秘密基地!感、でます。

また、すぐに真っ暗の消灯ではなく、カーテン→暖色の照明→消灯となったのも優しい。バスによっては、「これから消灯です、おやすみなさい」と言われてバツんと電気が消えるようなケースもありますから。

ただ、消灯前に「次の休憩は翌朝、山口のサービスエリアです」と告げられた時、その距離と時間にちょっとだけ絶望感を感じました。(トイレは車内備え付けなのでご安心を)


24:00 きもちわるい

とにかくきもちわるい。酔っている。酔いを回避するために早く寝なければ。


5:30 広島県福山サービスエリアにて停車

気づいたら寝ていた。よかった。大暴れしていた私の胃と食道はちょっと落ち着いている様子。

まだ消灯中なのに目が覚めたのはたぶん、エンジンの音が静かになっていたから。なんだか明らかにずっと停車しているなと思い、Googleマップを確認。

こういう外も見れない(カーテンがかかってて開けられない雰囲気の)場合はGoogleマップで状況確認するのが便利ですね。

私が夜行バスに初めて乗った中高生のころは、スマホという文明の力がなかったもんで、その頃のほうがよっぽど閉塞感と恐怖とスリルがあったかもしれないな、とふと思います。

Googleマップは「福山サービスエリア」を指していました。もう広島、あと少しです。

私たち乗客は降りれないけれども、おそらくこれは運転手さんの休憩か交代では?そりゃあ、余裕で8時間越えの深夜労働だもんな。疲れるのはお客さんより運転手さんのはず。ほんとうにお疲れ様です。


7:30 電気がつく

また乗務員さんが来て、よいしょよいしょとカーテンを開けてくれます。
寝ている人がいる席は開けてない?かも。配慮が素敵です。


7:55 山口県佐波川サービスエリア到着

これが2回目にして最後のサービスエリアです。

ほぼセブンイレブン

サービスエリアというよりコンビニといった方が正しいような、コンパクトサイズ。このサイズ感は初めて見ました。

サービスエリアでいろいろ見たい派の私にとっては物足りませんでしたが、移動中のトイレ&買い物という観点では、十分かもしれません。

山口土産が売られていて、ああついにここまで来たんだな、と思いました。


9:50 小倉駅到着

定刻通り到着!深夜バスって結構、渋滞やら事故やらで1〜2時間押すこともあるんですよね。今回はスムーズでよかった。

これから最後の終着地
博多に向かうはかた号
小倉駅!モノレールのホームがはめ込まれている!
すごい都会的

「はかた号の記事なら博多まで行けよ!」という声が聞こえて来そうですが笑、今回は18きっぷを使った九州周遊が主目的です。自分のやりたいことを優先しました笑。

博多まで行く人はあともうプラス1〜2時間頑張ってください!!


はかた号に乗ってみて

結論、酔わない人なら全然アリ

これはウキウキでペペロンチーノを食べてしまった私の落ち度ですが、酔いさえなければ快適でした!

特筆すべきは設備やサービスの良さです。非常に長距離の走行であることを大前提として、3列独立シートや備え付けトイレがあり、
加えてお茶やアイマスクプレゼントといった、ちょっとした会社と乗務員さんの優しさが垣間見れます。

休憩が2回しかないのも、最初は少なすぎでは?と思いましたが、実はぐっすり寝れるようにあえて少なくしてるのかもしれません。単なる憶測ですが。

シートもちょっと高級だからかお尻が割れる!取れる!といったことは全くありませんでした。

キング・オブ・深夜バスの名に恥じずというか、
高品質という意味でのキング・オブ・深夜バスだったのでは!?と思ってしまいます。

たしかにちょっと長すぎるし、なんなら他社の深夜バスより高い。けれども快適に楽しむという意味においては、コスパのいいはかた号なのではないでしょうか。(他のもうちょっと安い東京〜博多の深夜バスに乗る勇気が出ません笑)

みなさんそれを知っているから、満席だったのかもしれませんね。

飛行機みたいにパッと着かない分、思いがけないお土産に出会えたり、優しさに出会えたりするのも魅力です。

そして、ちゃんと寝れていない分、次の日のホテルでは爆睡できます。横になって寝れる喜びを再発見して噛み締めましょう笑!!

次、「バス」という手段で博多行く際は、ぜひまたはかた号を予約したいと思いました。


そしてここからがやっと18きっぷの旅九州編!
あいにく雨と曇天のなかですが、たのしむぞ!!!

↑18きっぷ1日目はこちらから。

ではまた。

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