見出し画像

日本の昔ばなしを考える【桃太郎編#2】

【桃太郎編#1】の続き


③パねぇ老夫婦の順応性
おじいさんが柴刈りから帰ってきて、おばあさんは拾ってきた桃を神業としか思えない技術をもってしてカットしたため、桃太郎は血まみれになることなく無事に降誕。もちろん、この時にはこの子が将来、鬼ヶ島にて鬼退治をしてくる救世主であることなど知らなかったにも関わらず二人は多少の驚きはあったものの、元気のいい男の子を神様が授けてくれたと大喜び。交番に届け出ることもなく、自分たちの子供にしてしまうのだった。第一、今日只今から出産適齢期をはるかに超えた夫婦に子供ができたら、周囲の人間から奇異の目で見られるのは必至である。そのようなことは一切気にせず、この夫婦は元服まできちんと桃太郎を育て上げるのだった。良かったな、桃太郎。私たちのような夫婦に拾われなくて。

④雉には違和感を感じざるを得ない
大人になった桃太郎は鬼ヶ島の存在を知る。向かうところ敵無し状態の桃太郎は鬼ヶ島へ鬼退治に行くのだ、と言い始める。それを承諾するおじいさんとおばあさん。いくら何でも危険じゃない?引き止めないの?しかし、おばあさんに至っては岡山銘菓「吉備団子」を持たせる始末。きっと、お中元か何かで貰ったのかな?もし、この物語の舞台が関東だったら間違いなく映画「男はつらいよ」で有名な柴又帝釈天門前の亀屋本舗の「草団子」だったに違いない。ちなみに帝釈天最寄りの京成柴又駅前にはあの格好をした渥美清の銅像が建っている。そして、その後しばらくして倍賞千恵子の銅像も少し離れて建てられたのだ、まるで柴又駅から電車に乗ろうとする寅次郎を見送るかのような。で、そうだ、吉備団子から話が脱線してしまったんだった。しかしながら、この贈答品の余り物の団子がとんでもない効果を発揮する。この団子目当てに、犬、猿、雉が相次いで桃太郎に近づいて来たのだ。桃太郎は抜け目なくこう言った。「一緒に鬼ヶ島に鬼退治に行くのならば一つあげてもいいよ」と。バカも休み休み言ってくれよ、どこの世界に団子一つと引き換えに鬼と戦いに行く者がいようぞ。が、犬も猿も雉も二つ返事で快諾するのだった。
えええっっっ!!!ポカ―(o゚Д゚o)―ン
彼ら三匹は思考がバグっている。「吉備団子一つ > 自らの命」。とにかくそういう訳で、桃太郎はこの三匹を引き連れて鬼ヶ島へ向かうのであった。しかしながら、犬と猿はいいとしても雉はどれほどの戦力になるのだろうか?それならばまだ三蔵法師とともに天竺に向かったうちの沙悟浄(河童)の方がマシだと思うのだった。まぁ、団子一つで契約を交わしたのだからいないよりいっか。

⑤桃太郎が強いのではなくて鬼が弱すぎる説
スマホのナビはおろか地図も持っていない桃太郎一行がどうやって鬼ヶ島へ行くことができたのか?なんてことはどうでも良くなってきた。鬼ヶ島へ着くや否や桃太郎たちは大暴れ。犬に嚙みつかれたり、猿に引っかかれたり、雉に目をつつかれたり、そんな程度の攻撃で鬼は壊滅状態。数では鬼チームの方が優勢だったにも関わらず。で、本来ならばこれで桃太郎の当初の目的は果たされたはずなのにご存じのとおり宝物を船に積めるだけ積んで凱旋。話の結末になってわかりましたね、この話の裏が。桃太郎ははなっから鬼が持っている財宝が目当てだったのです。しかも鬼が全くもって強くないことを知っていて。犬、猿、雉も同様に吉備団子が欲しくて桃太郎に近寄った訳ではなく、金銀を手に入れる絶好のチャンスとばかりに同行する口実のために「♪お腰につけた吉備団子、一つ私にくださいな」と歌ったのです。


ひとぉ~つ。人の世生き血を啜り。
ふたぁ~つ。不埒な悪行三昧。
みいっ~つ。醜い浮世の鬼を、退治てくれよう桃太郎。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?