見出し画像

グラディウス【こじんまりと良移植】

コナミ 1986年4月25日発売

原作は1985年に発表されたアーケード版となっています。

ビデオゲーム界ひとつの大発明であり不朽の名作であるAC版の登場から、丁度1年後に移植されたのがファミコン版と云う事になります。

AC版は初動から大ヒットした訳ではなく、その斬新すぎたゲーム内容と高難度により徐々に支持されて行った経緯を持ちます。AC版発表より1年後と云うこの時期は「グラディウス」人気がピークを迎えていた頃であり、かなりの期待を以て発売されたのがファミコン版と云う事になります。

初の移植たるファミコン版をユーザーはどのような態度で以て迎えたのでしょうか。大別すると以下の二通りであったと思います。

AC版を知らないが期待して待っていたファミコンユーザー……初めて体験するオプションの挙動と強力なレーザー、地形を這うミサイル、今迄のシューティングゲームでは見る事のなかったバリアシステムに感動。高いゲーム性と豊富なステージに夢中になる。

AC版を或る一定以上遊び込んでいたアーケードゲーマー……半数に減らされたオプションと細切れレーザーに愕然。小さい全身バリアに困惑。あまりにも平凡に纏まり過ぎたゲーム性に消沈。大きくないビッグコアに苦笑。省略された構成に諦念。地形ボーナス、ワープシステムにそっぽを向く。

――こんな感じではなかったかと思います。アーケードゲーマーからするとファミコン版「グラディウス」は別物としたかったと云うのが正直なところです。見た目は頑張って移植していると認めるものの、ことゲーム性に関しては全く違うものに仕上がっていたからです。

それでもファミコン版は別物とすれば間違いなく良く出来た作品であると云う部分では多くの人が一致していたと思います。コナミの高い技術力とぎりぎりの努力で開発されたのだろう事に疑いを持ちません。家庭で「グラディウス」が遊べるのですからこれ以上を望むのは酷と云うものでしょう。

コナミ側もかなりの期待と自信を以て世に送り出したものと見えて、需要されている以上のパッケージを供給してしまいました。結果ファミコン版「グラディウス」は一週間ののちワゴンセールの中¥980で投げ売りされる事となりました……。

2011.03.18

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?