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気になる作品~「画家ボナール ピエールとマルト」

今年の秋に公開予定の映画『画家ボナール ピエールとマルト』が、今週末からのフランス映画祭で先行上映されるらしい。
ピエール・ボナールはナビ派の画家で、浮世絵をはじめ日本美術が大好きで、その平面的な表現を積極的に取り入れた事から「日本かぶれのナビ」と仲間内でもあだ名されていた人物である。
ナビ派時代は、渋めの色調だったが、南フランスに移ってからは、赤や黄色、オレンジなど暖色系を多く用いた明るい画面へと変化する。
この頃には、同じく南フランスに移住していたルノワールやマティスとも親しく交流している。

ピエール・ボナール<田舎の食堂>、1913年

私もこのボナールの後期の作品は前々から心惹かれていて、去年本文執筆を担当した『西洋絵画 風景をめぐる12か月』でも、彼の作品は多く入れている。

本に入れた中でも、気に入っているのがこの南フランスを舞台にした<棕櫚の葉>である。

ピエール・ボナール<棕櫚の葉>

緑色の茂みと棕櫚の葉で形作られる、枠から陽光に輝くル・カネの風景を覗き見る趣向が好きだ。
この前景で果物を手にしている女性が、ボナールの妻マルトだ。
1893年に出会って以降、彼女はボナールの多くの作品でモデルになった。
南フランスに移ったのも、病弱なマルトを気遣っての事だった。
また、彼女は入浴を好み、一日の多くの時間を浴室で過ごしていたため、浴室での光景を描いた作品も少なくない。
まさにボナールにとっての「ミューズ」だった。

そんなマルトと、ボナール二人の関係を描いた映画がある、というだけでもワクワクしてくる。
しかも、それが秋に公開される。
この機会に、ピエール・ボナールという画家がもっと知られてほしい。
そして、私もガッツリとした長めの記事を書けたら、と思う。

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