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世田谷美術館でほっこりする~グランマ・モーゼス展

 アメリカの国民的画家グランマ・モーゼスの生誕160年を記念したグランマ・モーゼス展が、明日から世田谷美術館でスタートする。

 アメリカの美術というと、ポロックなど主に20世紀の芸術家たちが思い浮かぶだろう。
 が、グランマ・モーゼス(モーゼスおばあちゃん)は、「本流」のポロックたちに対し、言ってしまえば、「傍流」に属する存在で、正式な美術教育を受けず、独学で自分の絵を切り開いた「素朴派」の画家と言える。

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気取りや気負いのない、彼女自身の「楽しみ」として描かれた作品の数々は、明るくのびやかで、前に立つと、ぽっ、と暖かな明かりを灯されるかのようだ。
特に美しいのは、緑の明るさ!
彼女自身が生まれ育ち、生涯の大半を過ごした農地にあふれていた色だ。
それは、冬になると、一転して雪の白に覆われてしまう。

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長い寒い冬。
その中での、人々ーーーモーゼスとその家族や、隣人たちのさまざまな営みも、絵の中には描きこまれている。
橇に乗ったり、クリスマスツリーを探しに行ったり。
そして、冬が過ぎ、雪が溶ければ、また春が来て、緑があふれる世界へと変化する。

そのような、彼女の作品世界に、1930年代、世界恐慌に喘ぐ人々が安らぎを見出だしたのも、理解できる気がする。

無味乾燥なビルの立ち並ぶ都会と、そこでの、慌ただしい生活。
今日は何とかなっても、明日がどうなるか、先の見えない日々・・・・・・。
その中で出会ったモーゼスの絵には、明るい赤や青、緑などの色彩、穏やかに流れる時間、地に足のついた生活、暖かなコミュニティがあった。

なぜ、自分はいつも何かに追われているようにせかせかしているのだろう。
絵を見ていると、そんな疑問すら湧いてくる。

最後にグランマ・モーゼス自身の言葉を。

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