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(ネタバレ有)「クワイエット・プレイス 破られた沈黙」感想文

映画の感想文です。

…私のnoteってジャンルがイマイチ決まりませんね…。

※1作目の「クワイエット・プレイス」と2作目「クワイエット・プレイス 破られた沈黙」双方をネタバレします。どちらか一方でも未鑑賞の人には本記事をオススメしません。


ネタバレですよ?


いいですか?


では本題へ。


要約

大まかには4つ感想があります。

・1作目と方向性が微妙に違うけど面白い
・シナリオは相変わらず理詰め感がある
・見せ場がちょっと弱いのが惜しい…
・でも「無音」は楽しいのでやっぱり好き

以下、順に書いていきます。


1. 1作目と方向性が微妙に違うけど面白い

1作目前回との最大の違いは明らかで「モンスターの弱点/対処法がある程度分かってしまっている(殺せることも分かっている)」ことです。

これは本作がホラー続編であるゆえの超絶ハンディキャップになっていて、1作目の「コイツどうやったら倒せるんだよ…みたいな絶望感が再演できなくなっています。また1作目では「謎行動に見えるけど終盤まで行くと役に立っている身を守る備え」みたいな要素も楽しかったんですが、ここも本作ではあまり前面には出ていないと感じました。

しかし。その分のカバーとして本作では

安全地帯だと思っていた場所が安全ではなくなる
・赤ちゃんがいる事で常に発生する緊張感
分断行動の心細さ
人間も危険というテーマ性

など、ちょっと違う方向性から楽しめるところが色々ありました。

このうち「人間も危険」という点に関しては古今東西のゾンビパニックとかで擦り散らかされたネタであるからか、チョイ役にとどめていたのもバランスの良さだと思います。


2. シナリオは相変わらず理詰め感がある

ずらずら項目で挙げてみます。

・冒頭の野球シーンにある「ダイブする」の手話の伏線
・水漏れするパイプ→1作目でも水音は隠れるのに使えてたので、今作でも使えそう、という予感
・「残り僅かな酸素ボンベ + 換気できない完全密室シェルター」というゲーム性のある関係
・「怪我した人はどうしても叫んでしまう」という演出を、罠に引っかかるシーンと船着き場からの脱出シーンで2回繰り返す
人間が船で島に行けるならモンスターも船で行ける(+映像でも伏線化)
・エメットが「いま生き残ってる人間に救う価値なんかない」と言っている事について、船着き場で実際に襲われる事によってエメットは現実主義なだけで悪者ではないとクリアにする
・「安全だと思っていた地下室が安全じゃなくなる」と「安全だと思っていた島が安全じゃなくなる」をほぼ同時に進行する

鑑賞後に振り返って、これらの要素が「理詰めで説明できる面白さ」なのでは、と考えるに至ってます。前作の「謎行動には全て意味があった」にも通じるものがあると思います。

私自身は理屈でストーリーを面白くしようする試みは大体好きで、実際この辺の工夫のおかげで映画全体がスッと入ってくれました。


あと島の村長さんについては

・船で島に来た当時の人々の行動を語ってもらう = いい人そう
・モンスターが襲ってきたときの避難行動の手際がよい = 万が一のことを普段から考えてそう

と印象付けることでサクッと死なせつつパーソナリティも出してるあたり、抜け目がない感じで好きです。


3. 見せ場がちょっと弱まったのが惜しい…

ちょっと惜しかったと感じるポイントを1つ。

1作目「クワイエット・プレイス」では、リー(お父さん)が最終手段として「叫んで囮になる」という行動を取りました。1作目では「死にたいなら叫べばいい」と伏線を貼ったうえで、作中ずっと生きるために手を尽くしてきたリーが叫ぶのがクライマックス感のあるシーンでした。

…が。

私の印象だと今作ではこのシーンを超えられるシーンが無く、シリアスではあるものの結構ラストまでサクサク行けちゃったので、そこはちょっと惜しく感じました。ホラーゲームで言うなら「難易度がベリーハードからノーマルに下がった」みたいな。

ただまあ、今作のシナリオではどうやっても主要キャラが殺しづらいので、クライマックスが立たないのは仕方ないのでは…という気もします。

・エメットが死ぬとイヴリン(ママ)目線で後味が悪すぎる
・イヴリンが死ぬと赤ちゃんの死が強烈に示唆されるのでやはり後味が悪い
子どもが犠牲になるのは作風に合わない
・村長さんのようなポッと出のキャラが死んでも見せ場としては弱い

こう振り返ると前作でクライマックスを作れたリーは中々すごかったんですね…。


4. でも「無音」は楽しいのでやっぱり好き

…とまあネガティブな事も書きましたが、結局クワイエット・プレイスでやってほしいのは無音の緊張感があるシーンなので、今作でも要所要所できちんと(ほぼ)無音になっていた点でおおいに満足感がありました。また、ほどほどの緊張度だったり休息的なシーンでも会話せずにBGM + 絵とカメラワークだけで魅せるシーンが結構あり、見せ方のスタイルとしても楽しめました。

クワイエット・プレイスを「映画館で鑑賞して見栄えのする映画」たらしめている要因は恐らくここにあって、映画館を爆音を流すのではなく「余計な音を高度にシャットアウトする道具」にしているのが設備の活用法としてイケてます。ここは1作目の良さがそのまま受け継がれていると思います。




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