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【短編小説】私立恵比寿中学で言うところの

"既読"という文字を、かれこれ何十分眺めてるだろうか。済ませないといけない課題もあるが、彼女からの返信が気になり何事も手につかない。今の私は、紅の詩で言うところの”飛べない豚”といったところだろうか。

元々遠距離恋愛だったが、このご時世でさらに会える機会が減り、今はLINEの文章でしか相手からの愛を確かめられない。でも会えた時ほど消化できるわけではなく、愛のレンタルで言うところの”どんどん積もる愛の延滞料”といったところだろうか。

いつもは早く返事をくれるのに、どうして今日に限って遅いのだろうか。私が送った文章がよくなかったのだろうか。いやでも、先程のメッセージは私的にはそれなりの自信があった。売れたいエモーションで言うところの、”手応え確実イグニッション寸前よ”といったところだろうか。

彼女以外の人間にはあまり表に出さないが、返事が遅いくらいの細かなことで動揺している自分が心底情けなくなって憂鬱な気持ちになることがある。バタフライエフェクトで言うところの”内緒隠れメランコリック”といったところだろうか。

色々学んで来ているつもりだが、こんな状態では結婚も夢のまた夢、そんなことで憂鬱になり、つい夜食のスナック菓子に手を出してしまう。ふとニュースを見ていると、資産家が宇宙旅行に行ったニュースが流れており、無理なことは何一つない、私がもっと成長し、頑張らないといけない、そんなことを考える夜。
頑張ってる途中で言うところの”まだまだいろいろ勉強中、夢の途中、お悩み中、モヤモヤ中、おやつに夢中、ぽりぽり中、君に夢中、あいうぉんちゅ、それは宇宙、可能性は無限でちゅ、あたしたちまだまだ成長中、そう頑張ってる途中”と言ったところだろうか。

私は大人のようで、まだまだ子供。私立恵比寿中学で言うところの、”永遠に中学生”といったところだろうか。



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