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うちに「どろぼう」が入った話

うちはどろぼうに入られたことがあります
特殊な体験だったので、今でも鮮明に覚えています
それは中学3年生の春に起こりました

早朝のできごと

中学時代は野球部に所属
その頃は毎朝朝練があったので、家族の中で自分が一番早起きでした

いつもは6時ぐらいに目覚ましで目を覚ますけど、その日はもっと早い時間に電話が鳴った
こんな時間に電話?と思いながらも、一番早起きの自分が受話器を取った
「もしもし...」

「○○さんのお宅ですか?」
「あ、はい」
「警察のものですが、○○さんの財布が田んぼで見つかったのでお電話しました。変わってもらえますか?」
親父の財布だった

「え?」

全く意味が分からなかった。とりあえずすぐに親父を起こす
「警察の人から電話、財布が田んぼに落ちてるって...」
もちろん親父も意味不明
早く起こされて機嫌悪そうに電話を変わる

(まぁいいやちょっと早いけど、朝練にいく準備をするか)
と深く考えず、自分だけ1Fに降りた

すると、とんでもない光景が広がっていた
引き出しは全部開けられ、服はぐちゃぐちゃ
「ダメだ!触るな!なにも触るな!」
慌てて親父が叫びながら1Fへ降りてきた

「どろぼうだ!どろぼうに入られた」
「今から警察が来る、指紋とか取るから何も触るなよ!」
動揺と怒りと混じった感じの初めて聞く親父の声だった

弟と母親が慌てて降りてきた
「警察の方が来るなら、片付けないと」
と言いながら母親が散らかった服を片付け始める
「ダメだ、鑑識が来るから何も触るな!」
と親父がキレる

自分は茫然と立ち尽くして、少しの間何も考えることができなかった
「子供たちは学校があるから、パン食べなさい」
と母に言われてようやく動くことができた
そのとき台所の窓が全部きれいに外されていたことに初めて気づいた

(ここから入ったんだ)

うちは家族全員2Fで寝ている
寝ている間に1Fの台所から入り、玄関から出て行ったのか
そんなことを考えながらパンを食べた

出かける前に警察の人たちがたくさん来た
1Fの引き出しを「ポンポン」と耳かきのようなもので優しくたたいていた
(テレビで見たことあるやつだ)
鑑識を見るのが初めてだったので少しウキウキしてしまった

学校へ行ったが、ショックが大きくて心が落ち着かず
自分は思い切って担任の先生に今朝のことを話した

「そうか、そりゃ大変だったなぁ」
「このことはみんなには内緒にしておくからな、困ったことがあったら先生になんでも相談しろよ、いいな」
先生に話をして、少し落ち着いた


結局、被害は現金で30万と1000円
その日はたまたま親父が会社の売上金を持ってきていて、それを盗まれた

端数の千円は、自分の財布から抜かれていた
子供用の財布からも取るなんて...
(マジックテープでくっつけるビニールの財布)

「どうせ、飲み屋で酔っ払ってお金持ってることを話しちゃったのよ」
母親が冷静に言った

それから数週間後

まだ犯人は見つかっていない
警察が言うには、入り方から見てプロの手口だったらしい
(確かに窓はきれいに外されていたし、玄関から出て鍵も壊されていない)
一度入った家には二度と入らないからもう大丈夫ですよとも言っていた

にもかかわらず、親父は3つもセキュリティ強化に走った

1つ目は、1Fの窓に全部アルミの格子を設置

2つ目は、防犯ベルの設置(今考えるとかなりの旧式)
仕組みは、窓枠と窓に磁石でつながれた配線がひっぱってあり
防犯スイッチを入れた状態で窓を開けると、磁石が離れてベルが鳴るというアナログ全開の防犯システム!

そんな警報システムいるのか?って
多分自分以外の家族全員が思ってたと思う
(そういえばこの話、家族でしたことないな)
※ちなみに、酒飲んで遅くなった親父が警報ベルの餌食になったのは内緒

そして3つ目は、生後間もない「子犬」だった

もしかして番犬?
なんでこんなかわいい子犬が番犬になるんだよ!
と思いつつ名前を「ポン太」に決めた

犬は前から欲しかったけど、母親が反対するから飼えなかった
しかしながら「どろぼう」のおかげで犬を飼うことができた


その月の、クラス新聞にこんな話題が
「実は〇〇君の自宅にどろぼうが入ったんです。○○君はみんなにそのことを伝えずつらい気持ちをぐっと我慢していたんです・・・・・・」
などツラツラと書かれていた
あっという間に自分だということがバレた

「先生!言わないって言ったのに」
「いやぁごめんごめん、イニシャルで書けば大丈夫かなと思って...」
「先生、そのイニシャルの男子は僕だけだし!」

Thank you for reading!!



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