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静かな時間

 いつも頭の中で考えてばかりで、静かな時間があるのかと思うほどだった。このところ落ち込んでいた。耳を澄ます時間がなかったら、きっとまたごまかしていただろう。しかし、過去を振り返れば良くなったほうだ。

 そしてしばらくすると、深く傷ついていたことを痛感する。いつも後から気づくので、油断すると虚無感に飲み込まれそうになる。

 集団生活の中で孤独を感じることもなく、つらい状況もないのだが、どこかで何かを求めている。答えは分かっているのだが、今はそれを求めることができず、求めると傷つく。そう思うと、またひとりになりたい衝動に駆られる。

 感情や昂った情熱を「カタチ」にしたがる傾向が強く、自分の中で目的を確認しないと、優先順位を間違えたり、感情的になりすぎて他人と自分を切り離せなくなり、自分と他者との間に境界線が築けなくなる。そうしている間に、相手を自分の世界に引きずり込んでしまう危険性があった。

 割り切って考えられないと嘆いては過去に何度も身を焦がし、割り切るという行為が自分を冷たい人間であるかのように考えてしまい、それが自己嫌悪につながった。

 傷ついたとき、私はたいてい自分が傷つくことを前提にした行動を選んでいることが多く、その思考から逃れる方法を見つけることができなかった。

 割り切れないものは間違いでも矛盾を生むものでもなく、成長や可能性に必要な無理数なのだと数学で学んで以来、言葉に囚われたときに違うものに置き換えたり、他の解決策を見つけたりできるツールになったと今はそのように感じている。

2017 4/28


人間の心には互いに矛盾した二つの感情がある。 誰でも他人の不幸に同情しないものはない。 ところが、その人が不幸をどうにかして切り抜けると、今度はこっちで物足りないような心もちがする。 もう一度その人を、同じ不幸に陥れてみたいような気にさえなる。

芥川龍之介


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