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DSDsの話.5-Natureダイジェスト「揺れる性別の境界」の問題点-

はじめに

DSDs当事者としてのお話もいくつか記事を書けたらいいな、と思っています。本記事は全文無料にて公開しておりますが、何かしら参考になりましたらご支援頂けると助かります。

「揺れる性別の境界」とはどんな記事か

トランスアライの方が愛読しているDSDsの情報源の一つに、Natureダイジェストの記事「揺れる性別の境界」という、2015年に書かれた身体性別スペクトラムに関する記事がある。非常にセンセーショナルなタイトルではあるが、内容は終始「男女の身体にも個人差がある」という話であり、実際に身体性別がスペクトラムであるという事実は全く提示されていない。しかも、私の持つ疾患であるターナー症候群の説明については問題点が多い。まずは、ターナー症候群に関する記述をご覧頂きたい。

例えば、最初はXY染色体を持っていた胚で、一部の細胞がY染色体を失ってしまうことがある。もし大部分の細胞が最後までXY状態なら典型的な男性の体となるが、大部分の細胞がXのみであればターナー症候群と呼ばれる状態の女性になる。ターナー症候群は身長が低めで卵巣は未発達となる傾向がある。この種のモザイクはまれで、1万5000人に1人ほどの割合で見られる。

Natureダイジェスト 2015年2月19日
揺れる性別の境界
より引用

この記述はターナー症候群の説明として、本当に適切なのだろうか。告知の際に良心的な医師による正しい説明を受けている、あるいはひまわりの会などの患者家族会などを通じて実際の当事者と関わりを持っているターナー症候群の当事者や家族であれば、典型症例を差し置いてY染色体をベースに説明されているこの記述に対して、強い違和感を感じざるを得ないのではないだろうか。ただ、問題は本当にそれだけだろうか。

記述そのものの問題点

 第一に、ターナー症候群の大半の症例においてY染色体は無関係である。「最初はXY染色体を持っていた胚で、一部の細胞がY染色体を失ってしまう」などと説明することは、ターナー症候群の実態とは多くの場合で全く異なる。その説明が適切なのは「46XYであった双子の片方のY染色体が何らかの理由で失われ、46XYの正常男児と45X0のターナー症候群で産まれる異性一卵性双生児」など、非常に稀な症例に対してのみである。
 ターナー症候群は確かに「SRY遺伝子を含む性染色体短腕部の欠失」と説明する方がより正確であり、性染色体短腕に存在しているX-Y間で共通となる遺伝子の欠失がターナー症候群の諸症状を引き起こしている。責任遺伝子が存在するPAR領域について、X-Y間で配列が相同な領域なのは事実である。そのため欠失しているのは短腕なのか長腕なのか、という問題の方が臨床症状には大きく関係しており、欠失の認められた性染色体がX染色体であるかY染色体であるかは問われないのだ。そのためY染色体が陽性である症例も、稀に存在はしている。ただ多くの場合では父親由来のX染色体に起因する疾患で、残りも46XXや47XXXとのモザイクであるとされている。実際に私自身、47XXXモザイクの典型症例である。46XXの短腕欠失や、長腕欠失であっても臨床症状により例外的に認められた非典型例が存在することも考えると、圧倒的大多数の症例についてY染色体は全く関係ないのである。

患児の約50%が45,Xの核型を有し,そのうちの約80%が父親由来のX染色体が欠損したものである。残りの50%の大半はモザイク型である(例,45,X/46,XXまたは45,X/47,XXX)。モザイク型の女児では,典型的なターナー症候群から正常のものまで,表現型は多彩である。

MSD マニュアル プロフェッショナル版
ターナー症候群
より引用

このような実態があるにも関わらず、わざわざY染色体を用いてターナー症候群を説明すること自体が「男女どちらとも言えないターナー症候群」を意図的に作り上げており、酷く歪曲された形の説明なのである。ただし「ターナー症候群は身長が低めで卵巣は未発達となる傾向がある」という部分や女性の疾患であることが明記されている点については、ターナー症候群の説明として適切だと言える。卵巣が未発達とするよりは「X染色体長腕部の欠失により、卵胞が思春期以前に消失してしまう」とする方がより実態に即していると考えられる。

参考文献が不適切である

 Natureダイジェストの記述では当然のように「ターナー症候群」と書かれているが、その実、ターナー症候群についての説明ですらない可能性がある。当該箇所において、直接の参考文献とされている論文であるDiscordant sex in monozygotic XXY/XX twins: a case reportの概要は以下の通りである。

We report a case of discordant phenotypic sex in monozygotic twins mosaic 47,XXY/46,XX: monozygotic heterokaryotypic twins. The twins presented with cognitive and comprehension delay, behavioural and language disorders, all symptoms frequently reported in Klinefelter syndrome. Molecular zygosity analysis with several markers confirmed that the twins are in effect monozygotic (MZ). Array comparative genomic hybridization found no evidence for the implication of copy number variation in the phenotypes. Ultrasound scans of the reproductive organs revealed no abnormalities. Endocrine tests showed a low testosterone level in Twin 1 (male phenotype) and a low gonadotrophin level in Twin 2 (female phenotype) which, combined with the results from ultrasound examination, provided useful information for potentially predicting the future fertility potential of the twins. Blood karyotypes revealed the presence of a normal 46,XX cell line and an aneuploïd 47,XXY cell line in both patients. Examination of the chromosome constitutions of various tissues such as blood, buccal smear and urinary sediment not surprisingly showed different proportions for the 46,XX and 47,XXY cell lines, which most likely explains the discordant phenotypic sex and mild Klinefelter features. The most plausible underlying biological mechanism is a post-zygotic loss of the Y chromosome in an initially 47,XXY zygote. This would result in an embryo with both 46,XX and 47,XXY cells lines which could subsequently divide into two monozygotic embryos through a twinning process. The two cell lines would then be distributed differently between tissues which could result in phenotypic discordances in the twins. These observations emphasize the importance of regular paediatric evaluations to determine the optimal timing for fertility preservation measures and to detect new Klinefelter features which could appear throughout childhood in the two subjects.
-以下DeepL翻訳ツールによる翻訳-
47,XXY/46,XXのモザイク型一卵性双生児:一卵性異型双生児において、表現型の性別が不一致であった症例を報告した。この双子は、Klinefelter症候群でしばしば報告される認知・理解力の遅れ、行動障害、言語障害を呈した。複数のマーカーを用いた分子接合分析により、双子は実質的に一卵性双生児(MZ)であることが確認された。アレイ比較ゲノムハイブリダイゼーションでは、コピー数の変異が表現型に関与していることを示す証拠は見つからなかった。生殖器の超音波検査では、異常は認められなかった。内分泌検査では、双子1(男性表現型)のテストステロン値が低く、双子2(女性表現型)のゴナドトロフィン値が低いことが判明し、超音波検査の結果と合わせて、双子の将来の生殖能力を予測するのに有用な情報を提供した。血液の核型検査では、両者とも正常な46,XX細胞系と異数性47,XXY細胞系が存在することが判明しました。血液、頬紅、尿沈渣など様々な組織の染色体構成を調べたところ、46,XXと47,XXYの細胞株の割合が異なっており、これが表現型の不一致と軽度のクラインフェルターの特徴を最もよく表している。最も妥当な生物学的メカニズムは、47,XXYの接合子において、接合後にY染色体が失われることである。その結果、46,XXと47,XXYの両方の細胞系列を持つ胚が生まれ、その後双生児化プロセスによって2つの一卵性胚に分裂することができる。この場合、2つの細胞株は組織間で異なる分布となり、双子の表現型に不一致が生じる可能性がある。これらの観察から、妊孕性温存のための最適なタイミングを決定し、2人の被験者の小児期を通じて現れる可能性のある新しいクラインフェルターの特徴を検出するために、定期的な小児科検診が重要であることが強調されました。

Discordant sex in monozygotic XXY/XX twins: a case report より引用

この症例は女児である双子2は不足するはずだったX染色体上の遺伝子が補われることで卵巣を得ることができ、その代わりに男児である双子1では過剰なX染色体によるクラインフェルター症候群を併発したMGDの稀有な一例に含まれると解釈できるのではないだろうか。だとするとMGDの中でも特殊であり、この症例に限ってはターナー症候群と共通である核型"45X0"とのモザイクではないため、少なくともターナー症候群とは一切の関係がなくなる
 ただし、導入部分で引用されている論文のうちPhenotypic and genotypic variability in monozygotic triplets with Turner syndromePrenatal diagnosis of female monozygotic twins discordant for Turner syndrome: implications for prenatal genetic counsellingはターナー症候群の症例である。概要は以下の通りである。

Turner syndrome (TS) is a common disorder (1/2500 and 1/5000 female births) which is diagnosed at birth in approximately 20% of patients and during childhood (usually due to growth retardation) or later, (due to lack of pubertal development) for the remaining patients. Here we present a cytogenetic and molecular analysis of three monozygotic sisters. The diagnosis of TS was done for one of them (patient 1) who presented with a typical Turner phenotype. A first karyotype was established as normal and a second karyotype (carried out on 200 cells) revealed a 45,X/46,XX mosaicism with 6% of cells with a 45,X karyotype. Lymphocyte karyotype analysis showed the same mosaicism pattern for the two other sisters, one of them exhibiting only a mild (patient 2) and the other no clinical features of Turner syndrome (patient 3). Karyotype analysis was this time conducted on fibroblasts and showed that the 45,X/46,XX mosaicism pattern correlated with the clinical phenotype with 99, 43 and 3% of 45,X cells in patients 1, 2, and 3, respectively.
These data suggest that different tissues other than lymphocytes should be subjected to a karyotype analysis when the observed genotype does not correlate with the clinical phenotype.
-以下DeepL翻訳ツールによる翻訳-
ターナー症候群(TS)は、一般的な疾患であり(女性の出生数の1/2500と1/5000)、患者の約20%は出生時に、残りの患者は小児期(通常は成長遅延による)またはそれ以降(思春期発達の欠如による)に診断される。ここでは、一卵性双生児の3姉妹の細胞遺伝学的および分子生物学的解析を紹介する。TSの診断は、典型的なターナー表現型を呈する1人(患者1)に対して行われた。第一核型は正常で、第二核型(200個の細胞で実施)では45,X/46,XXのモザイクが認められ、6%の細胞が45,X核型であった。リンパ球の核型分析では、他の2人の姉妹も同じモザイクパターンを示し、そのうちの1人は軽度(患者2)、他の1人はターナー症候群の臨床的特徴を示さなかった(患者3)。今回、線維芽細胞を用いて核型分析を行ったところ、45,X/46,XXのモザイクパターンは臨床的表現型と相関があり、患者1、2、3ではそれぞれ99、43、3%の45,X細胞が認められた。
これらのデータは、観察された遺伝子型が臨床的表現型と相関しない場合、リンパ球以外の異なる組織を核型分析にかけるべきことを示唆している。

Phenotypic and genotypic variability in monozygotic triplets with Turner syndrome より引用

We describe a set of monozygotic (MZ) female twins, one of whom presented with a typical Turner syndrome (TS) phenotype and the other a normal female phenotype. Prenatal fetal ultrasonographic examination showed a monochorial diamniotic pregnancy with a hygroma colli and growth delay in Twin A and no anomalies in Twin B. Karyotypic analysis performed on fetal blood samples demonstrated a 46,XX/45,X (23/2) mosaicism in Twin A and a normal 46,XX chromosome constitution in Twin B. At birth, Twin A presented with a typical TS and Twin B had a normal female phenotype. Postnatal cytogenetic investigation of blood lymphocytes showed the same 46,XX/45,X mosaicism in both twins: 46,XX/45,X (40/7) in Twin A and 46,XX/45,X (40/5) in Twin B. Further investigations at the age of 10 months showed in Twin A a 46,XX/45,X (98/2) mosaicism in lymphocytes and 100% of 45,X (50 analysed cells) in fibroblasts, and in Twin B a normal 46,XX (100 analysed cells) chromosome constitution in lymphocytes but a mild 46,XX/45,X (78/2) mosaicism in fibroblasts. Monozygosity was confirmed by molecular analysis. To our knowledge, this is the first report of prenatal diagnosis of MZ female twins discordant for TS. Review of reported sets of MZ female twins (eight cases) or triplets (one case) discordant for TS shows, as in the present case, that the phenotype correlates better with the chromosomal distribution of mosaicism in fibroblasts than in lymphocytes. In the blood of MZ twins chimerism may modify the initial allocation of the mosaicism. These results suggest that, in cases of prenatal diagnosis of MZ female twins discordant for TS, the phenotype of each twin would be better predicted from karyotype analysis of cells from amniotic fluid than from fetal blood.
-以下DeepL翻訳ツールによる翻訳-
我々は、一卵性双生児(MZ)の女性双子のうち、1人は典型的なターナー症候群(TS)の表現型を示し、もう1人は正常な女性の表現型を示した一組を記述する。出生前の胎児超音波検査で、双子Aはコリ腫と成長遅延を伴う単色羊膜妊娠、双子Bは異常を認めなかった。胎児血液サンプルで行った核型分析で、双子Aは46,XX/45,X (23/2) モザイク、双子Bは通常の46,XX染色体構成であった。出生時に、双子Aは典型的なTS、双子Bは通常の女性の表現型であることが示された。出生後の血液リンパ球の細胞遺伝学的検査では、双子Aは46,XX/45,X(40/7)、双子Bは46,XX/45,X(40/5)と、両者に同じ46,XX/45,Xモザイクを認めた。双子Aはリンパ球で46,XX/45,X(98/2)、線維芽細胞で45,X(50)100%のモザイク、双子Bはリンパ球で46,XX(100)正常染色体、線維芽細胞で46,XX/45,X(78/2)の軽度モザイクであることが判明した。分子生物学的解析により、一卵性双生児であることが確認された。我々の知る限り、これはTSに不一致のあるMZ女性双子の出生前診断の最初の報告である。TS不一致のMZ女性双子(8例)または三つ子(1例)の報告例を検討すると、本症例と同様に、表現型はリンパ球よりも線維芽細胞におけるモザイクの染色体分布とよく相関していることがわかった。二卵性双生児の血液では、キメリズムがモザイクの初期配分を変更する可能性がある。これらの結果は、TS不一致のMZ女性双子の出生前診断の場合、胎児の血液よりも羊水の細胞の核型分析から各双子の表現型を予測する方が良いことを示唆している。

Prenatal diagnosis of female monozygotic twins discordant for Turner syndrome: implications for prenatal genetic counselling より引用

ご覧の通り、全ての症例においてX染色体だけを持つ典型症例である姉妹の「同性一卵性双生児」の話であり、この論文を根拠に「Y染色体が欠損した、ターナー症候群の異性一卵性双生児」として説明することは明らかに間違っているだろう。
 また、異性一卵性双生児の症例であるMonozygotic twins of opposite sexの概要は以下の通りである。

Although discordant karyotypes are known in identical twins, cases involving differences in sex phenotype are rare. We studied identical twins with the 46,XY karyotype – a male with mixed gonadal dysgenesis and a female with pure gonadal dysgenesis. The testis-determining SRY gene was present in DNA from both twins but no mutations were detected in the SRY conserved motif. Monozygosity was indicated by short tandem repeat polymorphism analysis. These observations could be attributed to (i) mutation and mosaicism involving “downstream” sex-determining loci, (ii) variable penetrance of genes such as DSS/NR0B1, duplication of which can disrupt the male-determining pathway, or (iii) occurrence of cryptic 45,X gonadal cell lines.    
-以下DeepL翻訳ツールによる翻訳-
一卵性双生児では不一致の核型が知られているが、性表現型の違いを伴うケースは稀である。我々は、46,XYの核型を持つ一卵性双生児(混合性腺形成不全の男性と純粋型性腺形成不全の女性)を研究した。精巣を決定するSRY遺伝子は両双子のDNAに存在したが、SRY保存モチーフには変異が検出されなかった。また、ショートタンデムリピート多型解析により、一卵性双生児であることが示された。これらの観察結果は、(i)「下流」の性決定遺伝子座に関わる変異やモザイク、(ii)DSS/NR0B1など、男性決定経路を破壊しうる重複遺伝子の可変浸透率、(iii)暗号化45,X性腺細胞株の発生に起因すると思われる。

Monozygotic twins of opposite sex より引用

これは異性一卵性双生児の症例ではあるもののMGD男児とPGDについての話であり、そのどちらもターナー症候群ではない。
 参考文献や参考文献内の引用文献を確認した後に改めてNatureダイジェストの記述を確認すると、「もし"大部分の細胞が"最後までXY状態なら典型的な男性の体となるが、"大部分の細胞が"Xのみであればターナー症候群と呼ばれる状態の女性になる。」と書かれている。これは実は、核型が45X0である細胞と46XYである細胞のモザイク率についての説明であったことが読み取れるだろう。つまり明らかに45X0モノソミーであるターナー症候群についての説明ではなく、最初から45X0と46XYのモザイクであるMGDの説明だったのだ。参考文献の内容から判断してもそのように解釈する方が明らかに妥当であると言え、また参考文献の症例に至っては46XX/47XXYであるためMGDとして解釈するにも非典型的であり、MGDの典型症例とは異なり45X0とは完全に無関係であることも改めて注記しておきたい。一部の古い書籍では45X0と46XYのモザイクについてもターナー症候群に含めて説明するものも存在していること、MGDであっても45X0に起因するターナー徴候は共通しているため、かつては混同された誤った診断がされていたことは承知している。しかしNatureダイジェストの参考文献に引用文献として使われていたターナー症候群の症例については典型症例であり、全くそのようなものではなかった。そして参考文献自体も非典型的なMGDの症例であると考えられ(少なくともターナー症候群ではない)、その引用文献にはMGD男児とPGDの異性一卵性双生児に関する論文もやはり含まれている。つまりNatureダイジェスト「揺れる性別の境界」という記事は、MGDに関する論文を参考としながらターナー症候群の疾患名だけを典型症例の論文から拝借してくるような、不適切な内容であると判断せざるを得ないのではないか。

あらゆる出典が古すぎる

 何より参考文献内での引用文献や、あるいは参考文献やNatureダイジェストの記事そのものも含めて、全てがことごとく古い情報なのである。直接の参考文献であるDiscordant sex in monozygotic XXY/XX twins: a case reportについては2014年であり、それが引用しているPhenotypic and genotypic variability in monozygotic triplets with Turner syndromeに至っては1998年のものである。2014年でも十分に古いと感じるが、これは化石級に古いと言っても過言ではない。Monozygotic twins of opposite sexとPrenatal diagnosis of female monozygotic twins discordant for Turner syndrome: implications for prenatal genetic counsellingはそれぞれ2000年、2002年のものであり、これらもまた古過ぎるのである。Natureダイジェストの記事自体は冒頭にある通り、2015年のものである。新しいものでも10年近く前の情報なのだ。
 このように古い情報による誤解や偏見が広まることは「誰も取り残されない包括的な社会」のために許容されるべきなのだろうか。このような情報を身体性別グラデーションの根拠として拡散することはすなわち、「古いテレビ番組で昔やっていたのを見たから知っているよ」などと言いながらトランスジェンダーの女性を「オネエ」や「オカマ」といった偏見イメージで永遠に語り続けることである。それをトランス差別だと全く感じないトランスアライだけが、DSDsにまつわる有益な情報と称してこの記事をTwitterで広め続けることを正当化できるだろう。否、もう二度と貼ってほしくはない。お願いなのでこの記事を貼って回るのは、もう勘弁して下さい。

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