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【‘‘とある物語論’’】

物語とは、一般的に文学や小説、映画やドラマ、アニメなどのストーリ性のあるものを指していますが、改めて物語とは何だろうかと考えることがありました。
そうした考えるきっかけになった一冊の本があります。
江國香織さんが記されました『物語のなかとそと』という本です。

本書は、エッセイ、掌編小説、散文から読むことの楽しさが肌身に感じられ、同時に書くことの醍醐味など江國先生の魅力が詰まった一冊になっています。
物語というものについて、自分の中ではっとさせられた感銘を受けた一文があるので、ぜひとも引用したいと思います。

本を読むというのはそこにでかけて行くことですし、でかけていれば、現実は留守になります。
誰かが現実を留守にしてでもやってきて、しばらく滞在し、外側にでたくなくなるような本を、自分でも書きたいものだと思っています。

『物語のなかとそと』江國香織 P.139より引用。

現実を留守にして、外側にでたくなくなるほど、私たちは物語に夢中になれるというのは、物語にでしか得られない共感性というものを感じ取ることが出来るからなのではないかと思われます。
共感することは、登場人物たちと自分の心身性を重ね合わせることで機能される。
悲しかったり、怒りを覚えたり、嬉しかったり、楽しかったり、感情的である生き物だからこそ、真摯に心情を読み解くことも可能でありますし、だからこそ私たちにとって物語は必要不可欠な存在であるということが言えるのではないかと思います。
そして、そうしたものを自分でも書きたくなる衝動を掻き立てるものこそが創作するということの魅力であるとも言えます。
読むことと、書くことは、深い繋がりがあるということは私が記した過去の創作物でも言及してきましたが、だからこそ楽しいものがあり、奥深さがあるものだとも感じます。
とある物語論というタイトルを付けたものの、私自身の物語論ではなく、江國先生自身の物語論に私なりの解釈を加えた批評的物語論という形式として、物語というものについて、もっと探求してみたくなりました。

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