由良ゆら要塞ようさいってどこですか？

　要塞名の由良は兵庫県の淡路島南東端の地名（町名）です。ですが淡路島と和歌山の間の紀淡きたん海峡を封鎖するための要塞だから、和歌山の友ヶ島砲台も由良要塞と言う。しかも淡路島と徳島県の間の鳴門なると要塞も併合されて、これも由良要塞と言ったりするんで余計にややこしい。
　なぜこんなローカルな要塞名にしたんでしょうか？大都市大阪を守る重要な要塞なら、なぜ大阪湾要塞、せめて紀淡要塞と銘打たなかったのか？まあええか…、過去は変えられんのです。

　当日は友ヶ島灯台無料開放の日で、渡し船が折り返し運転するほどごった返していました。船賃はこの日２割引のSpecial Thanks dayでした😆
　島に渡る独り身の私は乗船時に名前等を書かされます。帰らぬ人になったら困るからです。「行きの切符だけ下さい。」と言ったら、多分冗談にならんでしょう。

友ヶ島第５砲台

　下船場から島を反時計回りに歩いていくと、ほどなく第５砲台へ到着。口径12㎝速射カノン砲（12SK)６門、２門ずつ並んだお馴染みな感じの砲座ほうざです。

　砲座の横は石積み、前はコンクリートで、半円形の突出部が２つあります。

　砲座間の横墻おうしょう（このシリーズ２参照）下に砲側庫ほうそくこがあります。天井はドーム型です。

友ヶ島第２砲台

　友ヶ島第２砲台は口径27㎝カノン砲（27K）４門を配置します。

　前回（このシリーズ⑯）の鷹の巣低砲台もそうでしたが、波に足元をすくわれて、海に近い方から次々倒れていってるようです。戦後の観光写真では端まで残っていたようです※。
　敵艦に攻撃されてもここまで壊れんでしょう。自然の力には勝てません。

　コンクリートに混ぜる石（骨材）の大きさが半端ない。手前のテトラがすごく小さく見える。

　横墻のレンガ壁がこれまで見たことない高さです。下から数えてみましょう。レンガが１まーい、レンガが２まーい…、74枚✕７㎝＝高さ約520㎝です。
　砲側庫は横墻背面と砲座横に開口していて、平面はＴ字型になっています。
　
　横墻へ渡る階段の下は地下道になってます。

　地下道の両側には掩蔽部えんぺいぶがあります。危険なんでこれ以上行きませんが、横墻おうしょうの真下と向かい合って７連の掩蔽部がありました。地下道の奥の方にもまだ掩蔽部があるみたいです。　

　砲座は立入禁止なんですが、平面U字型で、大砲の先を出す部分の壁が低くなってます。

　前に転がってるコンクリートを見ると、大砲の前の低い部分はテラス状に伸びていたようにも見えます。

　次は第１砲座に向かいます。Let's Ho〜dying.

※詳しくは『由良砲台Ⅰ』（近代築城遺跡研究会2009）ｐ159角田誠「友ヶ島第二砲台小写真より」を御覧ください。続く『由良砲台Ⅱ』『由良砲台Ⅲ』計３部作は、各砲台の図面や詳しい解説・論文を掲載し、由良砲台を知る最良の書です。