赤い郵便ポスト【短編小説】
夏の日差しが差し込む静かな通りに、二人の女性の姿があった。彼女たちは幼なじみのサラとミカ。この街で育った二人にとって、ここは特別な場所だ。
「久しぶり!」 「ほんと、一年ぶりだね。」
再会の挨拶を交わした後、二人は自然と赤い郵便ポストの前に立った。小さな頃、毎日のようにここに手紙を投函し、秘密のメッセージを交換していた。
「覚えてる?こんなことも書いたよね。」 サラが懐かしそうに言う。 「うん、『大人になったら、絶対に夢を叶えようね』って。」 ミカが微笑む。
それから月日は流れ、二人は夢に向かって歩み始めた。サラは画家に、ミカは小説家になった。離れていても、この街とこの郵便ポストが、二人をつないでいる。
「ねえ、今度の作品展、来てくれる?」 「もちろん!私も新しい小説を書き上げたところなの。」
夢を語り合い、互いを励まし合う。それが二人の変わらないルーティーンだ。
赤い郵便ポストは、今日も二人の絆の証人として、静かに佇んでいる。遠く離れた場所にいても、心はいつもここにある。そう感じながら、二人は再会の時を惜しむように、ゆっくりと歩き出すのだった。