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ーDiorが与える夢世界と現実ー『Palais Coloré』エッセイ2023/5/24投稿 

Dior展へ再び

昨年末から今月28日まで東京都現代美術館にて開催されている
「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ展」
すでに行かれた方も、多くの方のインスタ投稿で会場の豪華絢爛な展示の様子をご覧になられた方も多いと思います。

これはパリの装飾芸術美術館から始まった国際巡回展で、パリ、ロンドン、上海、ニューヨークなどを巡回して、ようやく来日したもの。クリスチャン・ディオールが手がけた数々の作品、歴代のデザイナー方の作品を通じて、一つのブランドの軌跡を追う、壮大な展覧会でした。2月に一度行っていたのですが、その感動をもう一度体験したくて再訪しました。昨年末にはシャネル展があったり、ハイブランドの展覧会が立て続けに開催されるのは、とても嬉しいものです。
ブランドの歴史に触れる機会があると、トップメゾンの、値段だけではないホンモノ素晴らしさに魅了されます。写真撮影も自由でしたので、会場の様子を写真でご紹介します。



最初はモノトーンの世界。
陰影だけで表現されたモノトーンの世界の奥行きの深さには、
思わず呼吸を止めてしまいそうなくらいの静謐な空気が漂っています。

実は、30代の初め頃に、当時カバーモデルをしていた雑誌「GRACE」のファッション撮影でクリスチャンディオールのブラックスーツを着用する機会がありました。

ノーカラーでウエストがキュッとシェイプされていて、
左右の立体的なポケットにはスパンコールの刺繍が施されており、
スカートはタイトで膝丈のものです。

初めて袖を通した時の身体への馴染み方、
カメラの前でポージングして動いた時のエネルギーで包まれているような特別な着心地。
そのスーツを纏い鏡に映った時のスーツの存在感。
そして、自分が少しハイブランドに近づいたのでは?と、錯覚して酔いしれてしまいそうな華やかな雰囲気。

それらが忘れられず、いつかそのスーツが似合う女性になるという願い(目標)も込めて、撮影後、スタイリストさんにお願いして着用したスーツをお買い取りしました。
そのお値段がいくらだったのかは、もう記憶にないくらい舞い上がってしまった出来事の一つ。
当時の編集スタッフの方は今思い返してもお姉様として、良いアドバイスをして下さりました。
「春香ちゃん、絶対、購入しておいたほうがいいよ!このスタイルは永遠のスタイルだし、春香ちゃんには絶対似合うよ!」
そんな有り難くも夢のような太鼓判をいただいたこともこのスーツにまつわる物語。
運命の出会いとか、ご縁とか、よく言いますが、私は、ただただ、欲しかった!!
この先、このスーツを纏うような人生を歩んでいるのかは分かりませんでしたが、ただただ、所有していたかったのです。
所有ですので、その言葉が意味する通り、長くクローゼットの常連となったままでした。
ですが、直感で本当に運命を感じたスーツでした。

その後、40代に入り、そのスーツで子供の七五三、卒園式に出席しています。
ディオールのスーツに託した30代の願いは、40代になって叶いました。

こうして私自身の人生と共に思い出深くて大切なスーツがある事は、
自分らしくあることの一つの要素になっているように思います。
ファッションは人生に寄り添うものであることを、心から感じています。



こちらはドレスの作業工程がわかります。
通常は完成品しか目にしない中、こうして物づくりの途中を目にする機会は貴重でした。

日本展の演出を担当された建築家重松象平さんによる演出も煌びやかで、どこか知らない世界へ忍び込んだような気持ちになりました。
実物大のトルソーが艶やかなドレスを纏い、天井まで傾斜にそってディスプレイされていて、ミラーや音響、ライトの効果で圧巻でした。

最後に。
購入したスーツは、もちろんDiorの洗練されたシルエット。
この先、万が一、あってはいけないこととですが、ふくよかになって、
と上品い言ってみましたが、単純に太ってしまったらジャケットのボタンは止められませんし、スカートのウエストサイズも気になるところ。
そして、何より、腕ぐりが細くデザインされており、上見頃も細めのシルエットですので、中年女性にとって気になるポイントである二の腕、背中も気をつけないとという永遠のプレッシャーもセットになっています。
お洒落を楽しむのも、気合いですね。

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